究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
カイエデモード香水図鑑を応援する|2025年5月30日~6月1日終日

2025年夏に9年目を迎えるカイエデモード香水図鑑。このたび聖地調査が完了し、5月より東京・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸の約100か所の『香水超聖地ガイド』の更新を行っております(6月中に完成予定)。さらに、4月末より、これからの日本の香水業界を動かしていく25人のキーパーソンのインタビュー記事『フレグランス・アイコン・インタビューズ』を公開させて頂いております。

この大いなる活動にあたり、2025年5月30日~6月1日終日にあたりご寄付を募らせて頂きます(エックスのDMが半日不調であったため1日延期させて頂きます)

詳細ページへ

【グタール】オー デュ スッド(アニック・グタール)

アニック・グタール
©Goutal Paris
アニック・グタール
この記事は約3分で読めます。

オー デュ スッド

原名:Eau du Sud
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1995年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

スポンサーリンク

コート・ダジュールから吹き抜けるレモンバーベナの風

©Goutal Paris

1995年にグタールが発売した「オー デュ スッド」は、〝南からの水〟という意味を持つ香りです。アニック・グタールが調香したこの香りは、エクサンプロヴァンスの実家に戻りホリデーを過ごす或る夏の日に、愛撫されるような太陽の暖かさに包まれる〝永遠に続きそうな美しい夕刻〟を表現した香りであり、〝地中海への愛〟の宣言です。

ハーブとシトラスが愛をささやき合うようにしてはじまるこの香りは、艶やかなグレープフルーツとビターなベルガモット、ライムが太陽の下で弾けるようにしてはじまります。すぐに目の前で砕かれたばかりのフレッシュなミントとバジルが太陽の輝きに、草原の輝きを加えてゆきます。

この独特な太陽と草原のハーモニー=アロマティック・シトラスによって、呼び覚まされるレモンバーベナがこの香りの主役です。閃光のようなレモンの煌きと共に、解き放たれる酸味の効いたレモンバーベナの香りに、潮風が注ぎ込まれてゆきます。

太陽と草原の輝きに向かって吹く、レモンバーベナを運ぶ潮風が遭遇する瞬間に鉢合わせるのです。そして、その視界の片隅には、柔らかなジャスミンが咲き誇る地中海に面した庭園が存在します。

この香りの最大の魅力は、レモンバーベナが甘さを発散しようとしている気配を、残酷なまでに先回りして抑圧しているところにあります。つまり、甘さに対する期待感が高まるように誘導しながら、決して甘くならない香りなのです。

やがて大地の息吹がドーンとそれらを受け止めてくれるのです。オークモス、ベチバー、パチョリが織り成すアーシィーかつスモーキーな香ばしい大地の恵みが、決して目立ちすぎることなく柑橘とレモンバーベナとハーブに「いのちの輝き」を与えてくれるのです。

スポンサーリンク

「ライム バジル & マンダリン コロン」と比較したくなる香り

コート・ダジュール

まさに南フランス=コート・ダジュールから吹くドライな風で、全身を包み込んでくれる香りです。アニック・グタールという調香師の魅力。それは、スプレーを一吹きすると、そこが道頓堀であろうとも〝本物のコート・ダジュールの風〟を吹かせることが出来る所にあります。

ある意味、パンデミックの時代にこそ、1980年代から90年代のアニック・グタールの香りは、そのまま正確に復刻して欲しいと望む人々が多いのではないでしょうか。

ディオールの「オー ソバージュ」やシャネルの「クリスタル」と良く比較される香りです。もしかしたら、ジョー・マローンの「ライム バジル & マンダリン コロン」(1991)から影響を受けて生み出された香りかもしれません。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「オー デュ スッド」を「バジルのコロン」と評し、「私ならグタールのベストセラー「オーダドリアン」よりこちらを選ぶ。なぜならこっちのほうがハーブが強く、レモンが弱い。よくできたなめらかな石鹸質のテクスチャーは重く感じる。水中でつるつるした物体をつかもうとしているみたい」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:オーデュスッド
原名:Eau du Sud
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1995年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:バジル、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:レモン、レモン・バーベナ、ミント、ジャスミン
ラストノート:オークモス、ベチバー、パチョリ