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【ジェニファー ロペス】グロウ バイジェイロー(ルイーズ・ターナー)

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グロウ バイジェイロー

【特別監修】カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様

原名:Glow
種類:オード・トワレ
ブランド:ジェニファー・ロペス
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:30ml/6,160円、50ml/8,030円、100ml/11,550円
販売代理店ホームページ:ベルコスメ

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2001年、世界中がジェニファー・ロペスに夢中になりました。

2002年に誕生したジェニファー・ロペス(1969-)の「グロウ」は、香水の歴史を変えた香りでした。この香りからアメリカを中心に、セレブリティ(ポップスター、ハリウッド女優)がシグネチャーの香りを生み出していくセレブリティ・フレグランス旋風を巻き起こしていったのでした。

実は「グロウ」誕生前夜、『月の輝く夜に』でアカデミー主演女優賞を獲得したばかりのシェールが生み出した「Uninhibited」(1987)が大失敗したように、有名人の香りは、1991年に発売されたエリザベス・テイラーの「ホワイト ダイヤモンド」以外、決して成功することのないジャンルでした。

そして「グロウ」がゲームチェンジする一年前の2001年。ジェニファー・ロペスは奇跡を起こしていました。映画『ウェディング・プランナー』が初週に全米興行収入1位を獲得し、さらに同じ週に2枚目のアルバム『J.Lo』が全米No.1を獲得し、映画と音楽で一週間頂点に君臨したのでした。

かくして10代後半から20代前半の女性を中心に、『J.Lo旋風』が全米を席巻したのでした。

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〝奇跡を呼ぶ女〟キャサリン・ウォルシュの登場。

ジェニファー・ロペスと契約した日の帰りに購入したショパールの時計を愛用しているキャサリン・ウォルシュ。

私は「グロウ」がフレッシュでクリーンでありながら、セクシーで官能的であることを望んでいました。それはちょうどあなたがシャワーから出てきたような…世界で最もセクシーな人であると感じさせる瞬間を生み出したいと思ったのでした。

そのためにどれだけ入念に試作品をテストしたかを今も覚えています。私にとって、それはとても特別な思い出です。

ジェニファー・ロペス

J.Lo旋風が世界中に広がっていく中、この社会現象に目をつけた一人の女性の英断により、香水業界にも奇跡は起きることになりました。その女性の名をキャサリン・ウォルシュと申します。

レブロン(シーズンカラーを作るために)からキャリアをスタートし、エスティローダーのマーケティング部門でキャリアを磨き、2001年にコティ・プレステージのマーケティング担当上級副社長に就任した彼女が最初に取り掛かった仕事。

それはジェニファー・ロペスとの契約を纏めることでした(ジェニファーは1998年4月にアパレルを立ち上げた時から自分のフレグランスを発売したいと考えていた)。そして、2001年12月に無事契約が締結されたのでした。

かくして2002年に、コティ・プレステージは、ジボダンの調香師ルイーズ・ターナーを召喚したのでした。

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セレブリティ・フレグランス・ブームを生み出した香り

©Coty Inc.

当時、ジェニファー・ロペスは香水産業についてまったく詳しくなかったのですが、自分がなぜ香水を生み出したいかということについては明確なビジョンがありました。

そして私にとっても「グロウ」がなければ今の私はいません。 私の調香師としてのキャリアの根幹をなすものであり、20年経った今でも残っていることを非常に誇りに思います。そんな風に言えるフレグランスはとても少ないものです。

ルイーズ・ターナー(2022年)

〝スターの輝き〟を意味する「グロウ」発売にあたり、マンハッタンのトランプタワーで、ドナルド・トランプも出席する200人規模の豪華なローンチパーティーが開催されました。当初、香水業界人が皆失敗すると予想していたにもかかわらず、2002年9月に発売と同時に売り切れ続出となり、初年度に1億ドルの売り上げを上げたのでした(北米とドイツ、日本で特に売れる)。

そして、最終的に20億ドル以上の利益をもたらす『グロウ帝国(=数多くのフランカー)』を誕生させたのでした。この成功により、デビッド・ベッカムやパリス・ヒルトン、ブリトニー・スピアーズ、サラ・ジェシカ・パーカー、ビヨンセ、リアーナ、アリアナ・グランデなど、より多くのスター達が自分のフレグランスを発表するようになったのでした。

つまり「グロウ」が、フレグランスが〝彼女になりたい〟という願望を満たす魔法だと人々に信じさせることに成功したのでした。

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ルイーズ・ターナーが語る「この香りの成功の秘訣」

©Coty Inc.

ジェニファーのフレグランスに対する夢はとてもシンプルなものでした。それは〝肌につける石鹸のような清潔感のある香り〟にしたいということでした。第二の肌のような、ムスクのような香りです。

そして彼女が愛用していたある石鹸の香りからイメージが膨らんでいきました。

この香りは、フローラルであるにも関わらず甘ったるくなく、安心感を与えるようなオーラがあるんです。そのシンプルさが大衆に支持された理由だと思います。人々に理解されやすかったのです。まさに直球勝負な香りなのです。

ルイーズ・ターナー

ちなみにルイーズがこの香りの試作品をつけて本屋にいた時、あるお洒落な女性が近づいてきて、「何をつけているのですか?とてもいい香りだから、どこで買えるのか教えてください」と、調香師人生においてはじめて尋ねられたのでした。この瞬間、この香りの成功をルイーズは確信したと回想しています。

