究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
イヴ・サンローラン

【イヴ サンローラン】ラ ニュイ ド ロム(アン・フリッポ/ドミニク・ロピオン)

イヴ・サンローラン
©YSL Beauté
この記事は約6分で読めます。

ラ ニュイ ド ロム

原名:La Nuit de l’Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:アン・フリッポ、ピエール・ワーグニー、ドミニク・ロピオン
発表年:2009年
対象性別:男性
価格:60ml/11,330円
公式サイト:イヴ・サンローラン

スポンサーリンク

史上最高のカルダモン・フレグランスのひとつ。

©YSL Beauté

©YSL Beauté

2000年にYSLパルファムを買収したグッチ・グループのトム・フォードは、YSLボーテの復興という一大野心を果たすため、シャンタル・ルースをYSLボーテの最高責任者として起用しました(2007年まで)。彼女の力量により、YSLのメイクアップ部門は5年間で56%の成長を遂げました。

彼女こそが、1976年から1990年までイヴ・サンローラン・パルファムのインターナショナル・プロダクト・ディレクターとして「オピウム」「パリ」などのクリエイティブ・ディレクターの役割を果たし、1992年には、イッセイ・ミヤケの最初の香水「ロー ドゥ イッセイ」も作り上げたオゾン革命の立役者でした。

2002年1月にイヴ・サンローラン(1936-2008)が引退し、さらに2004年4月、トム・フォードは、グッチ及びイヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターを辞任しました。その後、シャンタルの指揮により、YSLからはじめて発売されたフレグランスが、2006年に発売された「ロム」でした。この香りは、イヴ・サンローラン存命中に発売された最後のメンズ・フレグランスとなりました。

「ロム」は、2007年にフランスで6番目に売れたメンズ・フレグランスとなり、見事にその役割を果たしました。そして2008年6月に、イヴ・サンローラン・ボーテがPPRグループ(現ケリング)からロレアルに買収された後に、最初に誕生したメンズ・フレグランスが、2009年3月に発売された「ラ ニュイ ド ロム」でした。

〝男の夜〟と名付けられたこの香りは、男性の内に潜む、隠された「夜」の魅力を引き出していくフレッシュ・オリエンタルの香りとして、オリジナルを創造したアン・フリッポピエール・ワーグニードミニク・ロピオンにより調香されました。

「ロム」のフランカーとして、最終的には、オリジナルを遥かに凌駕する人気を誇るメンズ・フレグランスとなりました。

スポンサーリンク

危険なままで終わらない男ほど危険なものはない

©YSL Beauté

©YSL Beauté

いままで日中しか会うことのなかった男性と、ふとしたきっかけで夜に会うことになり、昼間とのギャップにハートを撃ち抜かれてしまう、そんな危険な男を生み出す〝カルダモンの企み〟それが〝イヴ・サンローランでドレスアップした夜の香り〟です。

太陽に愛されていた男が、夜の光にも愛されていくように、明るく輝くベルガモットと〝スパイスの女王〟カルダモンのスリリングなコントラストと緊張感からこの〝カルダモンの企み〟ははじまります。

すぐに激しく情熱的なラベンダーが広がり、神秘のヴェールでベルガモット×カルダモンを包み込んでゆきます。フレッシュなカルダモンが温かいアロマティックなカルダモンへと変わってゆく至福のひと時、ブラックカラントの微かな抱擁、まるで抑制と奔放の間で心が揺れる女性の心を弄ぶように見つめているようです。

男性が身にまとうと、スパイスと柑橘とハーブがぞっとするほど魅力的な緊張感を素肌の上で感じさせてくれます。一方、女性が身にまとうと、危険な男のアイコンタクトに捉えられ、溺れていくようなよろめきを感じさせてくれます。このカルダモンは、女性を天国と地獄へ突き落していく〝悪魔のようなあなた〟なのかもしれません。

情熱的なラベンダーはだんだんと円やかなものとなり、カルダモンはキャラウェイの鼻を衝く甘さと結びつき、相反する二つの魅力が素肌の上でとろけて匂い立ちます。

やがて背後で獲物を求め舌なめずりする甘くクリーミーなクマリンと、静かに洗練された軽やかさで佇むシダー、そして深みのある野生味溢れるグリーン・ベチバーがひとまとめになり広がってゆきます。

まるで暗闇で煌めくような、スパイシーでありながら、石鹸のように軽やかな、大胆さとエレガンスの完璧なまでの官能のバランスに身を委ねていくように、セクシーなオーラに満たされてゆきます。

ちなみにこのヴァージニア産シダーは、20年間で4mしか成長しない別名〝レッドシダー〟と呼ばれる貴重なものであり、その根を水蒸気蒸留したものです。

スポンサーリンク

スパイスの女王を虜にする、黒いダイヤモンドの閃光。

©YSL Beauté

素肌と共犯になってくれる、香りの紳士同盟。セクシーでミステリアスな夜の男の香り、でありながら、男性的すぎず、少し悲しげ、そしてだんだんと素肌の上に馴染んでいくと、心地よい温かさで包み込んでくれる、かなり危険な香りです。危険なままで終わらない男ほど危険なものはない

夜な夜な美女をとっかえひっかえする〝夜の男〟を体現するキャンペーン・モデルは、2009年当時、世界最高の美女と言われていたモニカ・ベルッチ(1964-)と結婚していた頃の、ヴァンサン・カッセル(1966-)でした。フォトグラファーはマート・アラス&マーカス・ピゴットでした。

一方、新しいキャンペーン・フィルムの方は、ファッション・モデルのヴィニー・ウールストンキャサリン・マクニール(1989-)であり、スタイリッシュな男女の官能性が演出されています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ラ ニュイ ド ロム
原名:La Nuit de l’Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:アン・フリッポ、ピエール・ワーグニー、ドミニク・ロピオン
発表年:2009年
対象性別:男性
価格:60ml/11,330円
公式サイト:イヴ・サンローラン


トップノート:ベルガモット、カルダモン
ミドルノート:ラベンダー、ヴァージニア・シダー
ラストノート:ベチバー、クマリン、キャラウェイ