オブセスト フォー ウィメン
原名:Obsessed for Women
種類:オード・トワレ
ブランド:カルバン・クライン
調香師:アニック・メナード、オノリーヌ・ブラン
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/13,090円
「これが若さか・・・」

©CALVIN KLEIN

©CALVIN KLEIN
2017年にカルバン・クラインより発売された「オブセスト フォー ウィメン」について何よりも印象的なことは、香調でも、調香師が誰ということでもなく、キャンペーン広告に登場する当時18歳だった25年前のケイト・モス(1974-、14歳の時にニューヨークのJFK空港で発見されスーパーモデルとなる)の秘蔵動画&250枚以上のアウトテイク写真です。
その浮遊感を伴う不思議なピュアで危険な存在感に魅了されます。それらは、1993年に「オブセッション」のキャンペーンのために、(ファッション・モデルから転向した)フォトグラファーのマリオ・ソレンティ(当時20歳)により撮影されたものでした。
カリブ海にあるイギリス領ヴァージン諸島内の小さな島ヨスト・ヴァン・ダイク島に10日間滞在し、数百枚の白黒写真が撮影されました。当時二人は恋人同士でした。そしてこのキャンペーンが、彼女を国際的なスーパースターへと押し上げたのでした。この二人が、20年の時を経て、2017年の新作フレグランスのキャンペーンで再会したのでした。
このCKダイナスティの愛憎渦巻く世界観をもろに反映したリエンタル・アロマティック・グリーンの香りは、アニック・メナードとオノリーヌ・ブランにより調香されました。カルバン・クラインを代表する1985年に発表された「オブセッション」のコンセプトである〝誰かの痕跡、名残りが肌に残る〟を現代風に解釈した香りです。
ケイト・モスとマリオ・ソレンティの25年前の愛情物語

2017年6月22日、再会したマリオ・ソレンティとケイト・モス。二人は25年前付き合っていました。

マリオ・ソレンティと付き合っていた頃、ケイト・モスは17歳でした。
私たちは若くて情熱的で、私にとっては初恋でした。本当に、二度と味わえないタイプの恋です。彼に夢中でした。
ケイト・モス
あの頃の私はいつも彼女の写真を撮っていました。仕事でそこへ行ったにもかかわらず、まるで休暇を過ごしているような気分でした。とてもパーソナルで親密な時間でした。
彼女は18歳、私は20歳、私たちは若かったし、何のプレッシャーも感じていませんでした。ただ思いっきり楽しんでいました。あの頃ほど一人の人物を撮影することに夢中になったり、愛したりしたことは二度とありませんでした。
マリオ・ソレンティ
カルバン・クラインの代表する香りを生み出した立役者の二人の過去の恋を、現在に蘇らせるというアイデアは、当時カルバン・クラインのチーフ・クリエイティブ・オフィサーだったラフ・シモンズのアイデアでした。そして彼が率いるCK時代のはじめてのフレグランスとなりました(彼がCK入社したときに一番最初に決めたプロジェクトのひとつだった)。
それはカルバン・クラインの長年のクリエイティブ・ディレクター、フランシスコ・コスタの退任と、2016年のシモンズの就任と共に掲げられた、「ルーツへの回帰」をテーマに、2月にランウェイで発表された彼の初のプレタポルテコレクションから一貫された流れであり、約8億ドル規模のフレグランス事業(コティ社と提携)でした。
改めて感じさせられるのは、この写真のケイト・モスの輝きとそれを永遠に記憶させた若き日のマリオ・ソレンティの情熱の素晴らしさです。若い二人による本物の愛により成し遂げられた〝美を永遠に封じ込めた瞬間〟だったのでしょう。
「これが若さか・・・」なのです。
一人の女性が、愛する男性を見つめる眼差しの純粋さがそこにはあります。この香りは、そんなケイト・モスの17歳の初恋の香りなのです。
あなたの感触、あなたの肌、あなたの香りを覚えています…

©CALVIN KLEIN

©CALVIN KLEIN
私たちは、記憶と現代の欲望、男性と女性、そして肌に刻まれた誰かの記憶といった概念を反映できる香りを思いつきました。私たちにとってカルバン・クラインを視覚的に表すものが一つあるとしたら、マリオ・ソレンティとケイト・モスを起用した「オブセッション」キャンペーンでしょう。
感情、自由、美しさ、若さ。美容キャンペーンの定番要素はすべてそこにありましたが、フレグランスのキャンペーンがいつもこれらの価値観を過度にスタイリッシュに表現するのとは対照的でした。美容広告で、これほどの表現は二度と見られなかったと思います。
ラフ・シモンズ
あなたの感触、あなたの肌、あなたの香りを覚えています…
〝過ぎ去った愛の思い出を、永遠に掴むことの出来ない、至宝のもの〟として思い出させてくれる香り「オブセスト」それは楽しい思い出も苦い想いでも、笑顔も涙も、希望も絶望も、そんなあらゆる過去と現在が融合した、肌に触れる相手の香りによって呼び起こされる、過去の愛の記憶です。
だからこそメンズフレグランスに伝統的に使われるフゼア系のホワイト・ラベンダーとクリーミーなムスクをベースにしたアンバランスなバランスが織り成す幻想的な香りです。
スプレーをプッシュした瞬間に、「オブセッション」よりも「シーケーワン」の記憶を蘇させるこの香りは、アクアティックなベルガモットと白い花を咲かせるネロリが爽やかに広がるようにしてはじまります。そしてスパイシーに発泡するジンジャーが注ぎ込まれてゆきます。
すぐに穏やかなアンブレット(植物性ムスク)とムスクのきらめきと共に、セージとヴァイオレットリーフが、蜃気楼のようなうっとりさせるフレッシュなラベンダーの風で包み込んでくれます。
甘さよりも、シャープなムスクが素肌を包み込み、ナチュラルに軽やかなアロマティック・ラベンダーの余韻に満たされてゆきます。
ラベンダーとセージのバランスが絶妙で、ホワイトムスクとイソEスーパーが、それぞれの魅力をアクアティックかつ滑らかなクリーンさで引き立てていきます。それはまるでメンズのホワイトシャツを上手く着こなす女性のような、清潔感に包み込まれていくようです。
香水データ
香水名:オブセストフォーウィメン
原名:Obsessed for Women
種類:オード・トワレ
ブランド:カルバン・クライン
調香師:アニック・メナード、オノリーヌ・ブラン
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/13,090円
トップノート:ネロリ、エレミ、ベルガモット
ミドルノート:ラベンダー、ヴァイオレット・リーフ、パープル・セージ、スズラン、オレンジ・ブロッサム、ローズ
ラストノート:ムスク、アンブレット、イソEスーパー