フローラル ロマンティク
原名:Floral Romantique
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:75ml/38,830円
音のない音楽会のはじまり
今日、香水には、機能性ばかり求められ(香害にならないかばかりを気にして)、ドリーム、意外性、個性、そして、欲望を失っています。私たちは、香りを飼いならすのではなく、飼いならせない香りに身を委ねてみる必要もあるのです。それは、まさにコントロール出来ない恋愛におけるロマンティックな気分と同じです。そして、この気持ちこそが人間のスケールを大きくするのです。そんなスケールのある香りを私は作りたいと願いました。
ティエリー・ワッサー
「女性の官能性を呼び覚ます」をコンセプトに、2008年に生み出されたゲランのエクスクルーシブ・フレグランス・コレクション「エリクシール シャルネル(=肉感的な秘薬)」から、第五弾の香りとして2011年6月に発売されたのが「フローラル ロマンティク」=「ロマンティックなフローラル」です。
このコレクションは、時のクリエイティブ・ディレクター、シルヴェーヌ・ ドゥラクルト(マチルド・ローランと共にジャン=ポール・ゲランの下で学んだ女性)により生み出されました。
オレンジの香りからはじまるウッディ・フローラルの香りは、それまで前4作品を調香していたクリスティーヌ・ナジェル(彼女はこの間にジョー・マローン・ロンドンで大活躍していた。そして、2014年にエルメスの専属調香師に就任します)から、ゲランの五代目調香師ティエリー・ワッサーにバトンタッチされ、調香されました。
地球上に存在する、ゲランが手に入れることが出来るホワイト・フラワーの中で、特に上質なものを使用して生み出された香りです。ホワイト・フラワーがブレンドされた香りは、実に曲者であり、幸せに包まれていない人が嗅ぐと、凡庸に感じ、幸せに包まれている人が嗅ぐと、とんでもない相乗効果を生み出す、天使のような清らかさと穏やかさを備えています。
ふんわりと身体を包み込むようにしてまず最初にオレンジ・ブロッサムが現れます。すぐにロマンティックな旋律が奏でられます。音のない音楽会のはじまりです。
予定調和な安定感のある至宝の芸術性
清らかな百合と(バナナのようなクリーミーな)イランイラン、ジャスミンの控えめなフローラルブーケ(パウダリー感はゼロ)が、スモークティーやヴァージニア・シダーと絶妙なハーモニーを奏でてくれます。
最初は、香りの奥深くに、そして、ラストに向かい強くなる、まるでラヴェルの『ボレロ』のようなベンゾインとマロングラッセの甘くクリーミィな波が、香りが肌に溶け込んでいくようなドライダウンへと導いてくれます。
最上級の香料とは、肌に溶け込んでいく香りであることを教えてくれる「幸せの季節」をより、ロマンティックな輝きで包み込んでくれる香りです。
この香りには、モーツァルトの交響曲第一番から第十番までを通しで聞いているような予定調和な安定感があります。奇をてらうところはないのですが、「目を閉じて、耳を澄ませば」感じることが出来る確かな芸術性が堪能できる香りです。
香水データ
香水名:フローラル ロマンティク
原名:Floral Romantique
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:75ml/38,830円
トップノート:マンダリン・オレンジ、アンブレット、プチグレン、マテ茶、ネロリ
ミドルノート:カーネーション、ジャスミン、イランイラン、ティアレフラワー、百合
ラストノート:スモークティー、マロングラッセ、ヴァージニア・シダー、ベンゾイン