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【ブロンディ】第六章 ハート・オブ・グラス|デボラ・ハリーの覚醒

ブロンディ
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第六章 ハート・オブ・グラス

Heart of Glass ブロンディの代表曲を三つ挙げよと言われたなら、間違いなくあがるのが「ハート・オブ・グラス」(1979)でしょう。1978年のサード・アルバム『恋の平行線(Parallel Lines)』から第二弾シングルとして1979年1月に発売されたこの曲は、世界中の音楽チャートを席巻し、最終的には、全米および全英No.1ヒットとなりました。

この曲によりニューヨークのパンク・バンドだったブロンディ=デボラ・ハリーが、ニューウェイヴの立役者となったのでした。そして、一人の男の登場と相成ります。この男と関われば、曲は売れるが、悪魔に魂を売るようなものだとまで言われた、悪名高い音楽プロデューサー・マイク・チャップマンその人です。

当時大流行していたディスコサウンドを、ブロンディのパンクロックの中に強引にぶっこんだのでした。

概要

曲名:ハート・オブ・グラス
原名:Heart of Glass
リリース:1979年
最高順位:全米1位、全英1位、全豪1位、全独1位

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「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」帝王マイク

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第二次世界大戦中、独裁的な態度で悪名を馳せたパットン将軍のコスプレをしたマイク・チャップマン。濃い!

マイク・チャップマンという男は常にこういう姿勢でした。高圧的で、スーパーヒットを生み出すためには大衆に媚を売ってナンボの姿勢を貫けとブロンディに命じたのでした。

彼がプロデューサーとしてやって来た時、ブロンディが持っている曲を全部演奏するように命じました。最後に「他にないのか?」と聞いてきたので、「ええと、古い曲がひとつあります」と、1974年にすでに完成していたが、メロディラインをバラード調にするかレゲエ調にするかずっと悩んで曲を演奏しました。

マイクはこの曲がたいそう気に入り、「どうせディスコテイストな曲なんだから、完全にディスコにしろ!」という、ブロンディの音楽性を無視した要求に、デボラは、「独裁者め!」と反発しながらも、歯を食いしばりながら生みだしたのがこの曲でした。

それは、1974年ニューヨークで生まれたパンクバンド(ブロンディの名前の由来は、デボラが、トラックの運転手に呼ばれた一言「よぉ!ブロンディ!一発いくらだ?」)が、伝説のディスコ・スタジオ54で演奏している(実際はコパとかいう短命に終わったクラブで撮影した)その違和感を、デボラが、シャイニーなアイシャドーを強調したメイクによって、半ば人を小バカにしたかのような歌唱スタイル=小悪魔スタイルで吹き飛ばしたのでした。

曲名は、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の1976年の同名の映画から取られたものでした。そしてデボラ・ハリーの声はダブルトラック(2回歌って1つのトラックに合成)されました。ラモーンズは「ブロンディは、ディスコに走った」と揶揄しました。ここに1980年代のマドンナとプレイメイト達の原型は誕生したのでした。

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スティーブン・スプラウス

「ハート・オブ・グラス」のPVの中で着ているこのドレスは、スティーブン・スプラウス(1953-2004)によりデザインされました。マーク・ジェイコブスのオファーにより、ルイ・ヴィトン2001年春夏コレクションでコラボした「モノグラム・グラフィティ」は今では伝説です。

デボラ・ハリーとスプラウスがはじめて知り合ったのは、1975年のことでした。後に二人は、イースト・ヴィレッジの酒屋のロフトをシェアするようになりました。それ以降、デボラの衣装は、彼によって作られました。

そしてこのワンショルダードレスにより彼自身も多くのミュージシャンから衣装作成を依頼されるようになるのでした。

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ブロンディ・ルック11 ワンショルダードレス

テレビのスキャンラインを布地にプリントしたアシンメトリーなワンショルダードレスに同柄のストール。ブロンディ・ルックの秘密は、70年代初めのファッションモデルのメイクアップのリバイバルにあります。

ドレスを作るために、スプラウスはテレビの走査線の画像を布に写真プリントし、ハリーによると「下に綿の布を一層、上にシフォンの布を一層重ねると、走査線がオプアートのような効果を生み出す」という。

吼えるように歌いながらも、ファッションモデルのように、ところどころに、決め顔とポージングを持ってくるのです。この不思議なバランスが、ブロンディの大きな魅力の一つと言えます。

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「ハート・オブ・グラス」ライブ映像集

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ジゼル・ブンチェンの「ハート・オブ・グラス」

デボラ・ハリーと、クラブ・カルチャーとは無縁のような4人の文系青年たちのギャップが生み出すブロンディというバンドの奇妙な連帯感は、2014年にジゼル・ブンチェンがカバーしたヴァージョン(H&Mのチャリティ・シングル)には、全く存在しませんでした。

ライブハウスで歌ってきた女性のオーラと、スーパーモデルがいきなり格好良く歌を歌うのとでは、その性質が全く異なるのです。ただ形だけ格好良く見せるのは、結局は究極のダサさ=「中身のカラッポさ」につながるという実例を示したのでした。

こちらは2億再生されているマイリー・サイラスが2020年にカバーしたライブ。ブロンディが大絶賛したという。

【ブロンディ伝説】デボラ・ハリーのファッション史