アンブル エターネル
原名:Ambre Eternel
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
ハーレムで踊るベリーダンサーの肌の香り

©GUERLAIN
2014年当時ゲランのクリエイティヴ・ディレクターだったシルヴェーヌ・ ドゥラクルトにより生み出された「レ アブソリュ ドリエント(オリエントの決定版)」は、中東の市場向けに生み出された高級ラインです。
その第二弾の香りとして発表された「アンブル エターネル」は、ゲランの五代目調香師ティエリー・ワッサーにより調香されました。
マッコウクジラの腸内に発生する結石であり、とても希少な動物性の天然香料アンバーグリス(龍涎香)が使用された非常に贅沢な香りです。
この香りによりすぐに思い浮かぶ情景は、エキゾチックな中東の楽器の音色に合わせて、スルターンのハーレムで美しきベリーダンサーが均整の取れた肉体から汗をほとばしらせ踊る姿です。
どこまでも琥珀色に包まれた夜の香り
アンバーグリスからはじまる非常に珍しいこの香りには、不思議なパートナーが存在します。そのパートナーの名をアイリスと申します。この香りのエターナル(永遠=何度も肌に鼻を近づけてしまう)を司るのがこのアイリスです。
妖艶なアンバーグリスは、極めて現代的なコスメの香りを彷彿させるパウダリーなアイリスに包まれ、柔らかくふんわりと浮遊するように香り立ちます。
すぐにハーバルでスパイシーなコリアンダーと温かいシナモンが、アンバーグリスと重なり合うことによりそのソルティーな側面と見事なコントラストを生み出し、キャラメルが溶けたスエードレザーのような香りで包み込んでくれます。
やがて、ジューシーなピーチが、クリーミーなイランイランとオレンジ・ブロッサムといった甘い花々の伴奏の中、アイリス以上にコスメティックなバイオレット(菫)の香りと結びつきあい、踊るように甘く果汁を滴らせます。
さぁ、寝室のドアは閉ざされました。スモーキーなアンバーグリスとゲルリナーデの温かい夜の寝室に、蝶が迷い込み、その姿を一筋の光が照らし出すような、幻影的なドライダウンへと導かれていくのです。
ディオールの「キュイール カナージュ」と比較されることが多い香りです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイドⅢ』で、「アンブル エターネル」を「アイリス ベチバー」と呼び「カップをふせて中身を隠すインチキ手品が大好きなフレグランス業界にとって、アンバーは手品のネタの宝庫だ。まず、厳密な意味でのアンバー(琥珀)は、ネックレスなどに使われる化石化した樹脂で、バルト海沿岸でとれる。加熱して分解蒸留することで、香りのある精油が抽出されるが、現代は香料として使われていない」
「そしてアラブ圏の露天市で売られている香料のアンバーは、バニリンとシスタスの樹脂、ベンゾイン、アセトアニリドの粉末を組み合わせたもの。見た目はもろい石ころみたいで、すごくいい香りがし、とてつもなく安く作れる。最後に、アンバーグリスはたらふく食事をしたクジラの排泄物だ。濃い灰色の脂っぽいかたまりで、素晴らしい香りがするが、とてつもなく高価」
「「アンブル エターネル」はたしかにアンバー系の香料(シスタスラブダナム)の匂いがするが、それだけにとどまらない。舞台の仕掛け扉からぬっと現れるゴーストのようなトップノートは、主にアイリスとヴァイオレットからなるドライでグレーな香り」
「バックグラウンドには、カンファー(樟脳)がアクセントを添える。ここでのアイリスは、最近のシャネルが出している単調で透明な香りではなく、ルタンスのオリジナルの「アイリス シルバー ミスト」のソリッドな合成香料系のアコードに近い。そのアイリスが薄れていくと、ぬくもりのあるウッディ・フルーティ・アンバーのアコードに変わり、ケミカルさをみじんも感じないクリーンなドライダウンへと向かう。実におみごと」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:アンブルエターネル
原名:Ambre Eternel
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
トップノート:アンバーグリス、コリアンダー、シナモン、カルダモン
ミドルノート:ピーチ、イランイラン、オレンジ・ブロッサム
ラストノート:レザー、ウッディノート