グレタ・ガルボ。永遠の神秘。
グレタ・ガルボは、大きい手足にコンプレックスを持っていました。それらをカバーするために、常に長い袖丈とスカート丈の衣裳を要求しました。手足の先まですっぽりと覆ったファッション(ファーで全身を覆うことも含めて)が、グレタ・ガルボのトレードマークとなり、その神秘性を高めました。
ガルボは露出しない。ガルボはあまり表情を変えない。そう、静の人だからこそ動が映える人なのです。彼女はマスコミのインタビューもほとんど断り、アカデミー賞会場にも一切現れませんでした。スターの極意とは?「私生活を見せないこと」。グレタ・ガルボは、神秘性を纏ったスーパースターでした。そして、彼女の存在があればこそ、ジョーン・クロフォードは、この作品の中で、野生の血を呼び覚ませたのでした。
結果的に彼女は、当時誰も想像もしなかったことを成し遂げたのです。それは、あのグレタ・ガルボを完全に食ってしまったのでした。この映画は、見ていない人にとてはグレタ・ガルボの作品であり、見た人にとっては、ジョーン・クロフォードの作品なのです。
美の追求なんて、本当に必要なことでしょうか?
ジョーン・クロフォードの体形は、当時の女性美から見ると、肩幅があり、胴長短足でした。衣裳を担当したエイドリアンは、考えました。普通は欠点は隠すものだが、むしろ彼女の広い肩を一層強調したデザインで、相対的にウエストが細く見えるように彼女のスーツをデザインしました。
グレタ・ガルボの鋭角に生み出された官能性と、ジーン・ハーローの身体の線が分かる豪奢な妖艶さを融合させた。攻撃的な服を作りました。優れたファッション・デザインのアイデアは、女性の長所から生み出されるものではなく、欠点から生み出されるものなのです。
ジョーン・クロフォード・ルック1 ブラックテーラードスーツ
- 膝下丈のテーラードされたブラックスーツ。ダブルボタン。。左右非対称なレースカラーが生み出す不安定なネックライン
- ラッフルスリーブの白のロンググローブ
- クローシュ
- ラウンドトゥパンプス
ジョーン・クロフォード・ルック2 バイカラー・ソフトスーツ
- バイカラーのボウタイブラウススーツ
- カプリーヌ