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カイエデモード香水図鑑を応援する|2025年5月30日~6月1日終日

2025年夏に9年目を迎えるカイエデモード香水図鑑。このたび聖地調査が完了し、5月より東京・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸の約100か所の『香水超聖地ガイド』の更新を行っております(6月中に完成予定)。さらに、4月末より、これからの日本の香水業界を動かしていく25人のキーパーソンのインタビュー記事『フレグランス・アイコン・インタビューズ』を公開させて頂いております。

この大いなる活動にあたり、2025年5月30日~6月1日終日にあたりご寄付を募らせて頂きます(エックスのDMが半日不調であったため1日延期させて頂きます)

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【メゾン フランシス クルジャン】アプソリュ プール ル ソワール(フランシス・クルジャン)

メゾン・フランシス・クルジャン
メゾン・フランシス・クルジャン
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アプソリュ プール ル ソワール

原名:Absolue Pour le Soir
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

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賞賛と恐怖を同時に得た、ブランド史上最高の香りのひとつ

セックス、ドラッグ、そしてロックンロールがテーマだ。ミック・ジャガーはレザーパンツを履き、ジェリー・ホールはヒョウ柄のドレスを着て、レザーソファにゆったりと座り、タバコを吸いながらスコッチを飲んでいる。どちらかと言うとヘルムート・ニュートンにインスパイアされた作品だ。さらに言うと、ニューヨークの有名なスタジオ54からもインスピレーションを得ています。

フランシス・クルジャン

フランシス・クルジャンが、2009年にメゾン・フランシス・クルジャンを創業した時に発表した7作品の中に、朝用と夜用のコロンが含まれていました。その夜用のコロンが「コロン プール ル ソワール」でした。〝パリの夜更けのためのコロン〟という意味です。

〝新しい一日の訪れを伝えてくれるコロン〟の後にやって来る〝過ぎ去る一日を愛おしむ、豊かな夜のコロン〟でした。そのコロンが、2010年に「アプソリュ プール ル ソワール」としてオード・パルファムに進化し発売されました。〝パリの夜更けのためのアブソリュート〟と名付けられたこの香りは、コロンには存在しなかったクミンとイランイラン、シダーウッドが加わっています。

賞賛と恐怖を同時に得た香り。ブランド史上最高の香りのひとつです。

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すべての香料の中に潜む獣=アニマルを目覚めさせる!


〝過ぎ去る一日を愛おしむ、豊かな夜のコロン〟の優しい夜の調べから一転し、〝愛と憎しみの果てに、狂わしいほどお互いを求めあう夜のアブソリュート〟であるこの香りは、絶世を誇る肉を、目の前にしたあなたの野獣が覚醒していくような感覚からはじまります。

それは汗ばむ革の匂いを感じながら、退廃の極みともいえる黄金のクミン・シャワーを一身に浴び、のけぞるような獣=ベンゾインの甘い咆哮(女王様の聖水を浴びるような感覚)を受け止めていくようです。

肉欲に飢えて疼いている身体の隅々まで行き渡るように、ダークなフランキンセンスの煙に乗り、ハニーローズとイランイランがのたうつように素肌に満ち広がります。絶対にこんな人間に夢中になってしまうと、骨の髄までしゃぶり尽くされてしまうような暗黒への招待状を受け止めてしまうようです。

それはまるでバナナが添えられたダークチョコムースに酔わせるワインが振りかけられていくような不思議な感覚に溺れてゆきます。やがて温かなサンダルウッドとシダーウッドの蒼い炎に焼き尽くされ、昇天するような余韻に満たされるのです。

すべての香料の中に潜む獣=アニマルを引き出し、美しさと汚さを同時に解き放ち、素肌の上で、狂宴を催していくようなこの香りの中で、フランキンセンス、クミン、ハニーの存在感が際立っています。満月の夜にだけはこの香りは避けるべきかもしれません。

フレデリック・マルの「ムスク ラバジュール」やセルジュ・ルタンスの「ムスク クビライカーン」と対峙することが出来る、悪魔を召喚出来そうな香りです。

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香水データ

香水名:アプソリュ プール ル ソワール
原名:Absolue Pour le Soir
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:不明


シングル・ノート:ホワイトハニー、ベンゾイン、フランキンセンス、サンダルウッド、イランイラン、シダーウッド、ローズ、クミン