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【ウビガン】新フジェール ロワイヤル(ロドリゴ・フローレス・ルー)

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©Houbigant
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新フジェール ロワイヤル

原名:Fougere Royale
種類:オード・パルファム
ブランド:ウビガン
調香師:ロドリゴ・フローレス・ルー
発表年:2010年
対象性別:男性
価格:100ml/30,800円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP

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21世紀の「フジェール ロワイヤル」の誕生

©Houbigant

もし神がシダに香りを与えたなら、「フジェール ロワイヤル」のような香りがするだろう。

ポール・パルケ

1882年にウビガンの「フジェール ロワイヤル」から近代香水の歴史ははじまりました。

近代香水とは、それまでの天然香料とアルコールで生み出していた香水に、合成香料を加えることにより、〝香りの表現の幅を飛躍的に広げた〟のでした。19世紀の産業革命が絵画、音楽、映像をより広く深く、芸術の領域へと高めていったように、香りも芸術の道を突き進んでいくことになったのでした。

1775年に創業し、マリー・アントワネットがフランス革命から逃れようとしてヴァレンヌで捕らえられたとき、王族のみが購入できるウビガンの香水のおかげで反乱軍が王妃だと認めたという伝説。この伝説と共にナポレオン・ボナパルトニコライ2世をはじめとする19世紀においてほぼ世界中の王侯貴族の寵愛を独占してきた香水商ウビガンは「フジェール ロワイヤル」を発売後、ポール・パルケと共に、数々の名香を生み出していきました。

「フジェール ロワイヤル」から、メンズ・フレグランスのひとつの定番ともいえるフゼア調が誕生したのですが、1960年代後半に製造中止になっていました。

時は過ぎ、ウビガン家の最後の子孫が1990年代に病に倒れ、香水ブランドを売却しました。色々な売却先を経て、地の果てまで落ちたブランドの最後の生命を掬い取ったのが、イタリアのペリス・グループでした。2005年に買収した後、5年の歳月を費やし、ロジャ・ダブの監修の下、天然香料はロベルテから、合成香料はジボダンから得たものを使用し、2010 年にロドリゴ・フローレス・ルー(ロジャ・ダブの10年来の友人でもある)により再調香されたものが発売されました。

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新「フジェール ロワイヤル」への道


「フジェール ロワイヤル」が21世紀に蘇えるために、重要な役割をウビガン家から託されたことに、私は本当に興奮しており、非常に光栄に感じています。 調香師として、これは一生に一度の贈り物だと言えます。私は近代香水についてこう定義しています。自然界を一切模倣していない香水。

ちなみにオリジナル版には全配合量の50%ものクマリンが過剰摂取されていたと言われています。この香りからフゼアは誕生したのですが、フゼアとは、柑橘類(主にベルガモット)、ラベンダー、ゼラニウム、クマリンと、パチョリ、オークモス、シスタス樹脂の調和を中心に構築された、男性的な香りです。 

このように見ていると、フゼアは実際にはシプレが改変されたものではないかといつも考えてしまいます。

ロドリゴ・フローレス・ルー

当初、ロドリゴ・フローレス・ルーは、現在手に入りうるオリジナルに近いレシピを使用し、オリジナルの香りを忠実に再現してみようと考えました。しかし、出来上がったものは、まったく精彩を欠いたものとなりました。

そんな時ヴェルサイユのオスモテーク(香水図書館)の金庫室に、オリジナルを忠実な再現したものが保管されていることを知り、この宝物から多くのインスピレーションを得たのでした。

しかし、ここで最大の難関が見えてきました。それは天然のオークモスが今では使用できないことです。さらに、この保管されている香りは、クラシカルな理髪店のような香りであり、現在の世にそのまま再現しても、商業的に成功するかどうかはなはだ疑問であると感じました。

