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ゲラン

【ゲラン】ランスタン ド ゲラン(モーリス・ルーセル)

ゲラン
©GUERLAIN
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ランスタン ド ゲラン

原名:L’Instant de Guerlain
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン

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ラストスタンド・ゲラン

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モーリス・ルーセルゲランに招かれ、2003年に生み出した香り「ランスタン ド ゲラン」は、フランス語で「ゲランの瞬間」の意味であり、「恋に落ちる瞬間」の香りです。

それはゲランのゲルリナーデをこよなく愛する男が、現代の女性のためのゲルリナーデを復活させようとした試みでした。

発売当時、香りの世界に新たなる香調「クリスタル・アンバー」を生み出した(まるで太陽の光のようにまばゆく輝く香りが、ダブルピラミッドというコンポジションにより生み出された)と大々的にアピールされていた香りなのですが、今ではゲランの歴史からはなかった話となっており、公式の香調は「サニーオリエンタル」に改められています。

アンソレンス」でモーリス・ルーセルと共同で香りを創造したゲランのクリエイティヴ・ディレクターのシルヴェーヌ・ドゥラクルトが就任前に、最終試験の形で、モーリスと共同で創造した香りです(更にマチルド・ローラン様が関わっていた可能性が大)。いずれにしても、女性のパワーが反映されたゲランの香りであることは間違いありません。

モーリスはシルヴェーヌにゲランの香りを作ってみませんか?と打診され、僅か15日後に、2つのサンプルを彼女の前に提示し、最初のサンプルがこの香りのプロトタイプになりました。

つまりは、ジャン=ポール・ゲラン路線で行き詰っており、衰退の一途を辿っていたゲラン帝国が、起死回生の一撃として刃を振るった「ラストスタンド・ゲラン」の香りなのです。

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幸せとはとても眩しいもの。そして、幸せには個性は要らない。

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恋に落ちる一瞬=または幸せに包まれる女性を、ベルガモットとマンダリン・オレンジのシトラス・シャワーに、フルーティなアップルが弾け合うトップノートに、濃厚なハニーを一撃がつんと追加した香りからこの香りははじまります。

そして、ミドルで主役の中国産の白いマグノリア=木蓮の登場と相成ります。そこにアイリス、ジャスミン、イランイランのフローラルブーケが絡み合い、透明感溢れるアンバーが香り全体を包み込んでゆき、ムスク、ベンゾイン、バニラにより「幸せ」の概念の薄っぺらさに、〝眩しさ〟という奥行きを与えてくれます。

本当の「幸せ」とは、他人にとっては眩しすぎるもの(それは苦労の末に手にした幸せではなく、欲深くない育ちの良い女性が、自然の成り行きで手にしたような幸せ)というテーマで生み出された香りです。

つまりは、幸せを呼ぶ香りではなく、幸せでない人がこの香りを身にまとうと、不幸が透けて見える諸刃の刃の香りなのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ランスタン ド ゲラン」を「いろいろなフローラル」と呼び、「大げさにいっているわけではないが、2003年世間はゲランの決断を待っていた。シニカルな「シャンゼリゼ」(1996)、悲惨な「マホラ」(2000)を発表した後で消えてしまうのか、名誉を回復するのか。」

「そんな中、ゲランはこのままのやり方ではだめだとさとり、「ヴァンキャトル フォーブル」で名声を得た調香師モーリス・ルーセルを呼び寄せ、最新の女性用香水を作らせた。」「確かにランスタンは正道の香調を網羅しているが、流暢で中身がからっぽに感じる。」

「特に夜更けやワインを何杯か飲んだ後には、ランスタンの個性のない口先だけの美辞麗句にころっといってしまうかもしれない。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ランスタン ド ゲラン
原名:L’Instant de Guerlain
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン



トップノート:ベルガモット、マンダリン・オレンジ、アップル
ミドルノート:アイリス、ジャスミン、イランイラン、マグノリア
ラストノート:ムスク、アンバー、ベンゾイン、バニラ、ホワイトハニー