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ペンハリガン

【ペンハリガン】ザ リベンジ オブ レディ ブランシュ(ブランシュ夫人の復讐)(ダフネ・ブジェ)

ペンハリガン
©Penhaligon's
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ザ リベンジ オブ レディ ブランシュ(ブランシュ夫人の復讐)

原名:The Revenge Of Lady Blanche
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/45,100円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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夫を毒殺し、全財産の獲得を目論む、美しき妻の危険な甘い香り

ブランシュ夫人の動物のイメージは〝女豹〟©Penhaligon’s

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繊細でありながら艶やかで魅惑的。また、完璧にコントロールされた香りであり、貴重な香料と巧みな構成によって極上のセンス、深い知性とウィットをただよわせます。そんな非の打ちどころのない香りが導くのは、優雅なアフタヌーンティーのひととき、満ち足りた人生に安らぎを覚えながら危険な空想に耽るかのような気分。それは、高潔な者だけに許されたある種の優雅な感覚―。

公式ホームページより

2016年11月、英国のフレグランスハウス・ペンハリガンより、イギリスの上流階級の秘密を表現したコレクション<ポートレート>が発売されました。

「19世紀後半、イギリスの田園地帯に建つ大邸宅に住むジョージ卿とその家族たち、一人ひとりのキャラクターとその人間関係、ユーモア、刺激的なエッセンスを香りで表現する。」(公式ホームページより)

そんなポートレート・コレクションの最初の4つの香りのうちのひとつとして発売されたグリーンフローラルの香り「ザ リベンジ オブ レディ ブランシュ(ブランシュ夫人の復讐)」は、ダフネ・ブジェによって調香されました。

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ギリシャ神話で有名な二人の美少年と一人の女神の花

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中流階級から上流階級にのし上がったブランシュ夫人は、ロンドン社交界の寵児であり、英国で最も影響力のある女性の一人です。息をのむほど美しい彼女は、ミステリアスな過去を持っています。そして、その献身的で社交的に見える外見とは裏腹に、上流階級の梯子を上るためには手段を問わない野心家です。彼女は、現在、夫ジョージ卿を毒殺し、全財産の獲得を目論んでいます。

そんな〝危険なストーリーライン〟を持つこの香りで明かされている香料は、ヒヤシンスと水仙とアイリスの三つだけです。実に興味深いのは、それぞれがギリシャ神話に登場する〝二人の美少年と一人の女神の花々〟なのです。

  1. ヒヤシンス・・・ヒュアキントス、アポローンに愛された美少年。悲しみを超えた愛。
  2. 水仙・・・ナルキッソス、絶世の美少年。アプロディーテーの怒りを買い、他人を愛せなくなり、ただ自分だけを愛するようにされた人。水面に映った自分に恋に落ち、くちづけを交わそうとして水死する。
  3. アイリス(菖蒲)・・・イーリス、虹の女神。神の伝令を務める女神。

激しい自己愛の中で生きるブランシュ夫人は、神のコマンダーとして、自分を裏切る夫に対する、悲しみを超えた愛を成就しようとするです。その香りが「ブランシュ夫人の復讐」なのです。

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ひんやりしたヒヤシンスに潜む甘い罠

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雨上がりの春の庭を散歩していると、微細な氷晶できらきら輝く空気に包まれるように、〝天使のハーブ〟アンジェリカが、ハーバルでスパイシーな閃光を全身に降り注いでゆきます。と同時に寒い国から来たフレッシュグリーンなヒヤシンスが花を咲かせてゆきます。

その背後で、優雅さと洗練の空気をパウダリーなアイリスが、マザーオブパールの光のしずくのように広がらせてゆきます。このようにして「ブランシュ夫人の復讐」は粛々とはじまります。

決して笑わず、目を合わせず、赤い口紅の口元は開けず、髪は綺麗に後ろにしきつめ、女優帽とニュールック・スーツに身を固め、一分のスキもない淑女。でも触れれば壊れてしまいそうな雰囲気も漂わせています。

この淑女は何も見ていないようで全てを見ており、自分の意にかなう愛人候補を常に物色しており、ひとたび、ターゲットをロックオンすれば、後はそのターゲットに笑みを浮かべさえすれば勝利はほぼ手にしたも同然になることも重々承知しています。そんな〝華麗なる淑女の危険な甘い香り〟のものがたりが素肌の上で進行してゆくのです。

さあ、いよいよこの香りの主役とも言える甘い微笑のような水仙がやって来るのです。まるであなたの中に潜む官能を、浅い眠りから目覚めさせるように、サンダルウッドとバニラが全身をもみほぐしてゆくのです。そして、リラックスした身体に、容赦なく水仙は注ぎ込まれてゆくのです。

かくして水仙は、ビターグリーンなヒヤシンスと清らかなアイリスと溶け合い、優しく引き返せない道へと引きずりこむように、〝牙を隠す術〟を教えてくれるのです。

静かに息を潜め機会を伺う、〝悪の華(フローラル)〟の香り。ここにミッションは完了しました。あなたの中に眠る悪女は、無事呼び覚まされたのでした。

ちなみに、男性がこの香りを身に纏うと、暗闇の中で、ベッドの上からあなたを見つめる淑女の熱い眼差しを身に纏うことが出来ます。〝暗闇の中で感じる淑女の情熱の眼差しの香り〟。淑女は、闇の中でだけ、その仮面を脱ぎ捨て、淫らな欲望を満たすことに夢中になれるのです。

シャネルの「No.19」やプラダの「インフュージョン ディリス」とよく比較される香りです。

ボトルキャップのデザインは、それぞれの香りの主人公を動物に喩えた真鍮製のものとなっています。ブランシュ夫人は〝女豹〟です。この香りの特徴を捉えたボックスパッケージはクリスティヤーナ・S.ウィリアムズにより描かれたものです。

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香水データ

香水名:ザ リベンジ オブ レディ ブランシュ(ブランシュ夫人の復讐)
原名:The Revenge Of Lady Blanche
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/45,100円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


シングルノート:水仙、アイリス・フラワー、ヒヤシンス