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【ディオール】ミス ディオール ローズ&ローズ(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
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クリスチャン・ディオール
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ミス ディオール ローズ&ローズ

原名:Miss Dior Rose N’Roses
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2020年
対象性別:女性
価格:30ml/9,240円、50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:ディオール

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本当のこの香りの名前は「ローズンローゼズ」

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2014年に発売された「ミス ディオール ブルーミング ブーケ」は、発売後約10年経つ今でも「ミス ディオール シリーズ」の中で爆発的に売れている香りです。そのためディオールのコスメカウンターでは、何はともあれ最初にお薦めする「ディオールの看板娘」と言われています。

2020年1月24日に「ミス ディオール シリーズ」の新作として「ミス ディオール ローズ&ローズ」が発売されました。

この香りは若者向けになり過ぎた「ブルーミング ブーケ」の年齢層を上げるために生み出されたローズ・フレグランスです。ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。

2019年6月に表参道で行われた「ミスディオール」の展覧会。

原名の「Miss Dior Rose N’Roses」は、伝説のロックバンド、ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)からインスパイアされています。その名前から連想されるのは、〝究極のローズ〟もしくは〝ロックするローズ〟です。

しかし、日本では「ローズンローゼズ」という名だと「ミス ディオール」っぽくないということで、「ローズ&ローズ」という少し冴えない名前での発売となりました。

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フランソワ・ドゥマシーについて語ろうじゃないか

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一輪のバラではなく、溢れんばかりのバラを表現したいと思いました。自然を前に沸き立つ感情、例えば子供の頃、バラが一面に咲く5月の花畑を初めて見た時の感動を再現したかったのです。私にとってバラとは、まさにそうした感動そのものなのです。

私は、可能な限り、バラに近づきたかったのです。

フランソワ・ドゥマシー

フランソワ・ドゥマシーという調香師は実に誠実な調香師です。ここで、私たちが大いなる誤解をしている点がひとつあるようです。ドュマシーは調香師であって調香師ではないという点です。

彼は元々は1977年から、29年間シャネルジャック・ポルジュの下で働いていました。その時の彼の仕事は、2005年以降クリストファー・シェルドレイクが担当している役割でした。

つまりシャネル時代のドゥマシーの仕事は、研究開発ディレクター及びすべての香料の品質管理の責任者でした。そして、彼が2006年にLVMH(傘下にはディオール、ゲラン、KENZO、ジバンシィ、アクア・ディ・パルマ、ロエベ、フェンディ)に移籍したとき、彼に求められた役割は、フレグランス部門のスーパーバイザーでした。

それはドゥマシー自身の誠実な人間性もふくめて、ラグジュアリー・ブランドのマーケティング部門に対する彼の忠実な姿勢=シャネルにおける姿勢が評価されてのことでした。

そういう意味において、彼はクリエイターとしての調香師(ジャン=クロード・エレナクリスティーヌ・ナジェルジャック・キャヴァリエ)ではなく、ブランドの市場調査に基づいて、香りのテーマを決めていくマーケティング部門に対して、いくつかの試作品を作るという役割に徹する類の調香師なのです。

たとえば、最上級の香料を使用したフレグランスを50ml 9,800円で販売する場合、一本のフレグランスから利益を生み出すためには、ボトル&パッケージの製作費、人件費、PR費に膨大なコストをかけるわけにはいきません。しかし、ディオールはこういったコストを惜しみません。答えは明らかです。香料のためのコストがカットされているということです(必ずしも高い香料だから良い香料であるというわけでもありません)。

ある意味、フランソワ・ドゥマシーほど、とても大変な仕事を課せられている調香師はいないのかもしれません。ゼロの価値に等しい香料から金を産む香りを生み出す錬金術師のようなことをしているのですから。

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ムスキーローズな「ミス ディオール」

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もし女性を花にたとえよと言われたなら、私は躊躇なくローズと答えます。ローズはどの国の人々にも最も知られている花であり、この花を見るとたちまちポジティブな気分になる唯一の花だからです。

フランソワ・ドゥマシー

フルーティでジューシーなベルガモットとマンダリンが弾ける中、レモンやミントを思わせるゼラニウムがアロマティックに広がるフレッシュなローズの予感からこの「ローズ&ローズ」ははじまります。ピンクペッパーではなくゼラニウムなのがこの香りの特徴です。

すぐに、スパイシーでフルーティなグラース産のメイローズとダマスクローズの上に、ホワイトムスクが降りかけられます。かくして溢れんばかりのパウダリーローズと煌くソーピィーローズの二重奏が奏でられるのです。

(グラースで有機栽培された)メイローズは、一年間に2週間しか開花せず、その瞬間に手で摘み取らなければなりません。そこからローズ・アブソリュートを抽出し、さらにローズ・コンクリートを作り出します。30万本のメイローズから1kgのアブソリュートしか抽出できない貴重なものです。

やがて、ひんやりとクリーンなムスキーローズが、ゼラニウムのグリーンに再び光を与え、溶け込んでゆきながら、いきいきと肌の上でフレッシュ感を蘇らせてゆくのです。

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27万5000円の限定ボトル

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ちなみに世界で47個限定のボトルが27万5千円で発売されていました。

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香水データ

香水名:ミスディオールローズ&ローズ
原名:Miss Dior Rose N’Roses
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2020年
対象性別:女性
価格:30ml/9,240円、50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:ベルガモット、ゼラニウム、イタリアン・マンダリン
ミドルノート:メイローズ、ダマスクローズ
ラストノート:ホワイトムスク