ディオール アディクト2
原名:Dior Addict2
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:不明
発表年:2005年(現在は廃盤)
対象性別:女性
価格:20ml/4,500円、50ml/8,000円
幻のディオール アディクトPARTⅡ
20世紀末にジャドールを発売し、世紀末覇者となったディオールは、21世紀に入り、20代をターゲットにしたコスメとフレグランスを創造することを至上目的としました。
かくして、2002年10月に「ディオール アディクト(日本語訳:ディオールに首ったけ!)」(EDP)が大々的な広告キャンペーンと共に発売されたのでした。この香りのコンセプトは、女性の中に眠る野獣を目覚めさせる香りではなく、野獣を目覚めさせた女性が、その野獣を飼い慣らすための餌=香りでした。
そのため、春夏、昼間には使用不可能とまで言い切って良いほど、扇情的かつ挑発的でした。その空白の部分を補うために生み出されたのが「ディオール アディクト オー フレッシュ」でした。オード・トワレとして発売され、同じくティエリー・ワッサーにより調香されました。
さらに、翌2005年夏に新しく発売されたフランカーが「ディオール アディクト2」でした。20代の女性をターゲットに生み出されたこの香りは、深みはないのですが、まだまだ香水に対する理解が浅かった当時の日本においては最適な香りでした。調香師は、不明なのですが、恐らくティエリー・ワッサーによる調香だと思われます。
エルメスの「ローズ イケバナ」を思わせる香り
「ソヴァージュ2」や「ミス ディオール2」という、ナンバリングした名前をつけなくなったディオールの過去の遺産である「アディクト ナンバー2」の香りは、透き通るように、明るくピンクにきらめく、苦みを解き放つグレープフルーツを中心としたシトラスの輝きが、フリージアに降り注ぐようにしてはじまります。
スパークリングワインのように、弾けて酔わせる香りを最初から最後までほんの少し感じることが出来るのが、この香りの名が「アディクト(夢中、虜になる)」たる所以です。
すぐに太陽のように温かくジューシーなパイナップルと、氷のように冷たくもジューシーなザクロが相反する甘さをひとまとめにして注ぎ込んでゆきます。そしてフルーツに彩りを与えるかの如く、フレッシュグリーンなスズランとロータス、そしてウォータリーなスイカの香りが重ね合わせられてゆくのです。
あくまで、軽やかに素肌の上を弾けるように駆け抜けていこうとするこれらの香りを、柔らかなサンダルウッドのミルキーさとホワイトムスクのクリーンな甘やかさが、静かに呼び止めて、肌の上で立ち止まらせます。
オリジナルの華やかで妖艶なスモーキーな甘さとは、対極にある、静かな微笑をいつも絶やさない女性の軽やかさを、全身で受け止めていくような、心が優しさで満たされていく香りです。
ちなみに、この香りは、2012年から「ディオール アディクト オー フレッシュ」に名称変更され、ディオールのスタッフですら現状把握出来ない状態にあります。ヴェルサーチェの「ブライト クリスタル」やエルメスの「ローズ イケバナ」ともよく比較される香りです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ディオール アディクト2」を「ピンクレモネード」と呼び、「軽々しく、酸味のあるシトラスフローラルで、あまりに窓用クリーナーに似ている。「パルアムール トゥジュール」を代わりにお試しあれ。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ディオール アディクト2
原名:Dior Addict2
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:不明
発表年:2005年(現在は廃盤)
対象性別:女性
価格:20ml/4,500円、50ml/8,000円
トップノート:オレンジ、フリージア、グレープフルーツ、ベルガモット
ミドルノート:パイナップル、ザクロ、スズラン、スイカ、ロータス
ラストノート:サンダルウッド、シダー、ホワイトムスク