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ペンハリガン

【ペンハリガン】マラバー(ペンハリガン)

ペンハリガン
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マラバー

原名:Malabah
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:不明
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円

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わたしの〝こころの喜望峰〟を見つけましょう。

モヘンジョダロ

マラバール海岸

2003年にペンハリガンから発売された「マラバー」は、東インドのスパイスルートへの旅路の鮮やかな白昼夢をイメージしたエキゾティックで甘美な香りです。この香りの名の〝マラバー〟とは、古代より香辛料貿易の中心地だったインドのケーララ州のマラバール海岸からとられています。

スパイスの歴史は、インダス文明(紀元前2600年~紀元前1800年)が形成される少し前の紀元前3000年頃のインドからはじまります。ブラックペッパーやクローブが最初に現れました。

やがて、紀元前頃にターメリック、シナモン、ジンジャー、カルダモンなどのスパイスも現れました。この頃、スリランカ産のシナモンが古代エジプトの王に献上され、紀元1世紀頃には海、陸のシルクロードを経てヨーロッパに香辛料が広く流入するようになりました。

やがて、ムスリム商人やオスマン帝国が独占していた香辛料貿易の主導権は、ヴェネツィア共和国に移っていきました。しかし、1498年にポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマが〝喜望峰〟経由によるヨーロッパ-インド洋航路を発見したことにより、ポルトガル海上帝国がその主導権を握るようになりました。

ここに300年にわたる大航海時代の幕が切って落とされたのでした。そして、香辛料貿易の主導権争いが、コロンブスのアメリカ大陸発見(バニラの発見)と、マゼランの世界一周へと結びついていくのでした。

「マラバー」とは、地図にない世界を目指して突き進む、西洋と東洋を結びつける壮大なるロマンの香りなのです。

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〝難破船〟ではなく、地図にない世界を目指して突き進むロマンの香り

©Penhaligon’s

レモンで作ったカリオンの華々しいレモンシャワーのファンファーレからこの香りははじまります。新しい一日のはじまりを告げてくれているような明るさと透き通るような爽快感に満ちています。

間髪入れずに、心にスモーキーなアールグレイティーが注がれてゆきます。爽やかさの中に気高さが加えられたその瞬間、気高きレモンティーとなり、全身を駆け抜けてゆくのです。

すぐにコリアンダーと弾けながらジンジャーティーも注ぎ込まれ、心の中が財宝の煌めきとスパイスの輝きに満たされてゆくのです。そして、ナツメグ、カルダモンといったスパイスも溶け合い、素肌に生み出されたスパイスロードの上を、しづやかに甘いフレッシュローズが流れるように開花してゆくのです。

やがて、パウダリーなオリスルートと、甘やかなアンバー、官能的なムスク、クリーミーなサンダルウッドに包まれ、午前に英国庭園でまどろんでいた淑やかな女性の紅茶の香りは、すっかり、午後に新大陸を求めて航海する情熱の薔薇を愛する女性の温もりの香りへと変わってゆくのです。

そうこの香りは、香りの〝難破船〟ではなく、海上と陸地を通じて新大陸を見つけていくロマンを女性の素肌に宿らせる「ロマン・フレグランス」なのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ペンハリガンは、パルファム ド ニコライの「ニューヨーク」の向こうを張るのに失敗した。安物のポマンダーのような香り。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:マラバー
原名:Malabah
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:不明
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円


トップノート:レモン、アールグレイティー、コリアンダー
ミドルノート:ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、ローズ、オリスルート
ラストノート:スイートアンバー、ムスク、サンダルウッド