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キリアン

【キリアン】イン ザ シティ オブ シン(カリス・ベッカー)

キリアン
©2014 Maddartico Limited.
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イン ザ シティ オブ シン

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:In the City of Sin
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:カリス・ベッカー
発表年:2012年
対象性別:女性
価格:50ml/37,950円

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罪深き街=シン・シティへようこそ。

©2014 Maddartico Limited.

「イン ザ シティ オブ シン」はロシャスの「ファム」(エドモン・ルドニツカ)から生み出された香りです。

同じく「ファム」から生み出された香りであるセルジュ・ルタンスの「フェミニテデュボワ」(女性初のウッディフレグランス)は、プラムのアコードを現代的にし、シダーウッドをオーバードーズしています。

一方、「イン ザ シティ オブ シン」の場合は、さらにワンステップ先を行き、プラムのフルーティアコードをアプリコットと共にオーバードーズし、そこに爆発するカルダモンが加えられています。

キリアン・ヘネシー

キリアン・ヘネシーは2007年10月に「バイ・キリアン」(現在は「キリアン」)という名でブランド創業するにあたり、6作品からなるコレクション「ルーヴル ノワール —愛が描く甘い誘惑の世界—」(最終的には2011年までに計10作品を発売)を発表しました。

そして、ブランド創立5周年にあたる2012年に四番目のコレクションとして発表されたのが、3作品からなるホワイト・コレクション「イン ザ ガーデン オブ グッド アンド イーブル —エデンの園で紡がれるアダムとイブの物語(善悪の園の中で)— 」でした。

このコレクションは、純真と誘惑の究極の物語です。

キリアン・ヘネシー

エデンの園をテーマにする中で、誘惑する物が禁断の果実になるという点にキリアンは注目しました。そして、キリアンはコレクションの全ての香りを禁断の果実を中心に作ることに決めたのでした。

そのうちの一つ「イン ザ シティ オブ シン」(罪深き街の中で=誘惑が生じる場所)はこのコレクションの門を開く、最初の香りです。プラムが中心のフルーティ・シプレーのこの香りは、カリス・ベッカーに調香されました。

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ピーチとプラムの相反する関係


キリアンはホワイト・コレクション「イン ザ ガーデン オブ グッド アンド イーブル —エデンの園で紡がれるアダムとイブの物語(善悪の園の中で)— 」において、林檎以外で禁断の果実を描くことに注力しています。

これは、昔のメタファーをそのまま香りにしたのでは、おばあちゃんの香りをつけるようなものだというキリアンの信念に基づいています。また、禁断の果実の林檎とは、実は誤りであり、実際には何の実かは書いていないというのも有名です。つまり、読み手に委ねられているわけなのです。

「イン ザ シティ オブ シン」において、プラムを禁断の果実として使用しています(ちなみに「フォービドゥン ゲームズ」「プレイング ウィズ ザ デビル」「グッド ガール ゴーン バッド」では、ピーチが禁断の果実になります)。

この禁断の果実は単純な果実の意味ではなく、メタファーなのです。プラムはすももの一種で、ピーチより酸味が強いです(糖度が高いものだけがプルーンになれる)。そして、ピーチより小ぶりです。

つまりピーチが、柔らかくてジューシーな大人の肌を連想させるなら、すもも=プラムは小さくてちょっと固い、はりのある若い肌を持つ女性のメタファーなのかもしれません。

そして、この香りがコレクションの一番最初にくる香りということは、これが最も純粋無垢な香りだということなのです。

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酒池肉林の栄耀を満喫するプラムの香り


さぁ、制限のない世界の門を開け進むのです。罪深き街=シン・シティへようこそ。エクスタシーの探究の始まりです。右も左も誘惑だらけのこの街では、すべての街角の端っこで、一晩限りの淫靡な出会いや罠が張り巡らされています。

酒池肉林の栄耀を満喫しようではないか!という号令が、ピンクペッパーにより弾き出されたベルガモットにより発せられます。そして、酔わせるように熟した大量のプラムとアプリコットが、アトラス産とヴァージニア産のクリーミーなシダーウッド・ブレンドの上に、酸味を帯びた果汁を滴り落としてゆくのです。

燦然と冷たく輝くカルダモンが、妖しくフルーツと交わり合いながら、美しき肢体を悩ましげに揺らすローズに降り注ぐのです。ほのかなクミンの予感が、肉欲のはじまりを予感させながらも、結局は何事もなく消えてゆきます。

やがて、背景に広がる闇のようなインセンスとパチョリ、ホワイトムスクが、スパイシーフルーツとスモーキーローズをどこまでも追いかけ、速やかに包み込んでゆきます。

「シン・シティ」とはラスベガスを意味します。それは眠らない街であり、誘惑の街、一攫千金のチャンスと転落がサイコロのように転がっている街なのです。そして、この香りは、そんなラスベガスのイメージをまるごと全て受け止めたような香りなのです。

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香水データ

香水名:イン ザ シティ オブ シン
原名:In the City of Sin
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:カリス・ベッカー
発表年:2012年
対象性別:女性
価格:50ml/37,950円


トップノート:グアテマラ産カルダモン、ピンクペッパー、カラブリア産ベルガモット
ミドルノート:プラム、アプリコット、ターキッシュローズ、インドネシア産インセンス
ラストノート:アトラスシダー、ヴァージニア・シダー、インドネシア産パチョリ