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ジョー・マローン・ロンドン

【ジョー マローン】フィグ & ロータス フラワー コロン(アレクシス・ダディエ)

ジョー・マローン・ロンドン
©Jo Malone London
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フィグ & ロータス フラワー コロン

原名:Fig & Lotus Flower Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:アレクシス・ダディエ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/11,880円、100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン

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ジョー・マローンによる〝香りの空中庭園〟

「バベルの塔の建設」(1580)ヘンデリック・バン・クリーブ3世

ジョー・マローン・ロンドンから2020年9月4日に発売された二つの香りは、今までのジョー・マローンの香りとは全く違う趣の香りです。

ロスト・イン・ワンダー」という名の新しいコレクションから発売された二つの香りは、「フィグ & ロータス フラワー コロン」と「サイプレス & グレープバイン コロン インテンス」です。このコレクションのテーマは、「世界の七不思議」のひとつ〝バビロンの空中庭園(バビロンの吊り庭園)〟です。

バビロンの空中庭園とは、新バビロニア王国の2代目の王ネブカドネザル2世(紀元前634年 – 紀元前562年)が、最愛の王妃アミュティスのために造った庭園でした。それは彼女が祖国メディア王国の山岳地域に対して持ち続けている望郷の念を癒すために、ありとあらゆる花と植物を植えた空中庭園でした。

ジョー・マローンのクリエイティブ・ディレクターであるセリーヌ・ルーが2016年に大英博物館で見たバビロンの空中庭園に関する展示物から得たインスピレーションによりこの香りのコレクションは創造されたのでした。

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香りのワンダーをとりもどせ!

このコレクションの3人の創造の源は、古代に刻まれたこのレリーフでした。

〝バビロンの空中庭園〟の香りをつくる為にセリーヌ・ルーがまず最初に行ったこと。それは、オックスフォード大学の考古学者に連絡し、バビロンの空中庭園で栽培されていたと考えられる植物の全てを把握することでした。

松、糸杉、ビャクシン、アーモンド、ナツメヤシ、黒檀、紫檀、オリーブ、オーク、ギョリュウ、くるみ、テレビン、トネリコ、モミ、ザクロ、西洋梨、マルメロ、イチジク、ぶどう

これらの香料と、空中庭園にまつわる王と王妃の物語を考えるにあたりセリーヌが出したひとつの結論は、二つの香りによって〝バビロンの空中庭園〟の香りを創造するということでした。

そして、セリーヌは、ソフィー・ラベアレクシス・ダディエの二人を調香師として選抜したのでした。さらに、3人で再び大英博物館を訪れ、この時に行われていたアッシリア展で展示されていたニネヴェから発掘されたアッシリア・レリーフの一つである空中庭園について描かれたものを、香りを作るための最重要の参考材料としたのでした。

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水上で浮遊しているロータスフラワー・・・

©Jo Malone London

バビロンの空中庭園にあるロータスフラワーで覆い尽くされた池とその周辺に植えられたイチジクの木を想像してください。まさにあなたはこの幻想の庭園を歩いているのです。

まず最初の小道で、フレッシュなイチジクの香りに包まれます。そして、すぐに葉のグリーンさを感じ、少し小道の角を曲がると太陽の温かさを感じます。その後で、そよ風に包まれ、ロータスフラワーの官能的な香りを感じ取ります。そして、日陰を歩き、しっとりとした大地の香りの中で、身も心も安らぐのです。

アレクシス・ダディエ

「フィグ & ロータス フラワー コロン」は、アレクシス・ダディエにより調香されました。

そして、この香りは、もう一つの香りとコンバイニングすると相性が良いように調香されています。恐らく「サイプレス & グレープバイン コロン インテンス」がネブカドネザル2世であり、「フィグ & ロータス フラワー」が王妃アミュティスなのでしょう。

二つをコンバイニングすると、お互いの香りが、透明感に包まれ、鮮度と深みを増していきます。それは王と王妃の愛の香りとも言えます。

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実は、この香りのコードネームは「バビロンの庭」では

©Jo Malone London

ネブカドネザル2世は朝食用に新鮮なフィグ(メソポタミアでは6千年以上前から栽培されていた)を食することを好み、毎朝、庭園で熟したフィグをひとつ手で掴むことを日課としていたという言い伝えから、セリーヌ・ルーはこの香りのメイン香料をフィグ(イチジク)にしました。

さらに彼女が、フラワーロータスをフィグの相方に選んだのは、王が、庭園で祭事を行うときに、最も好んだ香りであり、飾りつけに使用されていたことからです。

そのようなイメージを聞かされたアレクシスは、彼自身が生まれ育った南フランスでは、フィグがよく実っており、太陽の陽の光を浴びて熟した甘い香りをよく覚えているという幼き日の記憶を辿る事にしました。

果肉を模倣するために、ラクトースとジボダン社のステモンを含む合成香料と天然香料をブレンドしてフィグのミルキーさを出しました。そして、彼がイタリアの植物園の池がロータスフラワーだらけだったその時の香りも、オレンジブロッサムとソーラーノートとウォータリーグリーンのブレンドにより忠実に再現しました。

最後に、セリーヌが最もこだわった「私はイチジクの短命な香りを、ロータスフラワーにより、新鮮さを兼ね備えつつも、長寿を与えたいと考えました」という点を、アレクシスは、ホワイトムスクを使用することにより実現したのでした。

この香りは、空中庭園というよりも水上庭園と呼ぶ方が相応しい池に浮かぶ瑞々しいロータスフラワーにジューシーなイチジク(フィグ)が絡み合う香りです。

セリーヌは、「ウッド セージ & シー ソルト コロン」とのコンバイニングを〝木の精を香りに運んでくれる〟と言ってお勧めしています。ちなみに、この香りの調香師は、現エルメスの二代目専属調香師クリスティーヌ・ナジェルです。ということは、この二つがコンバインされると、「バビロンの庭」という香りになってしまうのではないだろうかと思うのは私だけでしょうか?

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香水データ

香水名:フィグ & ロータス フラワー コロン
原名:Fig & Lotus Flower Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:アレクシス・ダディエ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/11,880円、100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン


トップノート:フィグリーフ、シトラス
ミドルノート:ロータス・フラワー、ネロリ
ラストノート:シダーウッド、ベチバー、アンバー、グレープ