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【エルメス】ジュール ドゥ エルメス アプソリュ(ジャン=クロード・エレナ)

エルメス
©Hermès
この記事は約4分で読めます。

ジュール ドゥ エルメス アプソリュ

原名:Jour d’Hermes Absolu
種類:オード・パルファム
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:30ml/12,870円、50ml/18,700円、85ml/25,850円
公式ホームページ:エルメス

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ドレスアップした「ジュール ドゥ エルメス」

モデル:エディタ・ヴィルケヴィシュテ ©Hermès

ジュール・ドゥ・エルメスとアプソリュの違いは、前者が、朝日と庭園の花々に戯れる女性への賛歌として、透き通るように軽やかな香りであるならば、後者は、昼下がりにアパートメントの花々に囲まれ、一人の世界に没頭している女性へのモダンジャズのような深い余韻のある香りなのです。

ジャン=クロード・エレナ

ジュール ドゥ エルメス」の翌年、2014年に発売された「その後のエルメス」です。

女性の美しさの謎めいた部分に焦点を当て、スイートピーを取り除き、甘いハチミツのようなアプリコットと上品なジャスミン・サンバックを加え、香りの甘さに華やかさを伴わせています。エルメスの初代専属調香師ジャン=クロード・エレナにより調香されました。

二つの香りの共通している部分はあたたかい笑みを浮かべる女性というところです。清潔感に満ちた朝の女性が、妖艶さを漂わせるオンナへと、変身する導火線に火をつけていく香りです。しかし、あくまでも表面上は上品であることが重要なのです。この香りのイメージを端的に伝える言葉は、下に引用するエレナの二つの言葉にあります。

この香水を身につけ、官能性を高めた女性は、夜には、エルメスの服も香水も脱ぎ捨てて、ディオールやサンローランのドレスを着るんだ。

私はロリポップではないので、誰かを誘惑する香りを作ろうと考えたことはない。

しかし、実際のところは、エレナの意図に反し、この香りにはドレスアップした「ジュール ドゥ エルメス」とも言える隠し切れない官能的なエレガンスが存在するのです。

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毎日、違った自然の光を感じることが出来る香り

オリジナルと同じく存在するグレープフルーツ、グリーンレモン、ルバーブの酸味の上にアプリコットとピーチがトロリと注ぎ込まれます。すぐにグレープフルーツは甘ったるいジューシーさで、睡魔さえも誘う、柔らかな太陽の光に包み込まれながらスパークリングするようにこの香りははじまります。

それは早朝ホテルのカーテンを開ける瞬間ではなく、最初から光り輝くエッフェル塔が見える、バルコニーでまどろみながら、真昼の恩恵を全身で受け止める瞬間です。

夜に対する期待感から温かく豊かに香るガーデニア、ジャスミン・サンバック、オスマンサス、ローズ、スズラン、ヒヤシンス、フリージアといったホワイトフローラルブーケ。

そこに振りかけられるハニーのひとさじにより、すべてに華やかさを与えながら、それぞれの花びらの神秘性を引き立てることにより、個々の花の香りが認識できないようにするというこの香りの一大テーマの追求がはじまります。

〝私は、女性らしさとは○○の花だという香りを作りたくなかった〟という部分です。それでいて、オリジナルと違う花の輝きを感じることが出来ます。

やがて、ムスコンが光のヴェールですべてを包み込み、グレープフルーツ(時にレモン)に脅威的な生命力を生み出しながら、温かなフローラルブーケの煌きと共にクリーミーに渾然一体化されてゆきます。そして、オークモスとシダーウッドがアーシィーかつ木の温もりを与えてゆきます。

この香りの面白さ、それは人間模様を描いた映画のような、柑橘と花々と木々の自然なふれあいの中に身を置くような、自然が光り輝く瞬間と出会う喜びにあります。今日はアプリコット→ガーデニア、明日はジャスミン→グレープフルーツと言う風に、毎日、違った自然の光を感じることが出来る香りなのです。

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香水データ

香水名:ジュール ドゥ エルメス アプソリュ
原名:Jour d’Hermes Absolu
種類:オード・パルファム
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:30ml/12,870円、50ml/18,700円、85ml/25,850円
公式ホームページ:エルメス


トップノート:アプリコット・ブロッサム、グレープフルーツ
ミドルノート:ガーデニア、ジャスミン・サンバック、フローラル・ノート
ラストノート:アプリコットフラワー、ハニー