香りがしないと言われているシダの中でも、〝ヴィーナスヘア〟と呼ばれるシダなど一部のものが、日の光が当たるとほのかに心地よい香りを生み出すことに着目したロドリゴは、そのニュアンスを中心に新しい「フジェール ロワイヤル」を生み出そうと決意したのでした。

かくして完成した香りは、当初、バーグドルフ・グッドマンとニーマン・マーカスでのみ販売されていました。そして、時は経ち、2022年3月についに日本初上陸を果たしたのでした。

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元祖フゼアの継承者だけが生み出せる〝不滅の輝きとオーラ〟

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21世紀の「フジェール ロワイヤル」のトップノートにはベルガモットとラベンダーが存在します。そして、ハートノートにはゼラニウムとローズの組み合わせがスパイシーさを伴い広がっています。

ベースに、天然のオークモスが使用できないため、パチョリを過剰摂取し、適量のシスタスラブダナム エキスと組み合わせました。 さらにクマリンのような感触を得るために、私はクラリセージアブソリュートとコスタリカ産のトンカビーンエキスの組み合わせを選びました。 どちらも天然のクマリンが豊富に含まれています。そこにほんの少しだけ合成クマリンを追加し、魔法がかけられたのでした。

ロドリゴ・フローレス・ルー

地中海の空と海が宝石のように輝ききらめくような、贅沢なベルガモットとハーブの目覚めからこの香りははじまります。クラシカルではなく、あくまで軽快に駆け抜けるモダンなスパークリングワインのようなその香り立ちは、世界中の男たちを目覚めさせてきた香りの子孫に相応しい〝不滅の輝きとオーラ〟に満ちています。

すぐに目覚めた素肌の上に滑らかなモロッコ産カモミールオイルとシナモンが引き伸ばされ、これみよがしではないエレガンスを感じさせる控えめなラベンダーの香りが到来します。フゼアを生み出した香りでありながら、典型的なフゼアの強さよりも、爽快感と清涼感を優しく男の包容力で包み込んでいくような柔らかさがあります。

そこに(スモーキーで甘い干し草のような)トンカビーン=クマリンとクラリセージが、繊細な甘さと苦みと渋みを男性の肌のぬくもりに溶け込ませてゆくのです。まるで太陽に愛された神秘の森が生み出す、樹木と葉と草と土壌が甘く発酵した大地のワイン(サンダルウッド、シダー、ベチバー)に抱擁されていくようです。

そして、いよいよ颯爽とふり注ぐペッパー、カーネーションに導かれ、神秘の森に孤独のうちに艶やかな花びらを開花させていたメイローズがピリっと刺激的なゼラニウムの祝福を受け、パチョリの閃光とクリーミーにひとまとめになりながら、きらめく香りのオーラを解き放つのです。

ロンデレティアという聴きなれない言葉について説明させてください。ユイスマンスの『さかしま』の中でこのアコードが描写されていました。それは魅惑的な甘い花の香りとスパイシーな香りを持つ小さな赤みがかった花が咲く熱帯のつる植物にちなんで名付けられました。

ロンデレティアアコードは、ラベンダーとクローブのつぼみの出会いです。 そこで私は非常にスパイシーなラベンダーとスパイスを組み合わせた香りを作り、それがこのフレグランスの中心部分となりました。 そこにエジプトゼラニウムのエッセンスと、ブルガリア産のローズオイルとローズアブソリュートのタッチを加えたこの精油は、素晴らしいものとなりました。

ロドリゴ・フローレス・ルー

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香水データ

香水名:新フジェール ロワイヤル
原名:Fougere Royale
種類:オード・パルファム
ブランド:ウビガン
調香師:ロドリゴ・フローレス・ルー
発表年:2010年
対象性別:男性
価格:100ml/30,800円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP


トップノート:ラベンダー、地中海のハーブ、カモミール、ベルガモット
ミドルノート:ゼラニウム、カーネーション、シナモン、ライラック、メイローズ、ロンデレティア
ラストノート:オークモス、クラリセージ、トンカビーン、パチョリ、アンバー