明らかにジャケットのボタンがきついJB
ジェームズ・ボンド・スタイル3 ダークグレイ・フランネルスーツ
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ダークグレイ・フランネルスーツ、ナチュラル・ショルダー、ディープ・サイドベンツ、2つボタン、チケット・ポケット付き
- クリーム・コットンポプリン・シャツ、ターンブル&アッサー
- アメジスト・カラーのグレナディン・シルク・タイ、ターンブル&アッサー、ウィンザー・ノット
今までのコネリー=ボンド・ムービーとの明確な違いは、アンソニー・シンクレアが仕立てたスーツのフィット感にあります。このジャケットは明らかにぱっつんぱっつんでしわが入っているのですが、これはシンクレアのファイナル・フィッティングの後に、コネリーが太ったということでしょう。
決して許されないジェームズ・ボンド像。それは、女性にはだらしなくていいのですが、体重管理の出来ないスパイになぞ、憧れるものはいないということです。
腕時計を全くつけていないジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド・スタイル4 ネイビーブレザー
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ネイビー・ブレザー、スチール製の2つボタン
- ダーク・グレイ・フランネルウール・トラウザー
- 水色のコットンポプリン・シャツ、ターンブル&アッサー
- ネイビーのグレナディン・シルク・タイ、ターンブル&アッサー、ウィンザー・ノット
本作におけるジェームズ・ボンドのファッション的な特異性の一つとして、なぜか腕時計を全くつけていない点が挙げられます。スマートフォンのような携帯時計の要素があるものが一切存在しない時代に、腕時計をつけていないということは、スーツを着ている男性にとっては絶対に有り得ないことでした。
後に登場する寸足らずなピンクのネクタイといい、おじいちゃんのようなスポーツジャケットといい、この作品の中には、三流スタイリストを初めとする集中力が切れた、仕事の出来ない男たちの弛みきった空気がそこはかとなく漂ってきます(もしかしたら、ラスベガスのカジノに精力を吸い取られていたのかもしれません)。
そして、よく見ると、本作のジェームズ・ボンドは、腕時計だけでなく、ベルト、カフス・リング、ホルスター、アンダーシャツさえも一切つけていないのです。
安定のグレースーツ。コネリー=ボンドの定番。
ジェームズ・ボンド・スタイル5 グレー・グレンチェック・スーツ
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- グレー・グレンチェック・スーツ、2つボタン、ディープ・サイドベンツ、チケット・ポケット、ナチュラル・ショルダー、広めのラペル
- クリーム・コットンポプリン・シャツ、ターンブル&アッサー
- ブラックのグレナディン・シルク・タイ、ターンブル&アッサー、ウィンザー・ノット
- ジョン・ロブのブラック・キャップトゥ・オックスフォード
同じアンソニー・シンクレアによるコネリー=ボンド・グレースーツにおける1960年代と本作(1971年)の違いは、ラペルの広さ、サイドベンツの深さ、そして、最大の違いは、胸のドレープがほとんどないところです。