究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
ラルチザン パフューム

【ラルチザン】ル シャン ド カマルグ(アルベルト・モリヤス)

ラルチザン パフューム
@L'Artisan Parfumeur
この記事は約5分で読めます。

ル シャン ド カマルグ

原名:Le Chant de Camargue
種類:オード・パルファム
ブランド:ラルチザン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/28,820円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

スポンサーリンク

皇帝アルベルト・モリヤス、ラルチザンに初登場

@L’Artisan Parfumeur

プーチ社が買収した後(2015年)の新生ラルチザンが打ち出した新コレクション「レ ペイザージュ」。それは、フランス各地を調香師たちが旅し、その美しい風景と大地、そして、美しい花々や植物などから着想を得た〝香りの絵葉書〟です。

「レ ペイザージュ」第五弾として2019年に発売されたのが「ル シャン ド カマルグ」です。その名の意味は、フランス語で「カマルグの歌」です。


ローヌ川と地中海に囲まれたフランス南部の三角州地帯カマルグは、複数の塩湖で区切られたフランスでも珍しい湿原地帯です。

フラミンゴの飛来地として有名であり、牛や馬の放牧も行われています。その半野生化した馬を「カマルグの白い馬」と呼びます。そして、フランス国内の98%の稲作の生産量を担う塩分を多分に含んだ水田と、ピンク色の塩田で有名なペルル・ド・セル(塩の真珠)と呼ばれる天日塩の産地としても有名です。

さらにアンリ4世によって稲作が開始されたカマルグ地方のライスは、ソフトでクリーミーな香り立ちが特徴で、9月から10月にかけて収穫されます。

そんなカマルグ地方にオマージュを捧げたこのミルキーフローラルの香りは、アルベルト・モリヤスにより調香されました。モリヤスにとってはじめてのラルチザンの香りです。

モリヤスがかの地を訪れて(ここで、モリヤス様のことだから、実際には、現地を旅してなさそうという疑問が出てくるのですが、どうやら、今回は本当に現地を訪れたらしい)最も印象に残ったという、山車が行進するライス・フェスティバルの風景。そして、そこから漂う、“ホワイトゴールド”と呼ばれるカマルグライスの、フローラルで、パウダリー、かつクリーミーな香りを中心にこの香りは構成されています。

スポンサーリンク

最も難しい香りの創造=「おいしいライスの香り」

@L’Artisan Parfumeur

@L’Artisan Parfumeur

香りを構築するときに、最も難しいのが、私たちが主食とするものの香りを、フレグランスとして成立させることです。そして、そのひとつはライスです。

モリヤスは、黄金色の稲穂が風に揺れる中を歩いているかのような香りを生み出すために、シンプルな調香を心がけ、3つの合成香料を巧みに配合しました。

まず最初に、イタリア・カラブリア産の天然のベルガモットを使用し、スモーキーなラベンダーの側面を演出します。

そこに、豊かなジャスミンの匂いを生み出すヘディオンと、スズランのような清々しい匂いを生み出すパラジソンによって淡いフローラルを加え、さらにアクアティックなアンブロキシドとクリーミーなサンダルウッドによって、すべてを包み込むような乳白色でミルキーなライスアコードを作り上げたのでした。

大自然の中でミルク風呂に入っているような感覚に包まれるミルキーフローラルの香りは、私たちが日常生活で忘れつつある大地と触れ合い生きる喜びを想い出させてくれます。

さらに言うと、このボディクリームのようなミルキーな香りは、日本人女性の嗜好にピタリと当てはまり、一度肌で体感してしまうと、理性よりも本能がこの香りを求めて止まなくなることでしょう。

スポンサーリンク

ミルク風呂でまどろむように肌に浸透する香り


温かい太陽の光に包まれた野天のミルク風呂は、ベルガモットの木陰にあります。スプレーを一吹きするとそんな情景が頭の中に浮かんでくるほどに鮮やかにベルガモットが弾けてゆきます。

すぐにヘディオンとパラジソンによるジャスミンのふんわりと甘い芳香が、ライスアコードと溶け合い、クリーミーなミルク風呂に全身を浸しているような温かさと甘さで包みこんでゆきます。フレッシュさと温かい甘さの見事なコントラストがそこにはあります。

それはまるで野天のバスタブから、頭上にふんわりと浮かぶ雲を眺めているようです。それはライスの匂いを嗅いだときに感じる農耕民族だから感じ取ることの出来る安らぎのようでもあります。そんな〝甘いやすらぎ〟に包まれるようにして、この香りははじまるのです。

やがて、潮風のようなアンブロキシドを含んだクリーミーなサンダルウッド(スパイシーなアクセントあり)とホワイトムスクにより、ミルキーなライスの香りは、パウダリーなライスの香りへと変化を遂げてゆくのです。

そして、風の音や、虫の音まで感じるほどの優しい田園の香りに包まれながら、はかなくもあまい香りの余韻は、だんだんと真っ白に燃え尽きるように肌に吸い込まれるように消えてゆくのです。

ラルチザンの「ボア ファリヌ」(2003)の小麦粉の香りを連想させる香りとも言えます。ただし、こちらのほうがよりクリーミーでミルキーな甘さがあります。

ボックスとボトルラベルは、かつて、フランスのブックカバーに用いられていた伝統的でアーティスティックな「マーブル柄」がデザインされており、(ブランドとしてはじめて)ボックスのラベルに調香師の名前が記されています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ル シャン ド カマルグ
原名:Le Chant de Camargue
種類:オード・パルファム
ブランド:ラルチザン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/28,820円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:カラブリア産ベルガモット
ミドルノート:ライス、パラジソン、ヘディオン
ラストノート:サンダルウッド、アンブロキシド