レザー ウード
原名:Leather Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:男性
価格:40ml/12,420円、125ml/28,080円、250ml/39,420円
〝まぼろしのディオール・ウード〟の香り
ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」といった3種類の香りからはじまりました。そして、2009年に「アンブル ニュイ」が発売され、さらに2010年に一挙7種類の香りが発売され、「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」が廃盤となり全9種類となりました。
そのうちのひとつ「レザー ウード」は、ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。2016年に一度だけ日本で限定発売された〝まぼろしのディオール・ウード〟の香りです。下記の公式文章に嘘偽りのないクオリティの香りです。それはウードのクチュールコレクションと表現して良いでしょう。
日本でもウードの市民権が獲得されはじめている今こそ、再販を強く望む〝本格派ウードの決定版〟と言えます。
つまり、蝶のように舞い、蜂のように刺すウード、さらに一言追加すると、豹のようにしなやかなウードなのです。この香りを身に纏う人間に狙われたら、ほぼ間違いなくハートを撃ち抜かれるであろう『危険な甘きウード』です。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。ウードの〝最も危険な遊戯〟
私が最も苦手な香り、それはクミンの匂いです。香水に使うと良いこともあるのは知っていますが、私はクミンを使うのがとても苦手です。
フランソワ・ドゥマシー(そんな彼が唯一クミンを使ったのがこの「レザー ウード」)
〝ウードの最も危険な遊戯〟は、死刑宣告のお達しのようなベルガモットの閃光からはじまります。太陽は盗まれ、その後に暗黒のウードが全身に降り注いでゆきます。
燃える暗黒のウードは、スモーキーさと、蜂蜜の甘さと、カルダモン、クローブ、シナモン、クミンのスパイシーさと、シベットのアニマリックさと、ジャスミンのインドールをひとまとめにして全細胞を支配せんと、五感をよろめかせるように満ち広がってゆきます。甘い囁きと酸っぱい仕打ち、つまりは飴と鞭で、身も心も飼いならされていくように温かく素肌にとろけて匂い立ちます。
やがて、最高級のインドネシア産のウードが燃え尽きた後、アニマリックなレザー(バーチ)が、カルダモンとアンバーウッドになめされながら、すっかり骨抜きにされたあなたと一体化してゆくのです。
ウードの余韻にさえも、魔性の木の調べを生み出してゆく、シダーとサンダルウッド、ガイアックウッドの四重奏が、しっかりと私たちのよろめく心にとどめを刺してくれます。愛されるように身に纏うウードです。一度このウードを身に纏ってしまうと、どんどんウードの世界の深みに嵌ってしまうことになるでしょう。
私はこう妄想します。ディオールの人々がこの香りを一嗅ぎし「この香りだけは、日本で発売してはいけない」と考えたのだと。〝男と女の貞操観念を破壊する香り〟または〝よろめきのウード〟です。究極の快楽と一緒に使いたい香りです。
香水データ
香水名:レザー ウード
原名:Leather Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:男性
価格:40ml/12,420円、125ml/28,080円、250ml/39,420円
トップノート:ベルガモット
ミドルノート:カルダモン、クローブ、ゼラニウム、ジャスミン
ラストノート:レザー、ウード、砂、スモーク、アンバーウッド、バーチ、パチョリ、サンダルウッド、蜂蜜