バックファイヤー
Backfired デボラ・ハリーがデビー・ハリー名義で、1981年に発表した初めてのソロ・アルバム『予感』は、シックのナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズによりプロデュースされました。そして、このアルバムから発表されたファースト・シングル「バックファイヤー」は、『エイリアン』(1979)でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したばかりのH・R・ギーガーの協力の下、作られました。
デボラは、ブロンディとは全く違う自分の姿を創造しようと模索していたのでした。
概要
曲名:バックファイヤー
原名:Backfired
リリース:1981年
最高順位:全米43位、全英32位
斬新ではあるがチグハグな世界観
ブロンドヘアを封印し、黒髪にした上で、当時大流行していた『エイリアン』の世界観にどっぷりと浸るエイリアン・クイーンとして、デボラは、新たなる世界観を創造しようとしました。しかし、音楽とイギー・ポップの出来損ないのような振り付けがダメすぎました。
更に、H・R・ギーガーと共に作り上げたもうひとつのPV「さよならの旋律(Now I Know You Know)」の世界観も同様、消化不良の出来上がりでした。
何よりも全ての失敗の根源は、H・R・ギーガーのデザインによるこのアルバム・ジャケットにありました。顔面串刺しのこのセンスはお世辞にも良いものとは言えません。
H・R・ギーガーのボディスーツ
このソロシングルが発表された1981年、ブロンディは解散していた訳ではありませんでした。
そして、当時のブロンディ・ファンはあっけにとられたことでしょう。H・R・ギーガーに目をつけるあたりが、シックの起用といい、デボラ・ハリーとクリス・シュタインという人物の本質をついていて面白いのですが、H・R・ギーガーとシックを融合するということ自体に無理がありました。ただし、H・R・ギーガーのプロダクション・デザインの天才性は、写真からもよく伝わります。
それにしてもH・R・ギーガー(1940-2014)がとてつもなくクールです。
ブロンディ・ルック32 ゼブラ・ハリー
H・R・ギーガー仕様のボディスーツ姿の原型は、ゼブラドレスだろう。
スティーブン・スプラウスによりデザインされたこのドレスは、デボラ・ハリーが「私自身が着ていて最も楽しかった衣装」だと回想しています。それにしてもこの首飾りのデザインは、男性器なのでしょうか?