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キャロライナ・ヘレラ

【キャロライナ ヘレラ】212メン(アルベルト・モリヤス)

キャロライナ・ヘレラ
©Carolina Herrera
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212メン

原名:212men
種類:オード・トワレ
ブランド:キャロライナ・ヘレラ
調香師:アルベルト・モリヤス、ロセンド・マチュー、アン・ゴットリーブ
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:50ml・7,700円 / 100ml・10,900円

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世紀末に発売された都会の若き男子のための香り

©Carolina Herrera

キャロライナ・ヘレラ(キャロリーナ ヘレラ)は、1981年に当時のヴォーグ編集長ダイアナ・ヴリーランドの後押しで、コレクションを発表したことから、ファッション・ブランドとしてスタートすることになりました。

その後、プーチ社にライセンスを供与し、はじめてのフレグランスを発表したのは1988年のことでした。そして、娘であるキャロリーナ・ ヘレラ・デ・バエズが、1996年にフレグランス部門のクリエイティブ・ディレクターになり、1997年に「212」を発表しました。

時代は世紀末を迎え、「若者向けフレグランス」ブームに沸いていました。そんな時代の流れを見事に捉えた「212」は大ヒットし、その2年後の1999年に、同じ調香師であるアルベルト・モリヤスと、2017年から自身の名を冠したメゾン・フレグランスを展開しているロセンド・マチュー、エスティ・ローダーの秘蔵っ子・アン・ゴットリーブによる合作で生み出された「212メン」が発表されたのでした。

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90年代最後のアルベルト・モリヤスの香り

©Carolina Herrera

212とはニューヨークシティのエリアコードです。世紀末に世界で最も洗練された男の香りを表現しようと試みたこの香りは、ペッパーを中心としたスパイス類が振りかけられた、グレープフルーツとベルガモットのシャキっと爽やかなアクアティックな潮風からはじまります。

すぐにこの潮風に乗るように、グレープフルーツリーフ、マンダリンリーフ、グリーンリーブスといったグリーンノートが刈り取った草のように香り立ちます。

ここからこの香りは、ミステリアスなグリーングラスの輝きに包まれてゆくのですが、その秘密は、ラベンダーとセージといったハーブによる効果です。

先のラベンダーの甘さとジンジャーの温かみがシトラスに円みと熟したジューシーさを与え、グリーンノートは、ソーピィーさを湛えたミステリアスな輝きに包まれてゆきます。それは大都会の中で、颯爽とグリーンノートを輝かせるブラック系のスーツでびしっと決めた(眼鏡をかけていたら尚良し)男性のようです。

やがて、ジンジャーが落ち着くにつれて、ガーデニアとジャスミンといったフローラルが柔らかくクリーミーに溶け込んでゆきながら、ラブダナムとインセンスが香りの主役に躍り出ます。パウダリーなヴァイオレットが香りの背景に美しく佇んでいます。

そして、ドライダウンに向かうにつれ、甘いムスクが存在を増し、サンダルウッドやガイアックウッドといったウッディとともに渾然一体となって温かい甘さで包み込んでくれます。

アルベルト・モリヤスの90年代から00年代の香りの特徴は、とてもよくブレンドされていて各々の香料がわかりにくいところにあります。そして、この香りもそういったモリヤスの「違いがわかる男」時代の逸品のひとつと言えます。

ただし、女性的なフローラルの甘さも存在するのですが、本格的な女性用の香水にある品質の良さが生み出す洗練と風格には欠けます。その分、10代から20代前半の女性に対しては背伸びをしない爽やかさを生み出すとても使いやすい香りです。

当時としては画期的なマグネットがキャップについた、街の建築物のデザインを真似た光沢のあるメタリックなシリンダー状のボトル・デザインは、ファビアン・バロンによるものです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「初めのうちはおもしろく、がたがたぶつかりあうミルキーハーバル調はイッセイ・ミヤケの「ロー・ブルー」を予感させるけれど、しょせんはあいまいな薄いグリーンウッディ。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:212メン
原名:212men
種類:オード・トワレ
ブランド:キャロライナ・ヘレラ
調香師:アルベルト・モリヤス、ロセンド・マチュー、アン・ゴットリーブ
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:50ml・7,700円 / 100ml・10,900円


トップノート:スパイス類、プチグレン、ラベンダー、グリーンリーブス、グレープフルーツ、ベルガモット
ミドルノート:ジンジャー、ガーデニア、ジャスミン、ヴァイオレット、セージ
ラストノート:ラブダナム、サンダルウッド、トランスペアレントムスク、ガイアックウッド 、ベチバー、インセンス