シダー
原名:Cedre
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

シダーウッドとチューベローズ、男と女のラブゲーム

©Serge Lutens
「フェミニテデュボワ」の直系の子孫「シダー」!遺産であり、名であり、当然の成り行き。ベルベットの上を滑る大きな猫のように…
「木でできたペイストリーのような香り。フェミニテを別の現実へと誘う、もう一つの解釈。その名にふさわしく、主役は蜂蜜が鍵であるシダーウッド。さらに、私はチューベローズを加えた。かすかにしか感じられないが、極めて重要な存在だ」
セルジュ・ルタンス公式サイトより
2018年3月21日に「ブラック&ベージュ コレクション」が「コレクション ノワール」に変更され、10種類もの名香が2017年末から一挙に廃盤になりました。「シダー」もそのうちの一つでした。クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
月夜に咲くチューベローズの香りが、夜風に乗って杉林を包み込んだ瞬間をイメージした香りであり、木製のペイストリーという奇妙なイメージの側面も持つこの香りは、元々は2005年に発売されました。
そして現在は、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
この香りの別名は「ペイストリー デュ ボワ」=木のペイストリー

©Serge Lutens
セルジュ・ルタンスが最も愛している木であるシダーウッドに再び脚光を当てたこの香りは、男性的な香りのイメージを持つこの木の香りに、女性的な香りのイメージを持つチューベローズを組み合わせることにより、〝新しい木の香り、新しい花の香り〟を同時に感じさせる〝ペイストリー デュ ボワ=木のペイストリー〟を生み出しました。
花のような木のような香りは、クローブとシナモンが混じり合い、(メントールのような)薬草入りのサイダーが弾けるような強烈なフルーティーさからはじまります。
とても独特な爽快感に包まれてゆきますが、すぐにうっとりするほど甘く柔らかいチューベローズの花びらが広がってゆきます。共に到来するアニマリックなレザー調ムスクと甘くて香ばしいアンバーが静かに溶け込んでゆきます。
この前後から、シナモンをまぶしたラム酒が振りかけられたドライフルーツやアップルパイの香りがほのかに漂うのがこの香りが〝木のペイストリー〟と呼ばれる所以です。
そしてシダーウッドがほんのり漂いはじめ、だんだんとチューベローズはムスクと結びつき、インドールを解き放ち、クリーミーな花蜜のギラギラとした野性味を放ち、シダーウッドはアンバーと結びつき、スモーキーでドライな、清く正しく美しい甘さを解き放ってゆきます。
日本酒やワイン、ブランデーを素肌で味わっているような余韻

©資生堂
花と木の香りがそれぞれ主張しすぎずに、蜂蜜を仲介人に、婚姻関係を結び、豊かに素肌に心地良くとろけて匂い立つ、すべてが〝控えめの美学〟に包まれた、日本酒の酒樽や盆栽を連想させる、和の空間にも、ジャズが静かに流れる高級なバーにもマッチしそうな香りです。
つまりは花と木の先にある日本酒やワイン、ブランデーを素肌で味わっているような余韻に浸ることが出来ます。
その香りに込められた思いが伝わって来そうな名前をよく付けるセルジュ・ルタンスにしては〝シダー〟というとてもシンプルな香水名が付けられているのは、この〝シダー〟という一つの言葉が持つ意味の範囲の広さを考えてのことなのでしょう。
どこか陰鬱で淫靡な空気がある一方で、神々しく清らかな空気も感じさせる不思議な木の存在感に、チューベローズというニンフのような艶めかしさが、素肌とひとまとめになっていく瞬間を、全身で静かに受け止め、交互に映し出す、心の中に見たこともない情景を描いてくれる香りと言えます。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「シダー」を「甘くしたチューベローズ」と呼び、「チューベローズのオリエンタル調で、かなり強いカンファー様インドールの匂い、そしてボトムはバルサムとウッドの濃くオイリーな組み合わせ」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:シダー
原名:Cedre
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)


シングルノート:チューベローズ、アンバー、シナモン、ムスク、クローブ、シダー

