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【リキッドイマジネール】ボーテ デュ ディアーブル(ルイーズ・ターナー)

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ボーテ デュ ディアーブル

原名:Beauté du Diable
種類:オード・パルファム
ブランド:リキッドイマジネール
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円
販売代理店ホームページ:LE SILLAGE

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リキッドイマジネールについて

フィリップ・ディ・メオ

〝香水=香り〟が美容品や化粧品のカテゴリーに縛られることを明確に拒絶し、古代に神々に語りかけるためのものであったスピリチュアルな側面に光を当て香りを創造する、というコンセプトで創造されたフレグランス・メゾン「リキッドイマジネール」は、香料会社ジボダンの協力の下、2011年11月にフィリップ・ディ・メオとダヴィッド・フロサールによって創業されました。

「心地よさを生み出す生活用品や誘惑の武器という香りの持つ役割にしばし休息を与え、聖なる次元や神秘的かつ魔界的な世界など、さまざまな芸術的表現を生み出す〝香りの芸術品〟の役割を与えたいと思いました」と言うフィリップ・ディ・メオは、元々は、20年間モエ・エ・シャンドン、バカラ、ゲラン、ジャン=ポール・ゴルチエ、パコ・ラバンヌなどのラグジュアリー・ブランドのプロダクト・デザイナーとして活躍してきました。

「リキッドイマジネール=液体が生み出す幻想のものがたり」の香りは、三部作(トリロジー)のスタイルをとっており、3つの香りで1つのストーリーを完結させるように出来ています。

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「いったい、おまえは何者なのだ?」

©Liquides Imaginaires

©Liquides Imaginaires

この香りは、誰にでもつけられる香りではない。

フィリップ・ディ・メオ

2019年に発表された「ボーテ デュ ディアーブル」は、アーティストを招き、新しい創作の息吹を素肌に目覚めさせる液体として創作されたLes Eaux De L’ame(オーデラメ=魂の液体)三部作のひとつとなります。

悪魔のような美しさ〟という名のこの香りは、ゲーテの戯曲『ファウスト』を主題にルイーズ・ターナーにより調香されました。

ちなみに他の二作品はまだ発表されていません。そして残りの二作品がどのようなアーティストとコラボレーションして生み出されるのかすごく楽しみです。

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キーウ生まれのケイト・アンダーウッドについて





〝悪魔のような美しさ〟を体現するミューズとして召喚されたのは、ファッションモデルであり、フォトグラファー、DJとマルチな才能を持つケイト・アンダーウッド(Cate Underwood、1990-)でした。彼女はウクライナのキーウ生まれの新進気鋭のアーティストです(16歳までキーウで育ち、以後、パリで生活している)。

彼女のスタイルは「結局のところ、シンプルなものを手に入れるのは最も難しいのです」の一言に凝縮されています。つまり彼女は、写真を撮るときも撮られるときも、シンプルさ、厳格さ、形の直線性と本質を捉えることを最重要視しています。純粋さの追求は、綿密な構図によってのみ達成されるのです。

ちなみに彼女は、フォトグラファーの勉強をしたことはありません。20歳のとき、妊娠中にフォトグラファーになろうと決意したのでした。ケイトのスタイルは、セルフポートレイトとポラロイドです。

ポラロイド写真は、常にノスタルジックな視点を持ち、時間を超越して、見る人を過去に連れて行き、過ぎ去った記憶や感情を呼び起こすものです。ポラロイド写真は物語を語り、感情を表現し、人生について教えてくれます。

私にとって写真撮影とは旅であり、絶対的な純粋さ、厳しさ、シンプルさを追求することなのです。

ケイト・アンダーウッド

彼女自身、ニッチフレグランスが好きで、10代の頃からコムデギャルソンのフレグランスを愛用し、フレデリック・マルの「ムスク ラバジュール」、リキッドイマジネールの「ブラッディ ウッド」も愛用していました。

2015年からリキッドイマジネールのファンだったケイトは、2017年の夏、2本目の「ブラッディ ウッド」を購入しボトルの写真をインスタに投稿しました。するとフィリップ・ディ・メオから「最近、新しいフレグランスのためにキーウに行ったんだけど、この街が気に入ったよ」というメールが突然届きました。二人はこうして知り合い、パリのファッション・ウィークで初めて対面したのでした。

