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イヴ・サンローラン

【イヴ サンローラン】イン ラブ アゲイン(ジャン=クロード・エレナ)

イヴ・サンローラン
©YSL Beauté
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イン ラブ アゲイン

原名:In Love Again
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:100ml/8,500円

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イヴ・サンローランの40周年記念フレグランス

1998年 ©YSL Beauté

イヴ・サンローランのディオールにおけるファースト・コレクション。トラペーズライン。1958年 ©SAINT LAURENT

若干21歳にしてクリスチャン・ディオールの主任デザイナーになったイヴ・サンローランが、ファースト・コレクションでトラペーズラインを発表したのは、1958年のことでした。

イン ラブ アゲイン」は、1998年に、サンローランのデザイナーとしての40周年を記念し、ジャン=クロード・エレナにより調香され、世界中で5万本限定で販売されました。そして、発売と同時に、世界中で爆発的に売れました。

何よりもこの香りがすごいのは、天然のグレープフルーツ精油(主成分はリモネン)はオレンジの香りに似すぎていて、フレッシュなグレープフルーツの特徴が欠けていると考えたエレナが、グレープフルーツをはじめとするすべて100%合成香料でのみ、この香りを生み出したところにあります。

さらに、2004年に、イヴ・サンローランのフレグランス40周年を記念して1年間限定で再販され、日本だけで13000本売れたといわれています。ボトルのキャップもハーレクイン柄からゴールドキャップに変更されました。

ちなみに2000年にイヴ・サンローランから「ベビードール」というセシル・マットンラルフ・シュワイガーが調香した、この香りの精神を引き継ぐフレグランスが発売されました。

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苦いグレープフルーツと共にやって来る、失われた恋の記憶

1998年 ©YSL Beauté

モデル:ユージニア・ヴォロディーナ、2004年 ©YSL Beauté

「イン ラブ アゲイン」とは、〝愛をふたたび、あの胸のときめきを〟という意味を持つ香りです。それは、恋に対しても、仕事に対しても、かつて傾けた情熱を忘れないで!という前向きな意味とは別に、甘酸っぱい失敗の記念碑でもあり、ほんの一瞬手にした甘い勝利の味でもあるのです。

この香りの面白いところは、春夏秋冬どのシーズンがベストというのではなく、恋が失われたときに身にまとうように調香されているという点です。

輝く太陽の下、失恋のはじまりのような青くてピリっと苦いフレッシュなグレープフルーツからはじまります。すぐにトマトの葉のグリーンが香り、そこに酔わせるブラックカラントとウォッカが注ぎ込まれ、ブルーベリーとアップルのジューシーな芳醇さが溶け込んでゆきます。

傷ついた、疲れ果てた心に対する清涼剤のように、香りは甘く優しく、時に情熱的に、シトラスとグリーンとフルーツのシャワーであなたの心の汚れを洗い流してくれるようです。

やがて、心の泉に水が満たされていくように、ウォーターリリーの香りが広がってゆきます。そして、クリーミーなサンダルウッドとムスクの楽観的な風に乗り、幸せの赤いバラは静かに開花してゆくのです。

まるで、かけがえのない瞬間に生まれた喜びのようにバラはゆるりと咲きます。失恋で苦みばしっていたグレープフルーツを励ますように優しく咲くのです。かくして、再び愛に目覚めたグレープフルーツは、甘やかな生き生きとした喜びを解き放ってゆくのです。

恋する心を取り戻したグレープフルーツ〟があなたの心の中で輝き続けるのです。こうしてこの香りを身にまとった男女が遭遇すると、〝愛をふたたび〟求め合うようになるのです。

若い女性がつけると、初恋の苦い思い出と共に、次の恋を期待する香りとなり、酸いも甘いも噛み分けた女性がつけると、そんな彼女でさえももう一度、めくるめく恋の情熱に包まれたいと思う香りとなるのです。

この香りの先に、エルメスの「ローズ イケバナ」があり「ケリー カレーシュ」があるのです。

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イン ラブ アゲイン 2011年版<ラ コレクション>

トップノート:マンダリンオレンジ、ブラックカラント
ミドルノート:葡萄、ローズ、ピオニー
ラストノート:ムスク、ブラックベリー

2011年からリニューアルされ発売されていた「イン ラブ アゲイン」のテーマは、公式ホームページに記されているように「一瞬で惹かれあう“ひとめぼれの香り”」でした。

〝愛をふたたび、あの胸のときめきを〟の主役だったグレープフルーツは存在しません。この香りは、どうやら「Love At First Sight」もしくは「Coup De Foudre」という名であるべき、続編と考えるべきでしょう。非常に良く出来た香りです。

ブラックカラントとマンダリンオレンジのスリルを感じさせる出会いからこの香りははじまります。お互いにひとめぼれし、その愛を祝福するマスカットの煌きに包まれながら、シャンパンのように弾け合い、肌の上に降り注ぐのです。

どうやらビターグリーンなハーブもこの恋を祝福しているようです。すぐに、ローズとピオニーが温かくこの恋の行方を見守るように優しく香り立ちはじめます。

やがて、ムスクに甘やかされたブラックベリーが、マスカットのシャンパンの残り香と混じりあい、肌の上を生き生きと駆け抜けてゆくのです。

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香水データ

香水名:イン ラブ アゲイン
原名:In Love Again
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:100ml/8,500円(廃盤)


トップノート:ブラックカラント、カッシア、ブルーベリー、ウォッカ、グレープフルーツ、アップル、
ミドルノート:グレープフルーツ、ウォーターリリー、ローズ
ラストノート:サンダルウッド、ムスク、ブラックベリー、トマト