シャマード プール オム
原名:Chamade pour Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン、マチルド・ローラン
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:100ml/35,200円
マチルド・ローラン様、唯一のゲランのメンズ香水
フランソワーズ・サガンが、1965年に発表した『熱い恋』(原題:ラ・シャマード」は、1968年に、カトリーヌ・ドヌーヴ主演により映画化されました(日本では『別離』という名で公開された)。
このサガンの小説とドヌーヴの映画からイメージを膨らませ、ゲランの四代目調香師ジャン=ポール・ゲランにより、1969年に生み出されたのが「シャマード」でした。
シャマードとは、ナポレオン時代において、軍隊の退却を示す太鼓を叩く音(=降伏の合図)という意味です。それは、新たなる愛を確信し、高まる心臓の鼓動の意味でもあります。
つまり「シャマード」とは、その愛に降伏した瞬間に一変する世界を表した香りなのです。そのメンズ・ヴァージョンとして、1999年に生み出されたこの香りは、ジャン=ポール・ゲランとマチルド・ローランにより調香されました。
フローラル・ウッディのこの香りは、マチルド・ローランがゲランで調香した唯一のメンズ・フレグランスでした。
この香りから生まれる恋愛に幸せはない
1999年のバレンタインデーに限定発売されたこの香りは、当初「シャマード」と共に2本セットで販売されました。そして、2007年に「パトリモワンヌ・コレクション」のうちのひとつとして再販され、現在「メンズ エクスクルーシブ コレクション」(2012年)のひとつとして木枠で囲まれた独特なデザインのボトルで発売されているのです。
恋に落ちた女性の中のシャマードが、相手の男性にもこだまし、「シャマード連鎖」を起こしていく情景を描くこの香りは、それまでの倦怠感に満ちたツバメとして生活を断ち切るような、情熱的かつフレッシュなカラブリア産ベルガモットと円やかなブラックペッパーのコントラストからはじまります。
30歳の美男美女が、本当の恋に目覚める躍動感が良く伝わるトップノートです。「さあ、アントワーヌ!そこにあるヒヤシンスを私のために摘んでちょうだい」。
摘みたてのヒヤシンスが、ヴァイオレットとナツメグにより、アクアティックな透明感を煌かして香り立ちます。二人の恋の絶頂は、10代の男女のように長くは続きません。やがて、ベチバーとレザーがスモーキーかつソーピィーなハーモニーを奏ではじめるのです。
スーツスタイル(トレンチコートならなお良し)の男性がこの香りを身に纏うと、フレッシュ・アンニュイなその香り立ちに、多くの女性が反応してしまうことうけあいの〝シャマード連鎖〟フレグランスです。
この香りから生まれる恋愛に幸せはないでしょう。だからこそ、この香りを漂わせる男性を女性はほうっておけなくなるのです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「シャマード プール オム」を「ハーブ調フローラル」と呼び、「映画『別離』の主演カトリーヌ・ドヌーヴが実は男だったなんて冗談はよしてほしい。この香水は不成功に終わった「コリオラン」に奥行きを与えてリメイクしたもので、同じようにハーブっぽいウッディ調の曖昧な香りから始まり、よりフローラルな香調がある。」
「このような、少し陰りのある男性向け香水は、ディオールの「ファーレンハイト」を祖にしているが、不幸なことに欧州でオクチンエステルが規制されたことが足かせになってしまっている。ゲランの標準からすると名作とはいえないが、それでも平均的な男性向けに比べてはるかによく、この香水を悪く評するのは酷というものだろう。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:シャマード プール オム
原名:Chamade pour Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン、マチルド・ローラン
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:100ml/35,200円
トップノート:カラブリアン・ベルガモット、ブラックペッパー
ミドルノート:ヒヤシンス、ヴァイオレット、ナツメグ
ラストノート:ベチバー、レザー、プレシャスウッド