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作品データ
作品名:007 スペクター Spectre (2015)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/レア・セドゥ/ベン・ウィショー/モニカ・ベルッチ/クリストフ・ヴァルツ
よ~し、雪山でボンドのスーパーアクションが見れる!
雪山シーンというのはボンドムービーでは、かならず滑降と言うお約束が付いてくるのですが、本作では、小型飛行機を活用した大した面白みのないアクションが、一切のユーモアのないご都合主義的な展開で、繰り広げられただけでした。ダニエル・ボンドに共通している点として、アクション・シーンが平坦で面白くない所にあります。
こういう所は、『スペクターX』のような80年代香港アクション映画の精神を見習ってもらいたいところです。膨大な予算で大仕掛けに振り回されて、ただ淡々と流れをこなしているような展開が、つまらないです。アクション映画なら、キャラクターにあった程好いユーモアと、奇抜な仕掛けと、悪役の活躍と、三段オチを持ってくるサービス精神で作らないと、ただもうジェームズ・ボンドが、戦ってるだけの作品になってしまうのです。本来のボンドとは、もっとワクワクするようなアクションを魅せていました。
動きの悪いロジャー・ムーアが、スキーで滑降して、断崖絶壁から飛び降り、ユニオンジャックのパラシュートが開いたり、ロータスが潜水艦に変身したり、ジョーズというとんでもない悪役が登場したり、スペースシャトルで宇宙に行ったり、金粉まみれになって死ぬ美女がいたり、車の助手席がぶっとんだり、阿蘇山が秘密基地だったり、猫を抱くマオカラーの悪役が出てきたり、手にベアクローをつけたボスがでてきたり(あっこれは『燃えよドラゴン』でした。失礼)、つまり、後世のパロディー映画にとって絶好のネタの宝庫だったのです。
本作のアクションシーンは、お金はかかってることは分かるのですが、ただお金がかかっているだけで、映画の面白味にすごく欠けています。バスター・キートンのような連続するアクションが生み出すカタルシスが全く存在しないのです。
ジェームズ・ボンド・スタイルにリアル・クローズを求めるなかれ
大人の男女のファンタジー・ムービーとして、007は、10代から20代の男女にとって、夢のような大人の世界であり、30代以上の男女にとっては、大人の男女の究極を知る世界です。本作でボンド・ガールがいまいち輝かなかったのは、高級リゾート地(もしくはケン・アダムがデザインしたようなオシャレな悪の基地)を訪問する二人の絵が存在しなかった点にあります。そこで、美しいドレスに身を固めたボンドガールが登場し、日中の避暑地でのオフのファッションと、夜のカジノでの、オンのファッションのギャップにクラッとくる訳なのです。
だからこそ、ボンドムービーが公開されると、スーツと、リゾートファッションの売り上げが上がるわけです。人々は、リアルクローズだけでは、生きていけません。ファンタジー性を秘めたファッションアイテムを日常生活に落とし込んでいくのが、男性にとっての個性となり魅力となるのです。そして、高級リゾートに訪問した際には、「ボンドみたいだね」という一言が出てくるのです。
ジェームズ・ボンド・スタイル5 ボンバージャケット
- トム・フォードのボンバージャケット。腕の部分がニットで、バックスタイルもニット。かなりのカッコ良さです。
- トム・フォードのトラウザー
- エヌピールのモックタートルネック・セーター
- アニェルの黒革グローブ
- ヴュアルネのスノーゴーグルスタイル・サングラス
- ダナーのマウンテンライト2のブラック。60年代バックパッカー御用達のハイキングシューズ
- ブルネロ・クチネリのカウハンド・ボストン・バッグ
- オメガのシーマスター300。時計バンドはNATO軍の軍備品「NATO G10」を使用。1964年「ゴールドフィンガー」着用ベルト。ローレックスのサブマリーナーに。「死ぬのは奴らだ」の如く赤の文字盤が発光する
ミッソーニとカナダ・グースを着こなすQ
草食男子〝Q〟スタイル2
- ミッソーニのタートルネックセーター。グレイにブラウンボーダー。2014年AWコレクション、約$1200
- カナダ・グースのコモ・パーカー
- バイカラーのスキー帽
- UnivoのプラスティックU5眼鏡
- グレーの指あき手袋。ニット
- クラークスのナヌライズGTX
- バブアー×ランドローバー・ブリーフケース・バッグ