そしてルイーズは、2022年に「今では、21世紀はじめの頃のようにセレブリティがただ名前を貸しただけのフレグランスは売れなくなっています。しっかりと深く関わって作っていかないと絶対に成功しません」と断言した後、こう付け加えています。「実は「グロウ」はそのような姿勢で生み出された最初の香りだったのです」。

2011年、セレブリティ・フレグランスは年間1億5000万ドルの売上をあげていました。しかし、2014年には5060万ドルにまで落ち込みました。
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〝J.Loになりたい〟という願望を満たす魔法の水

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ジェニファー・ロペスの最初の香りが商業的に成功したことについて、ラルチザン・パフュームのクリエイティブ・ディレクター、パメラ・ロバーツが「まったく驚きません。化粧品のような香りがする独創的な香りだからよ」と説明しました。そしてその通りなのです。

「グロウ」は、高級感、ステータス、美しさ、安心感、愛など、化粧にまつわるすべての要素を強化した香りです。このコンセプトは、キャサリン・ウォルシュが考えたものかもしれませんが、技術的な部分はルイーズ・ターナーによるもので、それは実に手堅く作られており、適切なシナプス反応を誘発します。パーツが溶け合い、ビロードのような効果を生み出しています。

チャンドラー・バール(ニューヨークタイムズ、2008/9/25)

J.Loのスター性によって、この香りはみんなの注目を浴びました。1990年代後半に流行したフレッシュでアクアティックな香りを、ホワイトフローラルの彩度で表現したもので、親しみやすく、かつ新しいものでした。

ルイーズ・ターナー

J.Loの〝肌の香り〟はネロリとオレンジブロッサムの中に弾けていくグレープフルーツと共にはじまります。このオープニングの爽快感はそれほど長く続かないのですが、大豪邸のプールサイドで横たわる、太陽と海に愛される健康的に日焼けした美女に、自分自身が生まれ変わっていくようなリッチさを感じさせます。

すぐに、シトラスの爽快感が、甘くエアリーなムスクとミルキーなサンダルウッドに包み込まれ温かみを増してゆきます。そこにパウダリーなオリスルート(アイリス)のシャワーが降り注ぐ中、素肌にジャスミンとローズ、チューベローズが優しく花を咲かせてゆくのです。

まるで温かいシャワーを浴びるように、全身の疲れが洗い流されていくように、クリーミーなホワイトフローラルの石鹸が全身を香り清めてくれるのです。それは、まわりの人々も引き寄せるような円やかでクリーンな余韻が、内なる肌から〝輝き〟ながら広がっていくようです。

「グロウ」は、当時の若い女性向けのフレグランスのほとんどを占めていたフルーティなグルマンとは一線を画していました。それはもう少し “大人”で、ガーリーでありながら若すぎない、魅力的なフローラルブレンドを提供するものでした。

ルイーズ・ターナー

恐らく、この香りで洗い立ての石鹸の香りに慣れ親しんだ若き女性たちは、エルメスの「カレーシュ」のようなラグジュアリー石鹸の香りへとやがて移行してゆくのでしょう。

ちなみに2002年に発売された当時のボックスは、ジェニファーの肌をイメージした肌触りで作り上げられていました。そしてグレッグ・デルヴス(Greg Delves)によりデザインされた官能的なシェイプのボトルデザインは、彼女の裸体から生み出されています。

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〝J.Loの肌の香り〟それは、肌の香りがするムスクの先駆け。

2000年のグラミー賞式典でJ.Loが着た「伝説のヴェルサーチェのジャングルドレス」2000年2月23日。

2014年に着たジャングルジャンプスーツ。44歳のJ.Lo。

ヴェルサーチェの2020年SSミラノコレクションにてジャングルドレスを再び着たJ.Lo。2019年9月20日。

最後に、この香りがかつてブルーベルで取り扱ていた時にチーフとして活躍しておられた、カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様による、「グロウ」に対する貴重な解説をご紹介させて頂きます。以下彼女のお言葉です。

クロエ オードパルファム」はあくまでクラシックローズのフローラルな香りとムスキーな香りが石鹸のような清潔感を覚える香りなのですが、「グロウ」は後に発売された「ナルシソ ロドリゲス フォーハー」に近いのかも知れません。フローラルな部分があまりなく、すぐにムスキーな清潔感で肌から香り立つような印象です。

日本でも割と人気があった香りで〝肌の香りがするムスク〟の先駆け的な香りといっても良いでしょう。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「グロウ」を「メタリックフローラル」と呼び、「グロウとは何のことか?〝天使のようにきらきら光る官能性を表現〟とは誇大広告だ。もっとつまらないのはジェニファー・ロペス本人のコメント。「シャワーを浴びたばかりの気分になって、私って世界一セクシーと思わせてくれる」。」

「個人的には、シャワーを浴びる前からセクシーであってほしいと思うのだけれど。いずれにせよ、気取らず清潔で気持ちのいいフローラルだ。風変わりなヘリオナール(舐めた銀のスプーンの光沢)が含まれている。体中ごしごし洗った16歳にぴったりだ。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:グロウ バイジェイロー
原名:Glow
種類:オード・トワレ
ブランド:ジェニファー・ロペス
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:30ml/6,160円、50ml/8,030円、100ml/11,550円
販売代理店ホームページ:ベルコスメ


トップノート:ネロリ、オレンジブロッサム、グレープフルーツ
ミドルノート:ジャスミン、ローズ、チューベローズ
ラストノート:ムスク、サンダルウッド、オリスルート、バニラ、アンバー

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