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アル・パチーノ

『スカーフェイス』Vol.5|アル・パチーノ=トニー・モンタナ愛用香水

アル・パチーノ
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25万円のスーツを着るチンピラ

本作のオリジナル作品『暗黒街の顔役』(1932)において、主人公は、1930年代の流行だったダブルのスーツを着ていました。時は経ち、1970年代に再びダブルのスーツが流行し、80年代初めにこのスタイルは一大トレンドになっていました。

トニー・モンタナは、ジェームズ・キャグニーとハンフリー・ボガートのギャング映画によって英語を学んだと豪語しているように、彼のファッションは、1930年代から40年代のギャングスター・スタイルに大いなる影響を受けています。

彼がフランクの刺客に襲われ「800ドルのスーツがこのザマだ」という台詞が登場します。1980年代前半の1ドルの相場は220円から250円なので、当時の日本円で176000円から20万円となります。そこに1.5をかけると、現在の貨幣価値となります。つまり、この時トニーが着ていたスーツは約25万円のスーツということです。

トニー・モンタナの唄を聴かせてくれ!

トニーとマニーの醜男と美男子の対比がこの作品の肝です。

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トニー・モンタナのファッション10

800ドルスーツ
  • スカイブルー・ギャバジンの3ピーススーツ、シングル、ピークドラペル、2ボタン、ダブルベンツ
  • ホワイトオンホワイト・ストライプシルクシャツ、スプレッドカラー、テッド・ラピドス風ポインテッド・タブカフス
  • ホワイトシルク・ポケットチーフ
  • ライトブラウン・レザーベルト、ウエスタン・スタイルのゴールドバックル
  • コンコルドのデリリウム マリナー
  • タン色のパテントレザーのキャップ・トゥ・オックスフォード

妹ジーナを演じるメアリー・エリザベス・マストラントニオ。

「オレ様の800ドルのスーツを駄目にしやがって!」

『スカーフェイス』を象徴するアイコニックフォト。

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頂点に上り詰めた男のその後。

ミシェル・ファイファー、171cm。アル・パチーノ、167㎝。

トニー・モンタナ人生最良の日。そして、滅びの始まりの日。

遂にボスのフランクを殺害し、その情婦エルヴィラを自分の妻にし、大豪邸を購入し、そこでウエディング・パーティーを行うトニー・モンタナ。新郎新婦への愛の証として、なんとトラを購入したのでした。

人生とは、頂点に上り詰めた後こそが、本当の意味での〝始まり〟なのです。そして、ホワイト・ウエディング以降、トニーはまるで死神を待ち構えるかのように、ブラック系のファッションに身を固めるようになります。

こうしてトニー・モンタナ帝国は、札束と白い粉の山に埋もれていき、破滅への道をまっしぐらに進んでいくのでした。この作品が魅力的なのは、ここからなのです。チェーンソーで切り刻まれなかった幸運の星の下に生まれた男が、頂点に立ったと同時に、残りの人生を死神に追いかけられ、追い詰められて自滅する。そんな〝滅びの美学〟がこれからはじまるのです。

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トニー・モンタナのファッション11

ホワイト・タキシード
  • 3ピースのホワイト・タキシード、シングル、ノッチドラペル、2ボタン、ベントレス
  • レッドシルクのボウタイ
  • ホワイト・ドレスシャツ、ウイング・カラー
  • 細身のタン色のレザーベルト
  • タン色のパテントレザーのキャップ・トゥ・オックスフォード
  • コンコルドのデリリウム マリナー
  • 2つのゴールド・チェイン・ネックレス

ヤクザ魂全開のピンキーリング。

オールホワイトの中に、血生臭い未来を暗示させるワンポイントのレッドボウタイ。

どこか『ゴッドファーザーPART2』のマイケルを髣髴とさせる写真。

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トニー・モンタナが愛用している二つの香り


超豪華なローマ風ジャグジーで寛ぐトニー・モンタナのシーンの画面の片隅に二つのフレグランス・ボトルを確認することが出来ます。

トニー・モンタナが愛用している二つの香水です。ひとつはカール・ラガーフェルドの「ラガーフェルド クラシック」。そして、もう一つはパコ・ラバンヌの「オー ドゥ カランドル」です。

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ブラックシャツの美学

現役麻薬ディーラー必須アイテムとなったTMチェアーに座るトニー。

全てのアクセサリーをゴールドで統一し、高価なシルクシャツの胸元ははだけている80年代のヤクザ・ファッションで武装するアル・パチーノ。

彼はこの作品によって、『仁義なき戦い』(1973)で菅原文太が勝ち得たような敬意を本職の人々から勝ち取ったのでした。まさに本職が思わず真似をしたくなるファッションや仕草、言動がこの作品には散りばめられているのです。


ちなみにこのマニー(スティーヴン・バウアー)のスタイルもまた、典型的な80年代チンピラ・ファッションとして影響を与えました。当初マニー役は、ジョン・トラヴォルタで予定されていました。

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トニー・モンタナのファッション12

ブラックシャツ
  • 黒のシルクシャツ
  • 細身のタン色のレザーベルト
  • 白のトラウザー
  • コンコルドのデリリウム マリナー
  • 2つのゴールド・チェイン・ネックレス

成金丸出しのローマ帝国風の内装の中、ドヤ顔のトニー。

この貴金属の配置がヤクザ・ファッションの基本。

作品データ

作品名:スカーフェイス Scarface (1983)
監督:ブライアン・デ・パルマ
衣装:パトリシア・ノリス
出演者:アル・パチーノ/ミシェル・ファイファー/スティーヴン・バウアー/ポール・シェナー