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【ヴィヴィアン・ウエストウッド】アングロマニア(ドミニク・ロピオン)

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©VIVIENNE WESTWOOD
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アングロマニア

原名:Anglomania
種類:オード・パルファム
ブランド:ヴィヴィアン・ウエストウッド
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2004年
対象性別:女性
価格:不明

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伝説の1993年秋冬コレクション「Anglomania」

ケイト・モス、1993年秋冬コレクション「Anglomania」

ケイト・モス、1993年秋冬コレクション「Anglomania」©Condé Nast Archive

伝説のナオミ・キャンベルの転倒。1993年秋冬コレクション「Anglomania」

20世紀後半(1976年~2000年)に世界中に影響を与えた〝音楽の革命〟は何かと問われたならば、

  1. MTVの誕生(1981年8月1日に開局)
  2. マイケル・ジャクソンのモンスター・アルバム『スリラー』(1982年12月リリース)
  3. マドンナ誕生(『ライク・ア・ヴァージン』1984年11月リリース)
  4. ヒップホップの興隆(Run-D.M.C.やN.W.A、ウータン・クラン、2パック)

そして、パンク・ロック=セックス・ピストルズの暴走が挙げられることでしょう。それぞれのムーブメントが、ファッションや映画に大きな影響を与えていきました。

1981年にブランド初のキャットウォークコレクション「Pirate」を行うことになるヴィヴィアン・ウエストウッド(1941-2022)は、1971年にオープンしていたブティック「レット・イット・ロック」の名を、1974年に「SEX」に変えました。

この頃からセックス・ピストルズ(活動期間:1975年11月から26ヶ月間)のファッションとも深く関わってゆくことになりました。この経験が、伝統的な英国ファッションとパンクを融合した独自のスタイルへと繋がり、「パンクの女王」として彼女は覚醒することになるのでした。

1983年秋冬コレクション「Witches」からパリ・コレクションに参加し、1993年秋冬コレクション「Anglomania」で、ブランドの創造性を注ぎ込んだオリジナルのタータンチェック「MacAndreas」を発表しました。

ちなみにこのコレクションにおいて、スーパーモデルのナオミ・キャンベルが、スーパー・エレベイテッド・ギリーを履き、キャットウォークで転倒し、大いに話題となりました。

1998年にブランド初のフレグランス「ブドワール」をコティとの提携により発表しました。そして「リバティン」(2000)に次ぐ第三弾のフレグランスとして2004年に発表されたのが「アングロマニア」でした。ドミニク・ロピオンにより調香されました。

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飼い馴らす感覚よりも、飼い馴らされる感覚に溺れる香り

©VIVIENNE WESTWOOD

ヴィヴィアン・ウエストウッドの伝説的なコレクション「Anglomania」の名を冠したこの香りは、ヴィヴィアンのファッションの根本にあるのが、上流階級の高嶺の花のような女性の持つ洗練されたセクシーさでも、ハイブランドで身を固めた娼婦のようなセクシーさでもない、個性を土台に、自らの反逆の精神を、笑い飛ばしながらも、ファンタジックなセクシーさへ昇華させていく逞しさだということを教えてくれます。

「アジアの情熱を持った英国の伝統」をテーマにしたこの香りは、コリアンダーとカルダモン、ナツメグがクラッシュし、生き生きと咲き誇る赤いバラの上に細かく砕けながら舞い落ちる、冷たさと熱さの中で身悶えするバラの花びらの情景からはじまります。

すぐに注ぎ込まれてゆく、甘くもパウダリーなアンバリーバニラと(メントールの効いた)グリーン・ティーが、個性的なスパイシーローズに束の間の休息を与えてゆきます。そしてここからがこの香りの真骨頂なのです。

真紅のリップを塗った、艶やかな女性の唇から解き放たれた吐息のようなヴァイオレットと、その女性の肉体を包み込むボンデージのようなスモーキーなレザーと、冷たく妖艶なビニールの香りが、どこかフェティッシュな世界へと誘ってくれるのです。

辛さと甘さでよろめかせる、魔性のスパイシーローズの香りの先にあるのは、ブラックボンデージとブラックガーターストッキングとエレベイテッド・ギリーヒールで完全武装し、気怠さを漂わせながら、一本鞭を持ち待ち構えている、黒髪におかっぱの山口小夜子様のようなしなやかな獣なのかもしれません。

まるで時間が経過するにつれて、だんだんと素肌が飼い馴らされていくように、甘くて苦いミルキーなスパイシーローズに満たされていく、飼い馴らす感覚よりも、飼い馴らされる感覚に溺れる、ミステリアスな香りです。

しかし、残念ながら、余りにも売れなくて(PR不足もあり)、3年で廃盤になってしまいました。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「アングロマニア」を「食後のウッディ」と呼び、「強烈にグルマンなトップノートは、あれもこれもと欲張り過ぎ。アングロマニアは途中でへたばってしまい、たいくつな合成のウッディアンバーのドライダウンと、PVCのレインコートを残して去っていく。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:アングロマニア
原名:Anglomania
種類:オード・パルファム
ブランド:ヴィヴィアン・ウエストウッド
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2004年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:カルダモン、コリアンダー、グリーンティー
ミドルノート:ローズ、ヴァイオレット、ナツメグ
ラストノート:レザー、アンバー、バニラ