カリフォルニア ドリーム
原名:California Dream
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円、200ml/53,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン
価格:1,420円 |
ルイ・ヴィトンの香りを愛する二つの客層
私は夕焼け(サンセット)が大好きです。なぜならそれは何かが終わり、新しい何かがはじまろうとしている瞬間だからです。
ジャック・キャヴァリエ
2019年4月に発売された「パルファン ド コローニュ」の3種類の香りに次いで第4弾の香りとして、2020年5月28日に販売されたのが「カリフォルニア ドリーム」です。
ルイ・ヴィトンの専属調香師ジャック・キャヴァリエにより調香されました。この香りの構想は、3作品を紹介した後すぐにジャックの中に湧き上がり、1年間かけて生み出されました。
ルイ・ヴィトンの香りについての客層はおおまかに二つに分かれます。ひとつは、フレグランスIQというものをはなから度外視したルイ・ヴィトンというブランドを愛する人々であり、もうひとつは、ジャック・キャヴァリエが作るルイ・ヴィトンの香りに興味があるフレグランスIQが高い(もしくは高めつつある)人々です(ちなみにルイ・ヴィトンというブランドに対して、バッグ、ファッションも含め専門知識を振りかざすだけ野暮であるという考え方も、それはそれで私は正しいと思っています)。
そして、この香りは、前者においては、そのボトル・デザインの素晴らしさから人気を博しており、後者においては、明らかに価格帯と釣り合わない平凡な香りに、落胆を与えています。
ちなみにこの香りは、ジャックのイメージと、ビジュアルアーティストのアレックス・イスラエルが2013年に発表した「Sky Backdrop」の世界観が合致したことにより生まれた作品です。
カリフォルニアの夢とは?
「カリフォルニア ドリーム」という香りは明らかに、ママス&パパスが1965年に歌った「California dreamin’(夢のカリフォルニア)」(全米No.4)をイメージさせることを前提につけられたネーミングです(ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』にも使用されていたあの名曲)。
寒い冬の日に、温かいカリフォルニアを夢に見るという歌詞の曲であり、発表当時、ベトナム戦争に従軍したアメリカ兵にとって、遠い異国の地から、アメリカを懐かしむという意味も生み、やがて反戦ソングの意味合いも持つようになりました。
そんな歴史的なヒットソングの連想させる名前をつけた「カリフォルニア ドリーム」という香りは、(ルイ・ヴィトンの香りをほとんど所有している私から言わせれば)マンダリン・オレンジを強引に、カリフォルニアの夢と結びつけることによって、ルイ・ヴィトンのロゴとブランド名に夢中な人々をターゲットにした夢も希望もない〝ファッション・フレグランスの腐りきった果実の香り〟そのものです。
つまりは、「リマンシテ」のように、1/3のお金で似たような香りはたくさん存在する類の香りであり、だからこそ、ただルイ・ヴィトンの新作サマー・フレグランスが欲しい顧客層に対しては絶大なる効力を発揮する、実に販売しやすい〝優秀な香り〟と言えるでしょう。
ドリップコーヒー、2回目の香り
カリフォルニアとロサンゼルスは私の第二の故郷です。私はマリブから見るビーチのサンセットを愛しています。それはブルーとピンクが溶け合い、新鮮さと柔らかさを思い起こさせます。
ある日、ブルーとピンクの完璧なバランスを目撃してしまい私はあっけにとられました。そして、この香りが欲しい!と渇望しました。こうしてカリフォルニア・ドリームの着想は生まれたのでした。
ジャック・キャヴァリエ
枝の香りまでしっかりとするマンダリン・オレンジから「カリフォルニアの夢」ははじまります。太陽が夕焼けになる前の一瞬のような鈍い煌めきを包み込んだような香りです。そこに、ジューシーな洋ナシが投入されることにより、アンブレットシードの温かい甘さと調和し、圧倒させるような感覚ではないが、生命力に満ちた夕焼けのカリフォルニアへと導いてくれます。
その日の心地良い疲労感を包み込んでくれるような、バニラのように甘いベンゾインが、肉体を包み込み、浮遊感を与えてくれます。それは、ある人には、夕焼けの中で、海水の中で浮遊する至福の瞬間であり、また別の人には、夕焼けを背に、ディナーのために水着からドレスへと着替えする「大いなる休日の余韻」なのです。
私は、ルイ・ヴィトンの香りを作るとき、常に、エモーションからはじまり、次に原材料の選択、そして、最後に、コンセプトを考えます。
ジャック・キャヴァリエ
この香りは、マンダリン・オレンジとアンブレット、ベンゾインのコントラストが生み出す夕焼けのようなグラデーションを香りに投影したフレグランスなのですが、結果的には、「ルジュール スレーヴ」をドリップコーヒーに見立てると、その2回目の色ばかりしっかりしているが、肝心の味は薄っぺらで美味しくもない、そんな香りになってしまっています。
それはまさに、頂点に君臨するラグジュアリー・ブランドの上に胡坐をかき、過去の創造性も、野心も全て消えうせた天才と呼ばれた男が作る二杯目のコーヒーとも言えるのでしょう。
ルイ・ヴィトンではじめて作られたお金をドブに捨てるような香りです。そして、私が、フレグランスに興味がなければ、間違いなく、最初に購入したい香りです(一番目を惹く素敵なボトル・デザインゆえに)。どちらにしても、天才が生み出したファッション・フレグランスの最高峰と言えます。
香水データ
香水名:カリフォルニア ドリーム
原名:California Dream
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円、200ml/53,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン
シングルノート:マンダリンオレンジ、洋ナシ、アンブレット、ムスク、ベンゾイン
【箱・外装不良】【ミニサイズ】 ルイヴィトン LOUIS VUITTON パルファン・ド・コローニュ カリフォルニアドリーム EDP 2ml [091259]【メール便可】 価格:1,900円 |
価格:33,550円 |