ダイアモンズ
原名:Emporio Armani Diamonds
種類:オード・パルファム
ブランド:エンポリオ・アルマーニ
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/9,000円
ビヨンセ × エンポリオ・アルマーニ
2007年にエンポリオ・アルマーニ(当時のアルマーニのフレグランスはロレアルにより作られていた)から発売された香りの名は、ハイジュエリー・ブランドがその名を使用したくても、恐れ多くて使用しない「ダイアモンド(正確には複数形のダイアモンズ)」でした。
(ジョルジオ・アルマーニ自身によりデザインされた)ダイアモンド・カットされたボトル・デザインに封じ込められたダイヤモンドの精は、ゲランの五代目調香師になる寸前だったフィルメニッヒ時代のティエリー・ワッサーにより調香されました。
アルマーニは、「ダイアモンド」に相応しい現代のミューズは彼女しかいないと、破格の契約金により、当時人気が頂点に達していたビヨンセをミューズに起用しました(この香りの問題点は、予算配分にあるのかもしれない)。
そして、マリリン・モンローが『紳士は金髪がお好き』(1953)の中で歌う「ダイアモンドは女の親友」をビヨンセに歌わせるという素敵過ぎるキャンペーン広告を生み出したのでした。
これがビヨンセの香り?
ダイアモンドの香りであり、ビヨンセの香りであるという大風呂敷を広げたこの香りは、冷やされたライチによって、ダイアモンド・カットされたベリーキャンディーのようなひんやりとした甘ったるさではじまります。
すぐにパウダリーなバニラが、ふんわりと包み込むように香り立ち、ラズベリーの甘酸っぱさを抑えていきます。そして、アルマーニがこの香りに望んでいた「食べたくなるようなローズ」の芳香がじんわりと溶け込むようにグルマンな甘みで満たしてゆきます。
やがて、ラズベリーローズに、キラキラとフレッシュなスズランとフリージアが加わり、パチョリとシダーにより煌くように若々しいフルーティーフローラルな輝きで包み込んでくれます。
それにしてもこれが21世紀最高の歌姫であり、スーパースターであるビヨンセの香りなのだろうかという疑問を感じずにはおれないほど、ティーンエイジャーまたは香水初心者のための平凡な香りでした。そして、アルマーニの期待通りの売り上げを上げることが出来ず、数年で廃盤となりました。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ダイアモンズ」を「ラズベリーバニラ」と呼び、「私が4歳の頃に熱を出したとき、フルーツ味の液体抗生物質が処方され、スプーン数杯分を一度に飲まなくてはいけなかった。4人の大人が私を押さえつけて、叫ぶ私の口にそれを無理矢理流し込んだ。その味はこれに似ている。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ダイアモンズ
原名:Emporio Armani Diamonds
種類:オード・パルファム
ブランド:エンポリオ・アルマーニ
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/9,000円
トップノート:ライチ、ラズベリー
ミドルノート:パチョリ、フリージア、スズラン、シダー、ローズ
ラストノート:アンバー、バニラ、ベチバー