全てのパンク野郎どもに捧げる⑥レザージャケット
シド・ヴィシャス・スタイル6 レザー・ジャケット
シド・ヴィシャスが愛用していたレザー・ジャケットは、50年代後半~60年代初期ごろに販売されたペニーズのツースターモデルのヴィンテージジャケットで、スティーヴ・ジョーンズより譲り受けたものでした。右胸には米陸軍の腕章をつけています。
全てのパンク野郎どもに捧げる⑦ピラミッド・スタッズ
シド・ヴィシャス・スタイル7 ピラミッド・スタッズ
シド・ヴィシャスと言えば象徴的なアイテムが、ピラミッド・スタッズのベルトと、リストバンドです。現在でも、ヨージ・ヤマモトや、ジョン・ローレンス・サリバンなどで販売されているベルトに、パンク精神を感じ取ることが出来ます。
全てのパンク野郎どもに捧げる⑧ホワイト・ジャケット
上は映画『シド・アンド・ナンシー』より。ゲイリー・オールドマンが実際にレコーディングしており、その再現度の高さは、さすがです。下は本物のシド・ヴィシャス・ヴァージョン。
シド・ヴィシャス・スタイル8 ホワイト・ジャケット
このスタイルこそが、シド・ヴィシャスには洗練と言う言葉が無縁であり、彼の普遍性は、若くして有名になり、彗星のごとく消えていくことによることがよく分かります。瞬発力の恐ろしさ。多くのスーパースター達が、もしこの瞬間で消え去っていたならばというベストタイミングで消えたことにより、シド・ヴィシャスは永遠になったのです。
そして、彼は永遠の「パンク・ロッカー」として、21世紀の私たちのスタイル・アイコンとなり、生き残ったパンク・ロッカー達を超えてしまったのです。
そこには、まさに滅びの醜態があった。しかし、それは美学へと昇華した。
オレたちは死の誓いを立ててたんだ。だからその約束を守るんだ。オレの遺体は彼女の隣に埋めてくれ。オレのレザージャケットと、ジーンズ、そしてモーターサイクル・ブーツと共に。グッバイ。
シド・ヴィシャスの遺書。
1979年2月2日、ドラッグのオーバードーズによりシド・ヴィシャスは死亡。パンクとは何か、それは「若い打つに自滅する」事。若くて美しいうちに死ぬのではなく、若くて醜い姿をさらけ出しながら死ぬこと。美しさは美化されないが、醜さは時に美化されるという真実。
『シド・アンド・ナンシー』という作品には不思議な魅力があります。それは〝若いうちにするべきことを放棄した二人〟ではなく〝若いうちにするべきではないことを完璧にコンプリートした二人〟にすがすがしささえも感じてしまうからではないでしょうか?今、パンク・ファッションが再び注目を浴びています。それはおそらく21世紀に入り、ネット文化とファッション産業の興隆により、より身近に色々なテイストのアイテムが溢れ、一週間に色々な自分を出すことが許されるようになったからでしょう。
20世紀と21世紀のファッション文化の明確な違いはここにあります。「ファッションを楽しむ」。そこから、過去への旅へと広がっていく時代が21世紀のファッションです。それはDVDやインターネットというツールとリンクして生まれたファッション文化の進化形なのです。そして、私たちは、あまりにもコントロールされたファストファッションの無個性なイメージにうんざりしているのです。個性的でありたいという気持ちは、パンク・テイストを通過してより確固としてものになるのです。だから、今こそ、シド・ヴィシャスなのです。