究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
シャネル

【シャネル】ジャージー(ジャック・ポルジュ)

シャネル
©CHANEL
この記事は約4分で読めます。

ジャージー

原名:Jersey
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2016年(2011年)
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル

スポンサーリンク

ジャージーのように優しく包み込むラベンダーバニラ

ジャージー・ドレスを着るココ・シャネル。1928年。

ジャージー・ドレスを着るココ・シャネル。1929年。

2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。そして、2011年にオード・トワレとして「ジャージー」が、シャネルの3代目専属調香師ジャック・ポルジュの調香により発売されました。

「ジャージー」の名は、1916年にココ・シャネルが、史上初めて(水兵のセーターや紳士服にしか用いられなかった)ジャージー素材を女性用ドレスのために使用して発表したことに由来します。

ジャージーとは、チャンネル諸島(Channel Islands、シャネルと非常に似たスペル)のジャージー島にすむ牛から採れた毛糸を使い編んだ漁夫のセーターが起源と言われています。

ジャージー素材のドレスは、1914年に開戦の火蓋が切られ、ヨーロッパ全土を戦禍に巻き込んだ、第一次世界大戦のさなかに、シンプルで着心地の良い素材のドレスを求めていた女性たちのニーズにぴったり合致し、瞬く間にファッション・トレンドとなりました。

安くて丈夫で伸縮性のあるジャージー素材にココ・シャネルが目をつけたのは、アーサー・〝ボーイ〟・カペルの馬の調教師のセーターからでした。

ジャージー・ドレスは、1916年に、いち早くアメリカのハーパース・バザー誌に掲載され、翌年には同誌上にて、「シャネルを一着も持っていない女性に未来はない」とまで書かれ、シャネルは「ジャージーの独裁者」と呼ばれるようになるほどの成功を収めるのでした。

スポンサーリンク

男子と肩を組むオンナの香り

1924年のシャネルと、バレエ リュスのプリンシパルダンサーのセルジュ・リファール。

ココと言えば、有名なのがこの写真。1924年。

ココ・シャネルという女性の本質は、この一言に集約されます。「たとえあなたが仕掛けられた罠だとしても、私の破滅のはじまりだとしても・・・」。このラベンダーバニラの香りは、まさにそんなシャネルイズムの極みのような香りです。

広大な風通しの良い大草原の輝きを舞台にこの香りは展開してゆきます。まずは甘くもクリーミーな色男の体臭のようなトンカビーンがグリーンノートに溶け込んでゆきます。すぐに、ひんやりと冷たげなラベンダーが現れ、トンカビーンにより、ラベンダーの奥に潜む甘さがだんだんパウダリーに浮き上がってきます。

やがて、香りは甘い色男の色気に、引き込まれるのではなく、女性らしい華やかさと、透明感を併せ持つジャスミンに包まれていきます。そして、クリーミーなバニラが、パウダリーなラベンダーと見事にブレンドされてゆき、色男を夢中にさせます。

大草原の輝きがこの〝ラベンダーとバニラで作られたジャージー〟の秘密のレシピです。

最後に、ムスキーなローズが大草原のラベンダーに溶け合うように、女性は、この色男にすべてを委ねる決意を固めていくのです。ココ・シャネルの歴史。それは、自立した女性の歴史でありながら、(ナチスの将校を含めて)男との愛に殉じる女性の「意志の勝利」の歴史なのです。

静かなる柔らかな甘い余韻が、ココ・シャネルの芯の強さを感じさせます。心地良さと同時に、迷いを吹っ切ってくれるそこはかとなく続いていく〝パンツルックの大草原の香り〟です。

2016年9月には、オード・パルファム・ヴァージョンが発売され、これが現行品となっています。エルメスの「ブラン ドゥ レグリス」や、キリアンの「テイスト オブ ヘブン」とよく比較される香りです。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ジャージー
原名:Jersey
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2016年(2011年)
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル


トップノート:ワイルドフラワーズ、草
ミドルノート:ローズ、ラベンダー、ジャスミン
ラストノート:ホワイトムスク、バニラ、トンカビーン