ブライヤント パーク
原名:Bryant Park
種類:オード・パルファム
ブランド:ボンド・ナンバーナイン
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/21,000円、100ml/31,500円
ニューヨーク・ファッション・ウィークの香り
ボンド・ナンバーナインより、2007年に発売された「ブライヤント パーク(ブライアント パーク)」は、ニューヨークのマンハッタンにある公園の名を付けた香りです。タイムズスクエアとグランド・セントラル駅の中間に位置するこの公園は、まさに高層ビルが立ち並ぶ渓谷の中にある『緑のオアシス』のようです。
ブライアント・パークは、かつてニューヨーク・ファッションの聖地として有名でした。1943年から開催されてきたニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)が、1993年10月からかの地で開催されるようになり、ミラノ、パリ、ロンドンに匹敵する四大ファッション・ウィークへと成長したのでした。
年二回(2月と9月)のNYFWの期間には、パークに大きなテントが仮設され、2009年までここでランウェイショウが開催されていたのでした。
特に、1999年の世紀末にアレキサンダー・マックイーンが、ニューヨークに来襲した2000年春コレクションは、イスラムの伝統的な服装やモチーフをグラマラスに解釈したものとして、当時は大顰蹙を買ったのですが、今ではブライアント・パーク時代のNYFWを象徴する出来事です(ちなみにマックイーン自身はこの時パンツをずらし星条旗のトランクスを見せた)。
つまり、2007年当時「ブライアント パーク」と聞けば、人々はすぐさまニューヨーク・ファッションを連想したのでした。そんなファッショニスタのための香りは、ミシェル・アルメラックにより調香されました。
ランウェイを見つめるファッショニスタの心の香り
摩天楼の間に存在する『緑のオアシス』に、一年に2回だけ2月と9月だけ現れる白い巨大なテント。その2週間だけこの公園には、アメリカで最もファッション感度の高い人々が集結するのです。
そんなファッショニスタの熱気を感じさせる、華やかで新鮮なラズベリーが、酸味の効いたみずみずしいルバーブとフルーティスパイシーなピンクペッパーによって弾き出されるようにしてこの香りははじまります。
すぐに甘酸っぱいフルーティさの中に只者ならぬ香りが追加されてゆきます。その正体はパチョリ。シャンパンのように弾ける甘美なモダンシプレの幕開けです。
若々しさを演出する素材を使って、アナ・ウィンターのような女性のエレガンスと神秘性を演出する香りが奏でられていきます。
一流のメイクアップアーティストによって完璧な女性らしさを施され、ランウェイを歩くファッション・モデルのようでありながら、ニューヨーク・ファッションを体現するようなファッショニスタ=ファッション業界人をもイメージさせる香りです。
スズランというフレンチモードを象徴する花(特にディオール)を、アンチテーゼとしてちらつかせているのが、ミシェル・アルメラックの真骨頂です。
すぐにローズがアンバーの風に乗り、爽やかでロマンティックなムードを運んでくれます。そして、まさに酔わせるようなラズベリーローズの香りへと展開してゆきます。すべてがあからさまではなくさりげなくなのが、ニューヨークの洗練されたファッショニスタの流儀です。
最後の最後に感じる雰囲気は、リトルレッドドレスに着替えた女性が、スリットから美脚を覗かせながら、マンハッタンでディナーを楽しみましょうねと優しく微笑みかけているような官能的な横顔です。
エルザ・スキャパレリのショッキングピンクのドレスのシルエットをイメージしたと想われるボトルデザインがとても印象的です。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ブライヤント パーク」を「フルーティパチョリ」と評し、「ラルチザンの「ヴォルール ド ローズ」が、ローズとパチョリの組み合わせで、ストロベリーの幻覚を作り出すという変わった効果をもっていた。この効果をもとにブライアントパークはローズを薄めてベリーを強くした。」
「プッチに触発されたようなピンクのボトルが華々しさを期待させるものの、結果は面白いことに刹那的な印象に。でも悪くない。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ブライヤント パーク
原名:Bryant Park
種類:オード・パルファム
ブランド:ボンド・ナンバーナイン
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/21,000円、100ml/31,500円
トップノート:ルバーブ、ピンクペッパー、スズラン
ミドルノート:ローズ、パチョリ
ラストノート:ラズベリー、アンバー