究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
ゲラン

【ゲラン】シャリマー ミレジム イリス(デルフィーヌ・ジェルク)

ゲラン
©GUERLAIN
この記事は約6分で読めます。

シャリマー ミレジム イリス

原名:Shalimar Millésime Iris
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/16,500円

スポンサーリンク

いつも素肌に、太陽と清らかな花を咲かせよう。

©GUERLAIN

シャリマーは、官能の香りです。アイリス・パリダを中心に作られたこのミレジムは、シルクのように柔らかい、素肌の官能性を明らかにしてゆきます。

デルフィーヌ・ジェルク

1925年に発売された史上初のオリエンタル・フレグランス「シャリマー」のフランカーとして、「シャリマー ミレジム イリス」は、2023年10月1日(日)に限定発売されました。「ミレジム イリス」とは、〝ビンテージのアイリス〟の意味です。

「シャリマー」の世界を生み出してきたアイリスへのオマージュとして誕生したこの香りは、ゲランの調香師デルフィーヌ・ジェルクにより調香されました。

ゲラン秘伝のレシピである〝ゲルリナーデ〟は、ベルガモット、ローズ、ジャスミン、トンカビーン、アイリス、ヴァニラの組み合わせから生み出されます。その6つの素材のうちのひとつを主役にシャリマーに新しい輝きを与えていく、年に一回のステージがこの限定コレクションなのです。ヴァニラとトンカビーンにスポットを当てた過去作に続き、アイリス・パリダに脚光を当てたのが、今回の〝素肌に花を咲かせるシャリマー〟です。

ゲランとアイリス(アイリス・パリダのイリスバター)のランデブーは、1906年に三代目調香師ジャック・ゲランによる「アプレロンデ」からはじまり、1912年の「ルールブルー」で頂点に立ち、以来ゲランのシグネチャーとなっています。

スポンサーリンク

誰もが白鳥のような美しい首を持った気分になる香り

アイリス・パリダ

アイリスの香りが持つ素晴らしさは、クラシック音楽やバレエを鑑賞するひと時とよく似ています。その瞬間、自分の中に眠る〝美しさに対する憧れ〟が呼び覚まされ、劇場を後にするとき、誰もが白鳥のような美しい首を持った気分になるものです。

一方で、アイリスの香りは、最も使いにくい香りでもあります。それはあたかもファッションにおいて、スモーキングジャケットとデニムのジーンズの組み合わせや、バイカーズデニムとイブニングドレス、ミニスカートとスティレットヒールとケリーバッグ、テーラードスーツとルイ・ヴィトンのバッグのように、組み合わせ次第で、とんでもなく野暮ったくなる一方で、絶妙なバランスを極めれば、究極のハイセンスなエレガンスを演出してくれるものと同じです。

アイリス(特にイリスバター)のフレグランスを選ぶとき、このバランスに気をつけないといけません。だからこそ、21世紀のエレガンスの旗手だと自認するセリーヌのエディ・スリマンは、「ディオール オム」でイリスバターを使用し、さらに半分以上のセリーヌの香りで、イリスバターを使用しているのです。

最高級のイリスバターの品種は、アイリス・パリダです。アイリス・パリダがフレグランスの世界で極めて貴重なアイリスとされている理由は、イタリアの太陽の下、3年間の生育を必要とし、さらに3年間その根茎を乾燥させないといけないという6年の時間をかけて、イロンを豊富に含むパウダリーなイリスバターが採られるからです。

スポンサーリンク

前作とは真逆の、清く正しく美しいシャリマー。

©GUERLAIN

©GUERLAIN

はじまりから幻想的なこのシャリマーは、飛び出すように弾けるベルガモットを蜃気楼の如くパウダリーなアイリス(イリスバター)が受け止めるようにしてはじまります。このフレッシュに弾けるアイリスシャワーが、まるで摘み立てのストロベリーのようなみずみずしさとひとまとめになり、素肌に到達した瞬間、口紅のようなコスメティックノートと、ローズウォーターとジャスミンティーの馥郁な花の香りがシンクロするように満ち広がってゆくのです。

そしてキャラメル、マダガスカル産バニラ、(カスタードクリームのような)バニリン、ムスクの繊細な甘さの四重奏が、現実のものとは思えないほど美しい絶世の美女が、柔らかく微笑むように、クールビューティなアイリスを、笑顔が素敵なアイリスに変えていくのです。

「シャリマー」特有のスモーキーなレザーの感覚が、うっすらと漂う程度になっており、どこか、品の良いレザーバッグを持った女性が、素肌の上で、何かを待ち続けているかのような、心地良さを感じさせます。

いよいよ、すべてがひとまとめになる時間がやってきました。クレーム・ブリュレとホワイトチョコレートが交互に素肌を行き交い、パウダリーかつクリーミーなアイリスと溶け合い、贅沢なスイートの至福のひと時が包まれていくようです。

とてもメランコリーで、ロマンティックな美しさを演出してくれる、「シャリマー」のフランカーの中でも、リラックスしたリュクスを感じさせてくれるかなりの名香と言えます。

最後に、この「シャリマー」は、オリエンタルであってオリエンタルではなく、香水愛好家のためよりは、香りを純粋に愛する心を持つ人たちに向けられた、ゲランが心へ届ける〝アイリスで奏でるロマンティック交響曲〟なのです。

ちなみにアイリスとバニラの組み合わせで印象的なゲランの香りは「ルール ブルー」と「アイリス ガナッシュ」でしょう。そして、こちらの香りが、〝清く正しく美しいシャリマー〟なら「ミレジム トンカ」は、〝悪魔のように美しいシャリマー〟なのでしょう。

スポンサーリンク

〝ブラックブルーの瞳が煌めくシャリマー〟のボトルデザイン

©GUERLAIN

前年の「シャリマー ミレジム トンカ」に続き、ほぼ同じデザインの「シャリマー ミレジム イリス」のボトルがとてもスタイリッシュです。1925年にレイモンド・ゲランによって創作されたデザインを踏襲し、シャリマー庭園の噴水をイメージしたボトル、扇をモチーフにしたサファイヤブルーのキャップは、未だ色褪せない美しさを誇っています。

そして、「コウモリ型」のラベルは、アイリス・パリダの花びらの色を思い起こさせるブラックブルーの色合いに仕上げられ、ボトルのネックにはレザーの黒リボンがあしらわれています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:シャリマー ミレジム イリス
原名:Shalimar Millésime Iris
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/16,500円


トップノート:ベルガモット
ミドルノート:イタリア産オリスルート
ラストノート:キャラメル、マダガスカル産バニラ、バニリン、ムスク