世界中には少なくとも500人以上の調香師がいると言われています。それは世界中の宇宙飛行士より少ない数です。
2020年6月現在、フレグランス業界においてインハウス・パフューマー(=専属調香師)というポジションが存在するラグジュアリー・ブランドは6社のみです。
ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネル、クリスチャン・ディオール、ゲラン、そして、カルティエです。
インハウス・パフューマーを抱えるということは、その調香師が、他のブランドの仕事を兼ねることなく、思う存分、自身のブランドの香りの創造に専念できるというメリットがあります。一人の天才が、30人から60人の専属スタッフを抱え生み出されていくそのブランドの香りは、従来の、香料会社に丸投げされたブランド・フレグランスとは全く違う〝香りの独自性〟を生み出すことになります。
それはまた、ブランドの精神と、一人の調香師のスタイルが融合された〝香りの巧み〟の世界でもあるのです。
では、6人のインハウス・パフューマーを紹介していきましょう。
1.ジャック・キャヴァリエ(ルイ・ヴィトン)
Jacques Cavallier
1962年、フランス・〝香りの都〟グラース生まれ。
ジャック・キャヴァリエの全ての香水一覧
ジャック・キャヴァリエの全香水一覧(写真なし)
<代表作>
ヴォカリーズ(資生堂)
クラシック(ジャン=ポール・ゴルティエ)
ステラ(ステラ・マッカートニー)
ニュ(イヴ・サンローラン)
ノワール デ ノワール(トム・フォード)
ブルガリ プールオム(ブルガリ)
レ パルファン ルイ ヴィトン(ルイ・ヴィトン)
ロードゥイッセイ(イッセイ・ミヤケ)
2016年9月、香水を販売していない〝最後のラグジュアリー・ブランド〟であった、ルイ・ヴィトンが7種類の香水「レ パルファン ルイ ヴィトン」を発売しました。東京と大阪の二店舗で、初日に少なくとも2000万円もの売り上げを上げたと推定されるこの奇跡のコレクションをクリエイトした人こそ、2012年にルイ・ヴィトンの専属調香師になったジャック・キャヴァリエでした。
かつて世界の2大香料メーカーの1つフィルメニッヒ社の調香師を22年間つとめ、三大調香師の1人(ソフィア・グロスマン、ジャック・ポルジュ)と呼ばれた人です。
【特集記事】ジャック・キャヴァリエ ルイ・ヴィトンの調香師