サ マジェステ ラ ローズ(バラの女王)
原名:Sa Majeste la Rose
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

バラの長所と短所を巧みにブレンドした〝まるごとローズの香り〟

©Serge Lutens

©Serge Lutens
絹と鉄と血と炎と肉、そして棘の中で、栄光に満ちた薔薇が君臨する! 太古の昔から今日に至るまで、彼女は詩と香水の双方にインスピレーションを与えてきた。その物語を通して、我々の物語が目の前に広がる。
「王は死んだ、女王陛下万歳!作家マルセル・プルーストは、当時の三人の社交界の女性をモデルに『失われた時を求めて』の中でゲルマント公爵夫人描いた。プルーストのように、私も失われた幼少期の地を探し求めた。私のバラを求めて旅する中で、トルコ、ブルガリア、モロッコのバラの王妃たちが私を魅了し、この旅に完璧な結末をもたらしたのだ。
セルジュ・ルタンス公式サイトより
2018年3月21日に「ブラック&ベージュ コレクション」が「コレクション ノワール」に変更され、10種類もの名香が2017年末から一挙に廃盤になりました。「サ マジェステ ラ ローズ(バラの女王)」もそのうちの一つでした。クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
〝世界中のローズのいいとこだけを、たっぷり詰め込みました〟というコンセプトで生み出された「バラの女王」は、元々は2000年に発売されました。そして現在は、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
通常ローズの香りがする香水の液体のカラーは、ピンクかレッドなのですが、こちらはイエローです。「バラの女王」の魅力的なところは、蕾からはじまり、花びらが開き、外敵から自己防衛しつつも花盛りの時期を迎え、やがては枯れていくというバラの一生をテーマにしたものでありながら、世界中のあらゆるバラの長所と短所を巧みにブレンドしたまるごとローズの香りという二面性にあります。
この香りのために、三種類のローズがゼラニウムと溶け合わされています。ロゼワインのように酔わせるモロッコ産ローズ・アブソリュートを中心に、スパイシーなターキッシュローズと芳醇なるブルガリアンローズです。
ルタンス&シェルドレイクの悪魔的な野心=乱心により生み出されたこの香りは、それぞれのバラの魅力を融合しながらも、それぞれの矛盾が不条理な魔性を生み出し、まるで世界中のローズの魅力をブレンドしたかのような大胆で力強い美しさを余すところなく放ってゆきます。
バラのあるべき姿を完璧に具現化した〝理想のバラの王妃〟

©Serge Lutens
イエローローズの雫を全身に振りかけると同時に、みずみずしく透き通るように明るく煌めくライチの香りからはじまります。そこにクローブが注ぎ込まれ、酸味のあるスパイシーなフルーツの軽やかな香りが広がってゆきます。
すぐにカモミールとホワイトハニーのシャワーを浴び、爽やかな朝露と高級石鹸を思わせるグリーンローズが流れる水のように溶け合い、バラの蕾を連想させる香りが満ち広がります。それは早朝のローズガーデンに足を踏み入れたようであり、愛する男性のためにバラの花束を購入したフラワーショップでのひとときのようでもあります。
さらにホワイトハニーにバニラを加え、アニマリックな一筋縄ではいかない甘さの領域に、バラの香りを引き込んでゆきます。そしてアルデハイドとレモンも加わり、咲き誇るバラの花びらの柔らかな感触ととげの気配を素肌で感じ取らせるように、摘み取ったバラではなく、咲き誇るバラの花びらに包み込まれていくような余韻に満たされてゆきます。
やがて、ガイアックウッドとムスクにより生命力を増したローズが豊潤さを発散させる中、心をかき乱すようなスモーキームスキーな温かくて冷たいミステリアスな余韻を奏でながら、素肌の上で気高く散るローズを惜しむ歌を聴かせてくれるのです。
重くて濃厚ではなく、パウダリーでクラシカルでもなく、ローズウォーターのようにすっきりと若々しすぎない、太陽の下で咲いているバラの自然な姿をシンプルに素肌で味わう香りです。なぜか、この香りを身に纏うと蜜蜂と蝶々に追いかけられます。
「バラの女王」というよりも「バラの王妃」と呼ぶ方が相応しいかもしれません。たとえば〝理想の王妃〟がマリー・アントワネットやダイアナ妃ではなく、グレース・ケリーやキャサリン妃であるように、この香りはバラのあるべき姿を完璧に素肌の上で具現化してくれる香りです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「サ マジェステ ラ ローズ」を「すがすがしいローズ」と呼び、「石鹸とレモンのような、アルデハイドとシトロネラールの香りを経由してから、その名のとおり、中性的なイギリス庭園に漂う空気と爽やかなローズの香りにたどり着く」
「この香りが好きかどうかは、ローズ本来の香りをどう思っているかによる(私自身は、バラは茎の上に乗っているほうが好きだ)」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:サマジェステラローズ(バラの女王)
原名:Sa Majeste la Rose
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)


シングルノート:モロッコ産ダマスクローズ、ガイアックウッド、クローブ、ホワイトハニー、ムスク、ブルーカモミール

