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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ジャドール パルファン ドー(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
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ジャドール パルファン ドー

原名:J’adore Parfum d’Eau
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:30ml/11,550円、50ml/16,720円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール

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フランソワ・ドゥマシーの〝白鳥の歌〟

シャーリーズ・セロン ©DIORBEAUTY

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1999年にディオールが、アン・ゴットリーブの指揮の下、カリス・ベッカーにより生み出した「ジャドール」は、ノストラダムスの大予言を覆しました。それは恐怖の大王ではなく、世紀末の世に、愛を生む〝愛の女神の降臨〟として、ディオールの世紀末救世主伝説と呼ばれるほどのセンセーショナルなデビューを飾りました。

そして時が経ち、メゾン創立60周年、ジョン・ガリアーノ就任10周年を記念して、2007年に作られた≪完全無欠の≫ジャドール「ジャドール アブソリュ」が、ディオールの初代専属調香師に就任したてのフランソワ・ドゥマシーにより調香されました。その名の〝アブソリュ〟の通り、チューベローズ、イランイラン、ダマスクローズ、ジャスミン・サンバックといった4つの花々のアブソリュートがふんだんに使用されている実に華やかな香りでした。

さらに2010年には、黄金の輝きを与えた「ジャドール ロー」が、オード・パルファムよりさらに濃厚なエッセンス・ドゥ・パルファムとして誕生しました。その3年後の2013年に登場したのが、「ジャドール ヴォワル ドゥ パルファン」でした。その名も〝ジャドールのヴェール〟。香りのヴェールを身に纏うようなパウダリーなジャドール。このジャドールのディーバはアイリスでした。

そして、4年後の2017年に「ジャドール イン ジョイ」が発売され、さらにその3年後の2020年9月にパンデミックの最中に「ジャドール インフィニッシム」が発売されました(日本上陸は2021年10月29日)。

その〝無限大ジャドール〟が発売された2年後にデュマシーが生み出したのが、2022年8月26日に発売された「ジャドール パルファン ドー」でした。〝花と水から生まれた、アルコールフリーの100%天然のジャドール〟は、デュマシーの「白鳥の歌」であり、彼の長い調香師人生のフィナーレを飾る香りでした。

すべてのラグジュアリー・フレグランスには、基本的にアルコールが使用されています。アルコールがないと香料成分のブレンドが困難になり、香りが瞬く間に消えてしまい、安定性と複雑さが欠けるからです。
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アルコールフリーで生み出された〝ジャドールの超神水〟

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1998年春のクチュール・コレクションに出席したシャローム・ハーロウ。©Christian Dior

流れる水のようなジャドール。しかし、この水はただの水ではなく、花々の生命をたっぷりと吸い込んだ水。素肌の上に降り注ぐと、肌に乗るようにではなく、肌のpHの上を流れるように、広がっていく不思議な水。水の香りは、オーデコロンかオード・トワレだと決まっていた常識を覆す香り、それが「ジャドール パルファン ドー」。

〝水〟という響きが、香水に限って言えば、軽やかなものを連想させるのですが、この香りの〝水〟は、軽やかではなく、艶やかな女性の肢体を持つ花の精たちが水浴びしているような、官能的なムードを感じさせる、花々に寄り添う水です。

アルコールフリーだからこそ感じられる、水の動きを全身で受け止めながら、ジャスミンやマグノリア、ローズ、ハニーサックル、ヴァロリス産ネロリのグリーンフレッシュな快活さを含んだ、温かい太陽と冷たい水に洗われるミルキーな甘い花々のみずみずしさに満たされてゆくのです。

最初から最後まで、激しさが存在しない、しずやかなフレッシュウォーターが素肌の上を流れていく香り。最初のスプレーで得られるものは、香りが消えるまで持続します。たとえ葬儀の場であろうとも、身にまとう事の出来る、厳かな輝きを与えてくれる〝ジャドールの超神水〟。

ボトルのイメージそのままに、マザー・オブ・パールのネックレスを身に付けるような、柔らかな女性美を演出してくれる香りとも言えます。ちなみにアルコールを含まないということは、髪を乾燥させることなく、素晴らしい香りのヘアミストとしても使えます。

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フランスと日本をつなぐ、香りの架け橋。

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最後に、ディオールの革新的なテクノロジーである〝ナノエマルジョン〟を初めて導入したこの香りは、はじまりから風に吹かれるように(アルコールの揮発により)香りが広がることはありません。ゆっくりとした川のせせらぎのように、香りが広がってゆくのが特徴です。

ディオールがもともとスキンケア製品の技術として日本の研究所から取得したナノエマルジョン技術を駆使して生み出した香り。これは特許を取得している、香水業界で初めて作られた全く新しいプロセスです。 水とフラワーオイルを超高圧でブレンドしており、柔らかくまろやかなミストとしてスプレーされ、肌の上に座るのではなく肌に溶け込むという点では、古典的なオードパルファムとは異なる感触を持っています。ジャドールの二極性(ある人にとって魅惑的、またある人にとっては圧倒的)を、その魅力を損なわずに、劇的に和らげ、より花に近づいた新しいフラワーブーケを生み出してくれます。

だからこそ香りは、最初から最後までほぼ同じ香りを全身に循環させてゆくのです。そして、この〝ナノエマルジョン〟による香り立ちを劇的なものにするために、ディオールは、2017年から、パリの1000km南にある、南仏ヴァロリスのアンティーブ岬郊外の緑豊かな丘の中腹にある花農園「フローラポリス〝花の町〟」を営む、クリステル・アーシェルと専属パートナーシップを締結しています。かの地では、プロヴァンスで唯一オレンジの木が見ることが出来ます

かつて19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ヴァロリス周辺の地域では、香水用にネロリとオレンジの花のエッセンスが大量に供給されていました。しかし第二次世界大戦後、衰退し、木々はことごとく伐採され、別荘が建てられてゆきました。

クリステルは、元々金融会社で働いていたのですが、ビターオレンジの木が502本集まる木立(そのうちの300本は樹齢100年以上の木)に出会い、感銘を受け、2016年に退職し、25年間放置されていたこの木立をディオールのサポートにより蘇らせたのでした。2021年からようやくかの地のネロリ精油が、ディオールのフレグランスのために使用されました。

すべてのビターオレンジの花は、4月下旬から4週間かけて収穫されます。オーガニックコットンとリネンのシーツを編み、それを木々の下に広げて花を丁寧に集めていくのです。

かくしてその日のうちに水蒸気蒸留法で抽出された、この信じられないほど新鮮なネロリ精油こそが、甘さの中に、グリーンとベタつきを持つジャスミン・サンバック精油を和らげる、ピリっとした刺激を伴わせるのです(抽出の過程でネロリエッセンスとオレンジブロッサムウォーターに分けられる)。

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香水データ

香水名:ジャドール パルファン ドー
原名:J’adore Parfum d’Eau
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:30ml/11,550円、50ml/16,720円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール


シングルノート:ジャスミン・サンバック、グリーンノート、中国産マグノリア、ハニーサックル、ネロリ、ローズ