グッチのフリーダ・ジャンニーニがデザインした衣裳②
本作のハイライトとも言えるベルベットのバーガンディロングドレス(ウエストにスパンコール・ディテール)は、1945年の大晦日のパーティでも同じ場所で帰国した兵士達とのお祭り気分の時に着ていたドレスであり、このドレスを2013年の大晦日に再び着ている所にこのシーンの意味はあります。
グッチのフリーダ・ジャンニーニがデザインしたこのドレスはエレガンスの極みと言える素晴らしいシルエットのドレスであり、今のグッチが手にしたものと失ったものを明確に教えてくれるドレスです。
グッチのフリーダ・ジャンニーニがデザインした衣裳③
そして、そのドレスの上に羽織る50年代のジバンシィのようなロングコートが登場します。こちらは、グッチのプレ・フォール・コレクションからの衣裳なのですが、絞られたウエストラインと上質な生地が織り成すドレープ感が、「コートとは寒さをしのぐものではなく、エレガンスを生み出すもの」という鉄則を再認識させてくれます。
こういったコートはマレーネ・ディートリッヒがかつて言ったように、15分以上着ることが出来ない暑いものであり、誰かに羽織らせてもらい、誰かに脱がせてもらうまでの僅か15分間のためだけのコートなのです。
黒のレザーグローブと小さな黒のがま口バッグのバランスも素晴らしく、彼女が人生を通じていかにがま口バッグを愛しているかということをよく伝えてくれます。