ランテルディ オーデパルファム ルージュ ウルティム
原名:L’Interdit Eau de Parfum Rouge Ultime
種類:オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:アン・フリッポ、ドミニク・ロピオン、ファニー・バル
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:35ml/13,090円、50ml/16,720円、80ml/19,910円
公式ホームページ:ジバンシィ
『究極の禁断:赤い運命のジバンシィ』
オードリー・ヘプバーン伝説により、ジバンシィを代表する香りとして知られた「ランテルディ」は、1957年から発売されていました。
元々、1954年に、ユベール・ド・ジバンシィがオードリー・ヘプバーンのために作らせた香りをオードリーに嗅がせたところ、甚く気に入り、商品化することを「禁じた(Mais je vous l’interdis !)」ため、ついに3年後に商品化が認められた時に「ランテルディ(禁止)」と名づけられたという伝説が生まれました。
ジーン・セバーグ、ウィンザー公爵夫人、若き日のエリザベス女王とジャクリーン・ケネディも夢中にしたこの香りはやがて1990年代前半に廃盤となり、その後続品として、1993年に「ランテルディⅡ」が発売されました。
そして、2002年に復刻し(ジャン・ギシャールとオリビエ・ギロティンにより)、2007年に50周年の復刻版として、オレンジフラワー、ホワイトローズ、ジャスミン、ヘリオトロープが強調されたものが発売されました。
そんな魅力的な逸話に満ちた「ランテルディ」が61年ぶりに、21世紀バージョンとして、2017年3月に、リカルド・ティッシの後を継ぎアーティスティック・ディレクターに就任したクレア・ワイト・ケラー(メゾン初の女性の主任デザイナーであり、メーガン・マークルのウエディングドレスを作った)の指揮の下、2018年9月に「ランテルディ オードパルファム」として完全リニューアルされました。
クレアが「ジバンシィの新しい責任者になると分かったとき、私は女性の新しいビジョンを創造したいと思いました」という思いを込めて生み出された、とてもフローラル・ウッディの香りは、アン・フリッポ、ドミニク・ロピオン、ファニー・バルによって調香されました。
21世紀バージョンの香りのコンセプトは、自分の中で禁止していたライン、もしくは今まで知らなかった『禁断』の扉を開けて、新しい自分を手に入れるスリルです。
2021年9月3日に、〝第三の女=三番目のフランカー=三度目のデートで落とす〟として、熱く燃えたぎるように情熱的で、エレガントでスパイシーな魅惑の香りの「ランテルディ オーデパルファム ルージュ」が発表されました。
さらに〝第四の女=四番目のフランカー〟として2023年9月1日に発売されたのが「ランテルディ オーデパルファム ルージュ ウルティム」です。〝ウルティム=Ultime〟とは、フランス語で〝究極の〟の意味です。
さそり座の女の香り=最後には、自分を食べ尽くし、燃やし尽くす香り
わたしはさそり座です。 さそり座の人間は、私のように自分を食べ尽くし、燃やし尽くすのです。
ヴィヴィアン・リー
『究極の禁断:赤い運命のジバンシィ』と呼ばせて頂きたくなるこの香りは、悪魔の接吻のようなカカオとその吐息のようなタバコの香りが加わり、赤いさそり座の女のように、最後には自分を食い尽くしてゆきます。ここまで徹底した〝滅びの美学〟の香りにはなかなか巡り合えないでしょう。
あざとさという言葉を超越した、会った瞬間に、とんでもない悪女だと教えてくれる香りです。でもこんな悪女にだったら、打ち滅ぼされてもいいと願ってしまう『禁断の妄想』を発動させてしまう香りなのです。
そんな『存在してはならないジバンシィ』の香りは、圧倒的な情報量のホワイトフローラルが素肌の上に滑り出すようにしてはじまります。チューベローズ、オレンジフラワー、ジャスミンといった花々が、夜露と月の光に磨き上げられ、青々しさ、花の蜜の甘さ、ピリっとしたスパイシーさ、そして何よりもアニマリックさなど、色々な側面を、しなやかにしたたかに、艶めかせてゆきます。
胸の谷間の見せ具合、背中の空き具合、スリットの入り具合が絶妙な、洗練されたグラマラスなムードを演出してくれるイブニングドレスを着たセンスの良さが感じられます。
この香りの素晴らしいところは、完璧に磨き上げられた女優のようなホワイトフローラルが、徹頭徹尾、情無用な悪女に徹して生き生きと色づいていくところにあります。その役割をパチョリとベチバーが一手に担っているのです。それぞれのスモーキーさ、チョコレートのような香ばしい甘さ、温かさといった〝魔性の側面〟を制限なく溶け込ませていくのです。
映像でこの香りを再現すると、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のパロマなのではないでしょうか。この香りは究極のルージュがブラックへと到達する瞬間の香りとも言えます。
最後に、この「ランテルディ」の〝第四の女=さそり座の女〟の香りが素晴らしいのは、とんでもない悪女の香りでありながら、ドロドロとした感じがなく、あくまでスタイリッシュに地獄に落としてくれそうな切れ味の良さと、真のクールネスが備わっているところにあります。
香水データ
香水名:ランテルディ オーデパルファム ルージュ ウルティム
原名:L’Interdit Eau de Parfum Rouge Ultime
種類:オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:アン・フリッポ、ドミニク・ロピオン、ファニー・バル
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:35ml/13,090円、50ml/16,720円、80ml/19,910円
公式ホームページ:ジバンシィ
トップノート:チュニジア産オレンジ・ブロッサム、チュニジア産ネロリ、ジャスミン・サンバック
ミドルノート:インド産チューベローズ、カカオ
ラストノート:インドネシア産パチョリ、タバコ、アンブロクサン、ハイチ産ベチバー