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【ラルチザン】アルード(ベルトラン・ドゥシュフール)

ラルチザン パフューム
@L'Artisan Parfumeur
ラルチザン パフューム
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アルード

原名:Al Oudh
種類:オード・パルファム
ブランド:ラルチザン
調香師:ベルトラン・ドゥシュフール
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/24,000円

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ルビーよりも高い香料「沈香=ウード」とは?

@L’Artisan Parfumeur

夕陽に照らされ黄金の輝きを放つアラビア砂漠からインスパイアされた香り。遠い昔、キャラバンがミルラ、ゴールド、インセンスを輸送するように、スプレーをプッシュするとアラジンの魔法のランプのように解き放たれるアラビアン・サンセットの香りです。

すべてが黄金に変わるアラビア砂漠の夕暮れ、今までの過酷な猛暑が嘘のように去っていく瞬間です。そんな日本人から最も遠い世界の香りウードが2009年に世界中で爆発的ブームとなりました。

日本語で「沈香」と呼ばれるウードは、東南アジアの熱帯性ジャングルに繁茂するジンチョウゲ科アキラリア属の沈香樹の、一定の条件を満たしたごく一部分から採れる香料です。その条件はかなり厳しく、二つの関門に分かれています。まず最初に菌類に対する防衛本能として分泌される樹脂が蓄積され、その樹脂の沈着が始まるまで30年以上の樹齢を要し、更に良質な沈香素材となるためには、100年以上の古木でなければなりません。これが第一関門です。

晴れて沈香が生み出されるための第二関門は、その古木自体が、天寿を全うして枯れ果て、土に還った後に、バクテリアによる分解・変成作用を受け、熟成された状態で採集されなければならないということです。つまり、沈香とは、こういった厳しい二つの関門を乗り越えた原木の1%に満たない部分からしか採ることが出来ない香料なのです。そのためルビーよりも高価なのです。

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アラビア砂漠の中に咲くローズの香り

しかし、ほとんどのフレグランスには、天然の沈香は使用されていません。実際のところ使用されるのは、植樹された沈香樹に化学薬品によって、人工的に樹脂化させたものを採集した人工沈香を使用します(天然ではないが、こちらも上質なものはかなり高価である)。

この「アルード」も、人工沈香によって創り出された香りです。クミン、シナモン、カルダモン、ピンクペッパーによるスパイシーで扇情的なオープニングからはじまるムスキーなスパイシー・ウッディ・アニマリックの香りは、ベルトラン・ドゥシュフールにより調香されました。

(アラビア砂漠で見かけることは絶対にない)ローズとウードが互いに競い合うことにより(甘酸っぱい)複雑なアコードを生み出すという奇跡的な離れ業をベルトランは行っています(更に恐ろしいのは、終始香りのベースとして存在し続けていること)。

ドライダウンにおいては、バニラやトンカビーンにアニマリックな香料がブレンドされており、この香りの隠し味、もしくは、多くの人々を拒絶させる要因を生み出しています(使用者によっては腋臭のような香りとなる)。

アラビア砂漠を一度でも訪れたものであれば実感できるであろう「砂の海」の上に佇む不思議な浮遊感。この香りは、そんな浮遊感=催眠作用をもたらしてくれる香りです。

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香水データ

香水名:アルード
原名:Al Oudh
種類:オード・パルファム
ブランド:ラルチザン
調香師:ベルトラン・ドゥシュフール
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/24,000円



トップノート:クミン、カルダモン、ピンクペッパー、キャラウェイ、デーツ(ナツメヤシの実)、オレンジブロッサム、ドライフルーツ
ミドルノート:アイリス、ネロリ、サフラン、インセンス、ローズ、アガーウッド、レザー
ラストノート:サンダルウッド、パチョリ、ヴァージニア・シダー、トンカビーン、バニラ、ミルラ、シベット、ムスク