ラ ポ ヌ
原名:La Peau Nue
種類:オード・パルファム
ブランド:セリーヌ
調香師:不明
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/39,600円、200ml/60,500円
公式ホームページ:セリーヌ
70年代のフレンチ女優たちの香り
10代の頃、雨の日の午後は、セーヌ川のほとりにある古本屋で見つけた映画レビューの色々なページを切り抜いていました。それはブロンドヘアに上半身裸の「恋のマノン」のカトリーヌ・ドヌーヴや、「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」のアンドロギュヌスなジェーン・バーキン、そして、「男性・女性」のエレガントなフランソワーズ・アルディでした。
70年代のパリジェンヌ達のシルバープリントは永遠に不滅です。
エディ・スリマン
2019年11月15日に、セリーヌはエディ・スリマン体制に入り、はじめてのフレグランス・コレクション「セリーヌ オート パフューマリー コレクション」として、9種類の新作フレグランスを発表しました。
そのうちのひとつである「ラ ポ ヌ」は、フランス語で「素肌」という意味です。そして、この香りは70年代のフランス映画のヒロインに対して捧げられた香りです。
ファッション・デザイナーが生み出す『素肌』の香り
このパウダリーな、儚げなコンポジションにある柔らかさ、安らぎ、新古典主義の一形態という概念は、軋んだ現代に対する解毒剤であるように思われます。厳しさと儚さとの戦い。そんな思いから生まれたのが、「ラ ポ ヌ」「コロン フランセーズ」、「サン ジェルマン デ プレ」なのです。
エディ・スリマン
ファッション・デザイナーの禁じられた願望。それは、ファッション=衣服の存在を一切必要としないエレガンスの提案をしてみることです。そんな願望をフレグランスによって叶えようと、エディ・スリマンが最もワクワクしながらプロデュースしたと思われるのが「ラ ポ ヌ=素肌」です。
70年代のパリのエレガンスをファッションではなく、素肌に振り掛けるエリクサーにより表現しようと試みた「ラ ポ ヌ=素肌」という名のこの香りは、心の中の輝きを肌の輝きに変えていくように、シンプルの素材の良さを生かした香りです。
心に染み込むように優しくベルガモットが爽やかな香りを運んでくれるところからこの香りははじまります。そんなベルガモットの香りに乗ってうっとりするほど美しいオリス・バターがパウダリーなエアリーさで包み込んでくれます。どうやらこの中には、ほんのり甘いライス・アコードが含まれているようです。
コスメティックな肌の香りではなく、肌の香りの上にコスメティックな香りが二層仕立てしているように感じるのは、実に巧みなこのライス・アコードによる効果です。そのためクリーミーな肌のきらめきが実感できるのです。
すぐにパウダリーなローズが、腕の良いメイクアップ・アーティストのように肌に透明感を与えてゆきます。そして、スモーキーなベチバーのアクセントが加えられ、甘やかさは抑えられ、まさに昔のディオールスノーの広告に書かれていた以下のキャッチコピーをフレグランスが、はからずも体現してゆくのです。
〝透明感溢れる肌に必要な5つの条件に働きかけます。「均一な肌色」「明るさ」「みずみずしさ」「ハリ」「キメ」〟それはとてもゴージャスなローズとアイリスのランデブーです。
マスクミラノの「ラテッサ」とよく比較される香りです。
ラルチザンから2019年に発売された「ル シャン ド カマルグ」を想起させるこの香りは、もしかしたら、アルベルト・モリヤスによる調香かもしれないです。
香水データ
香水名:ラ ポ ヌ
原名:La Peau Nue
種類:オード・パルファム
ブランド:セリーヌ
調香師:不明
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/39,600円、200ml/60,500円
公式ホームページ:セリーヌ
シングルノート:ベルガモット、ローズアブソリュート、オリス・バター、ライスパウダー、ベチバー