グッド ガール ゴーン バッド エクストリーム
原名:Good Girl Gone Bad Extreme
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/36,300円
もっともっとグッドガールゴーンバッド
キリアン・ヘネシーは2007年10月に「バイ・キリアン」(現在は「キリアン」)という名でブランド創業するにあたり、6作品からなるコレクション「ルーヴル ノワール —愛が描く甘い誘惑の世界—」(最終的には2011年までに計10作品を発売)を発表しました。
そして、ブランド創立5周年にあたる2012年に四番目のコレクションとして発表されたのが、3作品からなるホワイト・コレクション「イン ザ ガーデン オブ グッド アンド イーブル —エデンの園で紡がれるアダムとイブの物語(善悪の園の中で)— 」でした。
そのうちのひとつとして発売された「グッド ガール ゴーン バッド」は、ヨーロッパの育ちの良いお嬢様や、ロースクールに通う才女が、禁断の扉を押し開けてしまう「エデンの園にある禁断の果実」の香りでした。
今まで決して道を外れないで生きてきたお嬢様が、男を誘うような派手なメイクと服装で堕落していく瞬間。または、きりっと後ろに束ねた髪に、眼鏡とスカートスーツで身を固めているキャリアウーマンが、その髪と眼鏡を解放する瞬間を表現した香りでした。
そんな「グッド ガール ゴーン バッド」が5年後に「So bad but oh-so-good」というキャッチコピーと共に還ってきたのでした。それは上品さと退廃の瀬戸際にいる香りです。
かつて欲望の世界に引きずり込まれ、今はすっかり良妻として昔の分別を取り戻している女性に対して、もっともっと欲望に満ちた世界に引きずりこんでゆくために、更に巧緻に仕掛けられた罠として生み出された香り、それがエクストリーム【究極】ヴァージョンなのです。
オリジナル・ヴァージョンで存在していたジャック・キャヴァリエによる良心のかけらを、アルベルト・モリヤスはすべて掻き消し、真の〝悪魔のように美しきミルキータフィー〟の香りを生み出したのでした。
また、この香りは、オリジナルと比べても存在感が突出しており、ただ付けているだけで自分だけでなく周囲までエクストリームの色で染めてゆきます。
良心のかけらもない、悪魔のように美しきミルキータフィー
「グッド ガール ゴーン バッド」には、実はクランベリーの香気成分を元に作った強いフルーティーアコードと、中国産のオスマンサス・アブソリュートが入っており、それがこの香水の禁断の果実なのです。
私が選んだオスマンサスはとても強いアプリコットの面を持ちます。それは、アプリコットにヴァイオレットとレザーをミックスしたような香りで、香水に使うにはとても手強いものです。
キリアン・ヘネシー
逞しい欲望という名の亡霊たちがぬくぬくと立ち上がるように、あのめくるめく欲望の日々から、イノセンスな日々に戻っていったオスマンサスの前に、5年のときを経て還ってきたエジプト産のジャスミン・オフィキナーレの誘惑からこの香りははじまります。
甘いオレンジブロッサムも加わり、グリーンなオスマンサスは急激にアプリコットが完熟していくように、再び欲望の渦の中に飲み込まれていくのです。ようこそ「もっともっとグッドガールゴーンバッドの世界」へ。
やがて、欲望の光に照らし出され、オスマンサスの一部は枯れてゆき、スモーキーなレザーの香りに包み込まれてゆきます。そんな腐敗臭に引き寄せられるように、ローズとチューベローズ、水仙が自由奔放に、それぞれの扇情的な香りを放ってゆきます。それはまるでかつて堕ちていった世界よりも、さらに深い欲望の世界が手招きしているようです。
いよいよ、「エクストリーム」と呼ばれる〝暗黒の帝王〟の登場です。その名をミルキータフィーと申します。バターとクリームの中間のようなミルキーさを持つミルキータフィーにより、ついにオスマンサスは齧りつきたくなるようなピーチの果汁を自ら放ちはじめるのです。とことんまで耽溺の世界に堕ちてゆきましょう。
そして、抑制するために現れたはずの鋭角に切り込むようなシダーウッドとパチョリ、アンバーが、全ての甘き香料にすっかり翻弄され、ピーチはクリーミーで濃厚な甘さのタフィーに覆い尽くされ、もう逃れられない背徳の罠に身を委ねる覚悟を決めさせてくれるのです。
今度こそ、この小川を飛び越えてしまうと、もう決して戻れないことを予感しながら・・・フルスロットルで堕ちてゆくのです。
まとわりつく〝妖気に満ちた甘さ〟がある香り
「エクストリーム」の中にはミルキーなピーチのイメージはほとんどありません。そこにあるねっとり感は、フルーツではなく、キャラメルのようなものです。それはまさにお菓子の甘さを持つタフィーのミルキーさなのです。
そんな強い甘さを持つグルマンによって、元々そんなに強くないピーチ(オスマンサス)が包み込まれ、〝漆黒のタフィー〟の香りが誕生するのです。
ここでオリジナルと「エクストリーム」の違いについて端的に説明すると、オリジナルはフローラルであり、「エクストリーム」はグルマンです。それは大人のグルマンであり、ねっとりした甘さがあります。
そこでキリアンにおいて同じような甘さを持つ「ラブ ドント ビー シャイ」とも比較してみると、「ラブ」はギモーヴやマシュマロのふわっとした甘さであり、「エクストリーム」はもっとねっとりした甘さがあります。つまりはそこには何か魔性の物の怪に絡めとられたような、まとわりつく〝妖気に満ちた甘さ〟があるのです。
香水データ
香水名:グッド ガール ゴーン バッド エクストリーム
原名:Good Girl Gone Bad Extreme
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/36,300円
シングルノート:オスマンサス、インド産ジャスミンサンバック、エジプト産ジャスミン、メイローズ、インド産チューベローズ、ミルキータフィー、チュニジア産オレンジブロッサム