ちなみに「ボーテ デュ ディアーブル」という名前は、ケイトがある秋の日、ビストロのテラスに座っているときに思いついたものでした。ゲーテの『ファウスト』で描かれているように、美というものがいかに謎めいていて曖昧なものであるか、永遠の若さと引き換えに悪魔に魂を売り渡すという誘惑的な考えについて思いを巡らしたのでした。

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悪魔、今朝、わが部屋へ、訪ね来たり。

©Liquides Imaginaires

©Cate Underwood

「いったい、おまえは何者なのだ?」
「私はつねに悪を欲し、つねに善をなすあの力の一部なのです」

『ファウスト』ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

〝悪魔のような美しさ〟は、うっとりするようなラファエル、ミカエル、ガブリエルといった天使たちの合唱と共に幕開ける香りではありません。最初から、悪魔メフィストが肌の上に登場するのです。

それは颯爽と到来するフレッシュなイタリアンレモン、ビターオレンジが生み出す美しい情景の期待を見事に裏切るように、苦みばしったダークなアブサンと火打石が発火するようなジンが並々と注がれていくようにしてはじまるのです。まさにメフィストの到来です。そして、主との賭けがはじまるのです。

主の期待を一身に背負うファウスト博士の化身カーネーションを「悪の道へと引き摺り込めるかどうか」の賭けがはじまるのです。それはまるでカーネーションを言葉巧みに篭絡していくアブサンが全身に広がっていく眩暈のような感覚を覚えさせます。

この香りの全体の流れは〝予期しない誘惑の連続に翻弄される〟ところにあります。

私は、美と醜さについて持論を持っています。その本質は、コントラストは常に劇的で、魅力的で、神秘的であるということです。完璧と不完全のバランスが、美しさを特別なものにしているのです。私はこの理論を香水で具現化したいと思いました。

ケイト・アンダーウッド

そこに、スパイシーなコリアンダーと金属のように冷たいクローブ、そして、ハーバルなゼラニウムが振りまかれ、アブサンのフレッシュグリーンな側面が強調され、メフィストと契約したパウダリーなカーネーション=ファウストは若返っていくのです。

学究の徒が、肉欲にのめり込んでいくように、アニマリックで、スモーキーなシスタスが流れ、どこか病的な香りに包まれてゆきます。

そして「最も美しい瞬間」を追い求めるファウストは、魔の鏡に、究極の美を備えた女性が映るのを見てしまうのでした。はかないイランイラン=マルガレーテの登場です。彼女を一目見て恋に落ちるファウスト。永遠に終わらない回廊の石畳、それとも集まる石墓(カブルストーン)の上を歩きはじめるのです。

ハーブとスパイスに包まれたアブサンに唆され、甘やかなイランイランと一体化するカーネーション。しかしイランイランの美しさは無残にも滅ぼされていくのでした。

この香りは、アガーウッドの煌きと共にはじまる魑魅魍魎達の饗宴≪ヴァルプルギスの夜≫により幕を閉じます。はかなく失われていく≪カーネーション=ファウスト≫を飲み込んでいく≪アブサン=メフィスト≫は契約通りとその魂を奪おうとします。

とその時、合唱しながら天使達=アンバーとバチバーが天上より舞い降り、薔薇の花を撒いてアブサンを撃退し、カーネーションの魂を昇天させるのです。

暗闇の中から衝撃的な契約を持ちかける≪メフィスト=アブサン≫と、≪ファウスト=カーネーション≫の爆発的融合からはじまり、燃えるような甘い愛撫の果てに、酔わされた心と共に天上に召されていく、真にアートと呼ぶべき〝永遠の謎〟の香りなのです。

この香りは、対照的なノートで構成されています。構成は、最初はごく普通のもので、洗練された趣味を持つ人から香るような香りです。しかし、この完成度の高さに突然カオスが入り込むのです。

まず、血と愛と無限の象徴である香しいクローブの香りがします。そして、詩人の飲み物であるアニスの入ったアブサン。最後に燻る木、煙、雨上がりのアスファルトのノート。ゼラニウム、イランイラン、ハイチ産ベチバー、インセンスも入っています。

ケイト・アンダーウッド

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香水データ

香水名:ボーテ デュ ディアーブル
原名:Beauté du Diable
種類:オード・パルファム
ブランド:リキッドイマジネール
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円
販売代理店ホームページ:LE SILLAGE


トップノート:イタリアンレモン、コリアンダー、ビターオレンジ、ジン、アブサン
ミドルノート:クローブ、サイプレス、ゼラニウム、イランイラン、カーネーション
ラストノート:ハイチベチバー、アガーウッド、シスタス、カブルストーン