コンスタンチノープル
原名:Constantinople
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリストフ・レイノー、マリー・サラマーニュ
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/31,900円
光の都・コンスタンチノープルに燃ゆ
2014年にペンハリガンから(19世紀末の)ロンドンと植民地とを結ぶ大英帝国の貿易ルートから想起された「トレードルート コレクション」として、「ロタール」「エンプレッサ」「ラヴァンティウム」「エッサウィラ」といった4種類(うち1種類は限定品)の香りが発表されました(日本では2015年2月25日から全国発売されました)。
そして、2015年に5作目の「ハルフェティ」が発売され、翌2016年に〝エジプト〟をテーマにした二つの香り「Alizarin」と「オードドニル」が発売されました。さらにその流れを汲んで、2017年に発売されたのが、8~9作品目となる〝インド〟をテーマにした「パイタニ」と「Agarbathi(アガルバティ)」でした。
2018年に発表された「カイロ」は、コレクションの記念すべき第10弾の香りでした。さらに2019年に発売された第11弾の香り「バビロン」が発売され、2021年に第12弾の香り「コンスタンチノープル」が発売されました。クリストフ・レイノーとマリー・サラマーニュより調香されました(日本で半2021年9月22日に限定発売)。
難攻不落の砦を陥落させる、貝紫のアイリスと黄金のバニラ
「コンスタンチノープル」とは、現在イスタンブールと呼ばれるトルコの都市の旧称であり、かつてビザンティン帝国の帝都だった街です。別名『光の都』と呼ばれたこの街には、世界中のあらゆる富が集まりました。
ビザンティン帝国とは、紀元前27年の初代皇帝アウグストゥスからはじまるローマ帝国の継承帝国であり、330年にコンスタンティヌス1世がコンスタンチノープル(〝コンスタンティヌスの町〟を意味するラテン語)を建設して遷都して以来、1453年に、オスマン帝国の若きスルターン、メフメト2世によって陥落するまで難攻不落を誇り、東洋と西洋が交わる都として繁栄しました。
コンスタンチノープルを象徴する言葉として挙げられるのが〝不死鳥〟です。つまり、この帝都は、1100年の歴史において、幾度も外敵に攻められながらも、滅亡寸前にまで陥りながら、幾度も蘇えってきたのでした。
この香りは、そんなコンスタンチノープルを、ビザンティン帝国の栄光を示す貝紫色の絹と黄金(=アイリスとバニラ)によって、陥落させる〝甘い征服者の香り〟なのです。
あらゆるものを陥落する、黄金の王冠を被るアイリス。
1100年間〝不滅の都〟だったコンスタンチノープル、それは黒海と紺碧のエーゲ海の間に存在する〝光の都〟でした。そんな550年前に滅んだ失われた帝国の栄光を身に纏うように、最初から最後まで、華やかなビザンティン帝国の栄光を示す紫色の絹と黄金の香りに包まれてゆきます。
ボスポラス海峡に生える豪華なアイリスが主役のこの香りは、黄金の王冠を被るアイリスのようです。恍惚のピンクペッパーが弾ける中、金属のようなラベンダーとゼラニウムのシャープな香りが全身を駆け抜けてゆきます。
すぐにパチョリとシプリオールが、蜂蜜とウードがひとまとめになったような黄金の輝きで包み込む中、イリスコンクリートがジャミーなローズに守られながら、しづやかに広がってゆくのです。そして、うっとりするようなバニラが注ぎ込まれ、モスの蜃気楼が、アイリスに黄金の冠をかぶせてゆくのです。海峡をまたいで生息する松の香りが、フレッシュなアクセントになっています。
とても温かく、濃厚でクリーミー、肌の上をなめらかに滑っていくような絹の動きに満たされていく、エレガントな貴婦人の愛に包まれていくようです。赤い唇から温かな吐息を感じる、至福のひとときを全身に与えていく香りなのです。
黄金の輝きの中、アイリスに思う存分、甘やかされるとても贅沢な香りです。女性が身に纏うと、女神になり、男性が身に纏うと、妃を心から愛するスルターンになる。あらゆるものを陥落する王位継承の香りとも言えます(香りの王冠)。
香水データ
香水名:コンスタンチノープル
原名:Constantinople
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリストフ・レイノー、マリー・サラマーニュ
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/31,900円
トップノート:ピンクペッパー、フローズンラベンダー、ゼラニウム
ミドルノート:アイリス、ローズ、シプリオール
ラストノート:バニラ、パチョリ、モス