【麗しのサブリナ】
Sabrina オードリー・ヘプバーンがユベール・ド・ジバンシィとはじめてタッグを組んだ、ファッション史においてもっとも重要な〝不滅のファッション・ムービー〟のひとつであり、この作品により、ものがたりの世界そのままに、オードリーはパリ・モードを体現する女優として、〝世界の恋人〟になったのでした。
当時、ロマンティック・コメディを撮らせると、右に出るものがいなかったビリー・ワイルダーの演出と、ハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという脂の乗った大スターにエスコートされ、オードリーは、サブリナが着る、ジャンパースカート、ジャジースーツ、イブニングドレス、リトルブラックドレス、サブリナパンツといったアイテムに永遠の命を吹き込んだのでした。
あらすじ
アメリカで大富豪が集まるロングアイランドを舞台に、大富豪ララビー家の運転手の娘サブリナが、パリから2年の留学を終え、見違えるような美女となって帰国します。そして、彼女が片想いしていたララビー家の次男デイヴィッドを夢中にさせます。
折角まとまりかけていたデイヴィッドの政略結婚がご破綻になるのを防ぐため、恋愛とは無縁のライナス財閥の総裁であり、デイヴィッドの兄である堅物ライナスが、色々な理由をつけて、デイヴィッドの代わりにサブリナとデートし、彼女をパリに追い返そうと目論むうちに二人は本当に愛し合ってしまうのです。
まだパリに留学に出る前のサブリナのファッションも美少女ムードたっぷりでひとつの見所です。
そして、パリから帰国したサブリナが着る、当のユベール・ド・ジバンシィさえも呆気にとられたという絶世の美女っぷりは、今の時代のあらゆる女優も真似することの出来ない圧倒的なパリ・モードのエレガンスに包まれています。
念願が叶いサブリナはイブニングドレスを着て、ララビー家のパーティに出席することになります。輝くばかりの美貌とスタイルによりパーティー会場で注目の的となるサブリナは、ついにララビー家のデイヴィッドを夢中にさせることに成功したのでした。
そんな二人の姿を苦々しく見つめるデイヴィッドの兄ライナスは、弟の政略結婚を成功させるために、サブリナをデイヴィッドから引き離そうと画策するのでした。
ファッション・シーンに与えた影響
最初の作品『ローマの休日』で一躍スターになったオードリー・ヘプバーン。世界中に注目される存在になった彼女の次作として1954年に公開された『麗しのサブリナ』は、オードリーがユベール・ド・ジバンシィのデザインした衣装をはじめて着た作品でした。
もうそれだけで、この作品がファッション史に与えた影響が絶大であることを理解して頂けるでしょう。念のためにこの作品がファッション業界に影響を与えたすべての要素を羅列していきましょう。それは以下の7点です。
- 『オードリーがパリ・モードと結びついた瞬間』=究極の洗練を伝えるジャジースーツ
- ウエディングドレスの新しいトレンドを生み出したサブリナドレス
- リトルブラックドレスの復権
- サブリナカット
- カシュクール・スタイル
- サブリナパンツ
- サブリナシューズ
この作品により、イーディス・ヘッドだけがアカデミー衣裳デザイン賞 (白黒部門)を受賞することになりました。しかし、この理不尽な事実が、オードリーとジバンシィの絆を生涯の結びつきへと導いていったのでした。
作品データ
作品名:麗しのサブリナ Sabrina (1954)
監督:ビリー・ワイルダー
衣装:イーディス・ヘッド/ユベール・ド・ジバンシィ
出演者:オードリー・ヘプバーン/ハンフリー・ボガート/ウィリアム・ホールデン