デイジー・ブキャナンのアイコニック・ドレス
デイジー・ブキャナン・ルック6 アイコニック・ドレス
- カトリックの祭祀服風ドレス、プリーツスカート
- クリーム色のブルトン、長い白のシフォンをリボンに
- 35万ドルの一連ロングのパールネックレス、カルティエ
- 白のストッキング
- 白のアンクレットパンプス
19世紀から20世紀はじめの上流社会では、デイドレス、フォーマルドレス、パーティードレス、イブニングドレス・・・と日に何度もドレスを着替えなければなりませんでした。さらに腰まで伸ばした髪は、毎晩ブラッシングをし、毎朝結い上げなければならず、腰はコルセットを締め上げ、毎日の身だしなみには、メイドの手助けが不可欠でした。
1914年から18年にかけてヨーロッパ大陸を戦火に巻き込んだ、第一次世界大戦は、女性の生活環境を一変させるきっかけとなりました。男性が、戦争に出征し、それまで男性が従事していた仕事に沢山の女性が従事するようになりました。そして、メイドに従事していた労働階級の女性たちのほとんどは低賃金のメイド職を敬遠するようになりました。
その当時、上流階級の女性のスカートは、足首までのストレートラインでした。しかし、1918年に戦争が終わり、戦勝国となったアメリカでは、20年代に入ると、アメリカ建国以来かつてない好景気となり、「狂乱の20年代」が始まりました。最先端の短いふわりとしたドレスを着て、膝やストッキングの光沢を大胆に見せるフラッパー・スタイルがファッション・トレンドとなりました。そして、この時期、ココ・シャネルやジャン・パトゥらが、モダンでスラリとしたボーイッシュなシルエットをベースにした服を発表しています。
1920年代に、女性たちは窮屈で手間のかかる服から開放されました。それは、(メイドを雇うことが難しくなった上流社会で)メイドなしでも、着用するのに時間がかからない服の必要性から生まれたファッションとも言えます。そして、シンプルなシニヨンや、実用的なボブ、イートンクロップ(刈り上げた短髪)の髪型にすることで、鏡台で長い時間を費やさずにすむようになり、手入れがずっと楽になりました。
幻のレインコート
デイジー・ブキャナン・ルック7 レインコート
- レイン・ケープ
- レイングローブ
- クリーム色のブルトン
カルティエを脱いだデイジー
デイジー・ブキャナン・ルック8 ホワイト・デイドレス
- 白のシフォンデイドレス
- 白のローヒールパンプス
このシーンのデイジーは一切アクセサリーをつけていません。レインコートを着て、ギャツビーに会いに行った中身のドレスがこれなのですが、セックスだけを目的に逢引する男女の生々しさがよく伝わる一瞬です。