究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

【ミゼンジール】トレ シェール(アルベルト・モリヤス)

その他のブランド
その他のブランド
この記事は約5分で読めます。

トレ シェール

原名:Tres Chere
種類:オード・パルファム
ブランド:ミゼンジール
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

スポンサーリンク

皇帝アルベルト・モリヤスのブランド、ミゼンジールとは?

2013年にヴェルデーヌ通りにオープンしたジュネーヴの一号店 ©MIZENSIR.COM

娘ヴェロニクとアルベルト・モリヤス ©MIZENSIR.COM

私がこのブランドを妻と興したのは、ただただ自分の好きな香りを自由に作りたかったからです。つまり想い出や、家族、過去の感情、あるいは過去の出来事を思い起こさせるような香りです。

だから、一番好きなものは何かと聞かれても難しいのです。すべてが自分の子供のような気がするので。香りの調香には、1年から6年かけます。それも毎日ではなく、週に1日か2日だけ作業する感覚で作り上げています。

アルベルト・モリヤス

1999年にジュネーヴで創業されたアルベルト・モリヤス自身のブランド、ミゼンジールは、当初キャンドル・コレクションからはじまりました。元々は、パトリック・フィルメニッヒにVIPの顧客のために提供するキャンドル・コレクションを作るように依頼されたことがきっかけでした。

「ミゼンジール(Mizensir)」とは、mis en cire(set in wax)とモリヤス(Morillas)のM、そして、真ん中のZenは、モリヤス一家が大切にしている禅の精神であり、Sirは英国の貴族精神=エレガンスを意味する言葉遊びです。

妻クロディーヌと娘ヴェロニクが中心になって運営しているファミリー・ブランドであるミゼンジールに、フレグランス・コレクションが誕生したのは2015年のことでした。きっかけはヴェロニクのアドバイスからでした(2011年以降は元弁護士でもある彼女がこのブランドの最高責任者になる)。

そして「エディション ドゥ ヴェロニク」という娘の名を冠した香りを含む、9種のフレグランスを作りました。2017年には「トレ シェール」が発表されました。

モリヤスがパリからヴェネツィアへ向かう列車の中で、ある女性にぶつかった時の思い出の香り。ぶつかったことを謝罪する女性の横顔、まつ毛の曲線、唇の端に一瞬で惹きつけられたモリヤス。この揺るぎないノスタルジックな第二の肌のような香りによって、その瞬間は永遠に刻まれます。

〝私たちの目はたった一度しか交わらなかったけれど、私にとってはずっとあなたを知っていた〟。「トレ シェール」は、儚くも忘れられない出会いに捧げたトリビュートです。

公式サイトの最後の一文がとても美しいです。

君を長い間探していた。もう一度会いたかった。今夜、電車で帰ります。この言葉は胸にしまっておきましょう。そして、この香水も。

このブランドで、ニッチな香りを作るつもりは全くありません。そうではなく卓越した製品を作りたいと思いました。最高の原料と合成香料を使い、これまでの経験を生かして、誰かのためではなく、自分のために何かを作りたかったのです。

私たちにとって重要なのは香りです。最高の品質の香水を作ることが最も重要で、この理由から、私は広告に予算を割かないことに決めました。

アルベルト・モリヤス

スポンサーリンク

天使のムスクとアンバーの二重奏に溶け合う、夏の白い花と塩バニラ

©MIZENSIR.COM

©MIZENSIR.COM

「トレ シェール(とても甘い香り)」、それは誘惑への頌歌、出会いの香りです。私は、女性らしさの理想に敬意を表するために、このフレグランスを創りました。その際、女性らしい美しさにふさわしい、並外れた素材を選びました。

オレンジブロッサム、ジャスミンサンバック、バーボンバニラ、オーストラリア産サンダルウッドといった原料を選びました。これらの素材は、身につける人の肌に触れると、他に類を見ない魅力を持つ、類稀なる香りを生み出します。

アルベルト・モリヤス

〝人生で一度だけ、ほんの一瞬だけあった人。でもその人のことを、ふとした瞬間に思い出す人〟そんな人の事を〝永遠の人〟と呼ぶ。誰にでもそんな〝永遠の人〟は一人か二人いることでしょう。

その人の柔らかな声、優しい笑顔、優美な身振りを感じさせる、とても洗練された人生の喜びを凝縮したような〝天使のムスクとアンバーの二重奏〟が最初から最後まで感じられるこの香りは、晴れわたる青空の下、明るく爽やかなオレンジブロッサムの輝きに満たされるような感覚からはじまります。

すぐに天国からやって来たようなジャスミンの輝きが、オレンジブロッサムとほんのりパウダリーな花の蜜の香りを広がらせながら、ホワイトフローラルブーケをつくるようにひとまとめになってゆきます。まるで天使の歌声が素肌を滑り抜けていくような、多幸感に満たされてゆきます。

そしてそこにうっとりするほど優雅な塩バニラとサンダルウッドがクリーミーに注ぎ込まれてゆくのです。花の甘さとバニラの甘さが素肌の上に溶け合った時、〝永遠の人〟と会った瞬間の永遠の記憶が、肌を透かして心を揺さぶります。そしてあなた自身が誰かの〝永遠の人〟になる、そんなきらめくオーラに包まれていくのです。

周りの空気まで澄み渡るような、洗練された美しい甘さを広がらせていく、周りを香りで幸せにしてくれそうな〝エアリーな白い花と夏の塩バニラ〟の香りです。

最後に、2022年のインタビューでアルベルト・モリヤスは、〝すべてを捨てて、3つの香りだけを持って行かなければならないとしたら、何を選びますか?〟という質問に対して「1番目はシーケーワン、2番目はアクア ディ ジオ、そして3番目はトレ シェール。トレ シェールは実は妻の香りなんだ」と答えています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:トレ シェール
原名:Tres Chere
種類:オード・パルファム
ブランド:ミゼンジール
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:オレンジ・ブロッサム・ペタル・エクストラクト
ミドルノート:アンブロックス®、パラディゾン®、ジャスミンサンバック・インフュージョン
ラストノート:バーボン・バニラ・アブソリュート、エキサルトン®、オーストラリアン・サンダルウッド