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【フェンディ】テオレマ(クリスティーヌ・ナジェル)

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テオレマ

原名:Theorema
種類:オード・パルファム
ブランド:フェンディ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:不明

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1997年、フェンディの〝バゲット革命〟

フェンディ、1998年の広告より。©FENDI

フェンディ、1998年の広告より。©FENDI

1997年、シルヴィア・フェンディの指揮の下、後にヴァレンティノでロックスタッズを生み出すマリア・グラツィア・キウリピエールパオロ・ピッチョーリが生み出したひとつのバッグが、新たなる革命の狼煙を上げようとしていました。

プラダをはじめとするミニマルなバッグがトレンドだったこの時代に、バロック調の装飾を施したフランスパンの形をした派手なショルダーバッグ〝バゲット〟が誕生したのでした。

1997-98年秋冬コレクションのランウェイに初登場してから最初の一年間で10万個売れ、テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998-2004)に登場したこともあり、3年間で60万個売れた元祖〝イット・バッグ〟です。

このバッグによって、フェンディは、世紀末の女性の憧れのブランドの地位に復権し、その勢いに乗り、シグネチャーとなる香水の創造を急務と考えたのでした。

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理性を崩壊させる香り=テオレマの誕生

©FENDI

調香師クリスティーヌ・ナジェルのすばらしい作品「テオレマ」は、オリエンタル香水にまだどんなに多くの可能性が残されているかを教えてくれた。この手の香水では、ナジェルは世界一だろう。

ルカ・トゥリン

〝テオレマ〟とは、1968年にピエル・パオロ・パゾリーニによって監督された同名のイタリア映画が描き挙げたように、〝知るべきではない感覚を知ってしまった人間の行き着く果て〟=〝滅びの定理の証明〟の意味を持ちます。

その名を冠した香り「テオレマ」が、2001年にLVMH傘下に入る寸前に、1998年の世紀末のフェンディから生み出されたのでした。

オレンジとチョコレートが主役のオリエンタル・スパイシーの香りは、現在、エルメスの二代目専属調香師をつとめているクリスティーヌ・ナジェルによって調香されました。

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オレンジとチョコレートの愛と憎しみが渦巻く香り

©FENDI

氷のように冷たい美貌と、凛とした佇まいを持つ貴婦人が、新たなる感覚を知り、一切が崩れてしまうそんな崩壊の序曲を壮絶に奏でてくれる〝愛と憎しみが渦巻く香り=テオレマ〟は、シナモンを中心としたナツメグ、ペッパー、カルダモンといったスパイスが溶け込み、クリーミーに飼いならされるタンジェロとシャムーティー(砂糖漬けされたオレンジピール入りのジンジャーブレッド)の甘い嬌声からはじまります。

ダイヤモンドを愛していた淑女が、黄金を愛するようになるように…白い肌の深窓の令嬢が、太陽に愛される小麦肌のイタリア美女になるように…すべてが黄金の輝きに包まれてゆきます。

すぐにアンバーとベンゾインによるチョコレートのようなスモーキーな香ばしさが広がってゆくのが、この香りの新たなる感覚のはじまりです。オレンジとチョコレートのランデブーを祝福するカーネーション、オレンジ・ブロッサム、ジャスミン、イランイラン、ローズといった花束が、オスマンサスの甘革の鞭の下で、熟した女の獣の本能を剥き出しにしていくのです。

そして、サンダルウッド、ガイアックウッド 、ローズウッドが、肌に〝魔の刻〟を刻み込むように、すべての余韻を肌の上にミルキーに広がらせていくのです。ウッディが生み出す渋さよりも、酔わせるような黄金の樹液が、心の聖杯に注ぎ込まれてゆきます。

ひとつひとつの香りを知るよりも、すべてがひとつになるように、ただただすべてを本能の赴くままに受け入れる香りです。

1990年代において〝世界一の美脚を持つスーパーモデル〟と言われたナジャ・アウアマン(1971-)がキャンペーン・モデルに起用されました。ボトル・デザインは、クラシカルなフェンディのハンドバッグをモチーフにしたものです。

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香水データ

香水名:テオレマ
原名:Theorema
種類:オード・パルファム
ブランド:フェンディ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:ナツメグ、オレンジ・ブロッサム、ペッパー、ジャスミン、レモン、ブラジリアン・ローズウッド、カルダモン、ローズヒップ
ミドルノート:カーネーション、シナモン、オスマンサス、イランイラン、ローズ
ラストノート:ベンゾイン、ガイアックウッド 、サンダルウッド、アンバー、パチョリ