アイリス プリマ
原名:Iris Prima
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/17,050円、100ml/23,650円
バレエダンサーの血と汗と涙の匂い
私たちは本当にバレエの血と汗と涙の匂いを求めていました。ヘアスプレー、メイクアップ、汗、リノリウムに当たるライトなどのバレエの香りです。
そして、あなたはとても強力なアイリスを感じると思います。バレエ団を訪問した後、アルベルト・モリヤスと夕食を食べているとき彼は「サラ、空中を舞う音を感じさせるために、もっともっとアイリスが必要だ。」と言いました。
サラ・ロザラム
ペンハリガンが2013年に生み出した香り「アイリス プリマ」は、バレエという芸術を香りで表現した意欲作です。それは今までアイリスの香りを生み出したことがなかったペンハリガンの大いなる挑戦でもありました。
ペンハリガンのCEO兼クリエイティブ・ディレクターのサラ・ロザラムは、ペンハリガンのこの香りの調香のために、〝キング・オブ・キングス〟アルベルト・モリヤスを、はじめて召喚することにしました。
英国の5大バレエ団の1つであるイングリッシュ・ナショナル・バレエ団の全面協力の下、プリンシパルであるローレッタ・サマー スケールズとネイサン・ヤングに対して、二年間、リハーサル、ドレッシングルーム、舞台裏に対するアクセス権をモリヤスは与えられ、『くるみ割り人形』の公演も鑑賞し、プリマ・バレリーナの光と陰を〝香りの舞い〟として表現したのでした。
「トウシューズは生きているのです」
トウシューズは生きているのです。ですからこの生きたトウシューズを自分の肉体の一部として踊れるようになるには、かなりの年季が必要です。
それをはく足の指にタコができ、何回も皮がむけ、トウシューズの中が血だらけということもありました。トウシューズの中にティッシュペーパーを入れたり真綿を入れたり、ナイロンの靴下を切って入れたりしますが、生の牛肉を入れた人もいるのです。
今は牛肉を入れる人はおりませんが、バレリーナの足の指だけは見せられません。その足の指には、秘めた苦労が残っているのです。
『バレリーナの情熱』 森下洋子
バレエダンサーほど多くのシューズを必要とする稼業は存在しません。
バレエの稽古場の風景からこの香りははじまります。一歩そこに足を踏み入れると、現代社会からノスタルジックな空間にタイムスリップするような、懐かしいベルガモットとピンクペッパーによる、透き通るようなフレッシュかつ酸味のあるスパイスの輝きに包まれてゆきます。
すぐに香りは、本番に臨むドレッシングルームで、白いチュチュを着たバレエダンサーたちのメイクアップとヘアスプレーを連想させる、パウダリーかつクリーミーなアイリスに支配されてゆきます。そして、ジャスミン・サンバックの緑の官能性を加えながら、ヘディオンとパラディゾーネによりその優雅な甘さは引き立てられてゆきます。
さぁ、サテンのトウシューズの紐は足首にしっかりと結ばれました。ムスキーなスエードレザーの滑らかな香りに包まれながら、幕は上がるのです。
いよいよクリーミーなサンダルウッドの木製の床のある舞台へ、華やかなスポットライトを浴びながらアイリスとレザーが連動し、バレエダンサーが宙を舞うように温かみのあるアーシィーな香りを放ってゆくのです。
この香りの隠し味として存在するのが、ウードです。このウードが、舞台裏のドキュメンタリーのように、バレエダンサーの血と汗と涙をうっすらと感じさせるのです。
情熱の甘いアンバーバニラと、鍛錬の成果ともいえる苦いベチバーを、ベンゾインという名の希望に乗せて、パ・ド・ドゥを踊るように軽やかに香りは開放されてゆくのです。
バレエの中で最も重要な精神である静謐さ、正確さ、躍動感、静の美学、上品さのすべてを兼ね備えた、心の内にまっすぐ響くような強さと美しさを秘めたアイリスの香りです。それは香りのトウシューズとも言えます。この香りを身に纏うと、心の汚れがさっぱりと洗い流されていく感覚に包まれてゆくのです。
サヴィル・ロウで仕立てたスーツが似合う男性から仄かに漂うととても魅力的な香りとも言えます。
香水データ
香水名:アイリス プリマ
原名:Iris Prima
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/17,050円、100ml/23,650円
トップノート:ベルガモット、ピンクペッパー
ミドルノート:イリス・アブソリュート、ジャスミン・サンバック
ラストノート:レザー、サンダルウッド、ベチバー、アンバー、バニラ、ベンゾイン